2023.12.05

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危険を冒し「それでも勉強して、社会に出たい」車椅子の60歳男性が校歌の一節に重ねる希望【連載】星のまなびや~札幌発・夜間中学に集う人々(10)

*校歌を作詞したシンガーソングライター・半﨑美子さん
星友館中学校の校歌制作にあたり、札幌の自主夜間中学遠友塾へお話をお伺いに行ったとき、当時そこで学びに励んでおられた吉野さんに出会いました。その後、実際に校歌が完成し初披露のタイミングや、星友館中学校開校式、そしてこの日、学校生活にすっかり馴染んでいる吉野さんに再会できました。先生たちと一緒に率先して学校を案内して下さる姿にも静かな感動を覚えました。吉野さんは身体に自由がきかない生活の中でも、とても能動的であり行動的です。北海道ツアーの釧路公演にまでお一人で足を運んで下さったときは驚きと喜びを終演後に分かち合いました。高校進学という新たなる目標を掲げて、前向きに挑む姿、時に一緒に流す涙は「折れずに挑み続けた確かな証」と書かせていただいた校歌の歌詞そのものです。生きることは人それぞれが道しるべを発見し、その経験を他者と分かち合っていくことだと思います。この日も吉野さんの生き方や姿勢そのものに励まされました。

・・・・・・

*その後、吉野さんは、札幌市の障害福祉サービスを利用して、通学時、事業所の車で、送り迎えをしてもらうことができるようになりました。

*注1)札幌遠友塾:北海道には公立の夜間中学校とは別に、元教員らのボランティアが運営する「札幌遠友塾」など民間の夜間中学(自主夜間中学)が4校あります。これらの中学は、学校としての認可を受けていないため、中学校の卒業資格を得ることはできませんが、週1回の緩やかなスケジュールで、既に中学校を卒業してゆっくり学び直しをする人や、日本語を習得したい外国人らが学ぶ場として1990年から存続しています。札幌市立星友館中学校は、札幌遠友塾の実績を元に、週5日制の公立中学校として開設されました。

*注2)札幌市立星友館中学校は、入学を随時受け付けています。9月から12月までの間に受け付けの場合は来年4月入学となり、来年1月から8月までの間に受け付けの場合は来年5月から10月までの間の入学となります。詳細は同校へお問い合わせください。

◇文:HBC・油谷弘洋

Sitakke編集部

Sitakke編集部やパートナークリエイターによる独自記事をお届け。日常生活のお役立ち情報から、ホッと一息つきたいときのコラム記事など、北海道の女性の暮らしにそっと寄り添う情報をお届けできたらと思っています。

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