あれから5年が経った現在、「お母さん」の愛称で常連客から可愛がられていた親猫は、2022年2月にこの世を去った。
「それでも20年以上は生きたはずですよ」というから驚きだ。
これまで200匹以上の子猫を産んだというお母さん。その影響で大門エリアに野良猫が増え、店のまわりにも頻繁に集まるようになったことから、伊藤さんが自費で避妊手術をさせた。
「警戒心がすごく強い猫で、餌を与えて少しずつ慣れさせて。手術を受けさせるまでに1年はかかりましたね」
それから少しずつではあるが警戒心は解かれ、お母さんは店に住み着くようになった。
その時、お母さんに付いてきたのが現在も店を住処にする兄弟の2匹。体が大きいオス猫の「チャップリン」と丸い目が特徴のメス猫「チビ」だ。
「おそらく親のしつけなんでしょうね。いまだになかなか人に心を開かないんです。完全に心を許すことはないけど、常連さんには頭を撫でさせるようにはなりました。10年も一緒にいると人間のこともわかるんでしょうね。外に遊びに行っても必ず18時までには帰ってきます。チビのほうが面倒見がよくて、チャップの帰りが遅くなると探しに出て連れて帰ってきてくれるんですよ」
伊藤さんの住まいは店から10分ほどの距離にあるが、3匹の猫が店にいることと毎日のように来る常連客のために、毎日店を開け続ける。
「2人は招き猫なんでしょうね。最近は猫目当てに店に来てくれる人が増えました。特に今年は2人に会いに来る外国の人も多かったです。これからも、可能な限り店は開け続けていきたいですね」。
北海道・函館市松風町5-11
0138-23-3391
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『peeps hakodate』vol,120 特集「函館の愛される店のその後」より。
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