2023.12.05
深める(半﨑さん)「いや~、吉野さ~ん!」
(吉野さん)「うわ~、ビックリした~!!」
(半﨑さん)「どうですか…」
(吉野さん)「メチャクチャ楽しい!苦手だった算数が好きになって来たし。でもどうしてもわからなくなったら、授業中でもそっと抜け出して、教頭先生の所に行って、教えてもらってるんです」
吉野さんは半﨑さんとの再会に、子どものようにはしゃぎ、学校のこと、コンサートに行った時のこと、暮らしのことなどを話し、2人の会話は尽きませんでした。
「僕は学習障害があるんです。だから、他人より覚えが悪いんです」と吉野さんは、あっけらかんと話し、照れ笑いをしました。
「でも、一度決めたことは必ずやって来たので、中学校での学び直しもやり遂げて、高校にも進学したいんです。」
吉野さんが今、もう一つやり遂げたいと思っていることが、ピアノで校歌を伴奏して、半﨑さんと一緒にあのフレーズを歌うことです。
雪の中で芽吹く種よその命はたゆまず明日を夢見た未来の光…」
ピアノを習ったことは一度もありません。必死の通学でたどり着いた校舎で、始業前のわずかな時間に自学自習の毎日です。ピアノを弾くことができるクラスメートに教えてもらうこともありますが、「とっても難しい(本人談)」そうです。
【連載記事のラインナップ】
●プロローグ 開校2年目の夏~札幌市立星友館(せいゆうかん)中学校
●エピソード(1)モロッコと清龍~異国で生まれ育ったある日本人の場合 その1「思い出したくもない過去」
●エピソード(2)モロッコと清龍~異国で生まれ育ったある日本人の場合 その2「奇跡の来日」
●エピソード(3)農作業と入院~少女時代を取り戻す82歳と72歳の青春
●エピソード(4)同級生の前にさらされて…不登校経験者・Y(19歳)
●エピソード(5)「虐待で育ったから…」父子で通う同級生親子
●エピソード(6)3時起床23時就寝…もっと勉強したい56歳
●エピソード(7)モロッコと清龍~異国で生まれ育ったある日本人の場合・その3「再びホームレスと…」
●エピソード(8)「自主」と「公立」~交流で“生きた学校”として変わり続ける”まなびや”
●エピソード(9)それでも通学する・その1~アフガニスタンから来た17歳少年の場合
●エピソード(10)それでも通学する・その⑵~車椅子の60歳男性の場合