2023.12.05
深める札幌に今年、初雪が降ったのは、平年より10日遅い11月11日でした。その雪は一旦融けましたが、根雪になる日はもうすぐそこまで来ています。吉野さんは「雪の上を車椅子でこぐのは、しんどいですね。通学だけでなくて、買い物や用足しもいろいろありますから。私はもう年だから、若い時の様にはゆかなくなって来て…」と空を見上げました。
太い腕は「長年、車椅子を使って来たから(本人談)」だそうですが、いつも前向きな吉野さんも、冬の外出の話になると曇り顔です。
私は吉野さんと同年代です。「若い時の様には…」という吉野さんの本音が沁み入りました。それでも車椅子をこぎ、中学校の教科を学び直し、ピアノを覚えようとする姿に、ただただ頭が下がるばかりでした。
【連載記事のラインナップ】
●プロローグ 開校2年目の夏~札幌市立星友館(せいゆうかん)中学校
●エピソード(1)モロッコと清龍~異国で生まれ育ったある日本人の場合 その1「思い出したくもない過去」
●エピソード(2)モロッコと清龍~異国で生まれ育ったある日本人の場合 その2「奇跡の来日」
●エピソード(3)農作業と入院~少女時代を取り戻す82歳と72歳の青春
●エピソード(4)同級生の前にさらされて…不登校経験者・Y(19歳)
●エピソード(5)「虐待で育ったから…」父子で通う同級生親子
●エピソード(6)3時起床23時就寝…もっと勉強したい56歳
●エピソード(7)モロッコと清龍~異国で生まれ育ったある日本人の場合・その3「再びホームレスと…」
●エピソード(8)「自主」と「公立」~交流で“生きた学校”として変わり続ける”まなびや”
●エピソード(9)それでも通学する・その1~アフガニスタンから来た17歳少年の場合
●エピソード(10)それでも通学する・その⑵~車椅子の60歳男性の場合