2023.12.05
深める吉野さんが、故郷を離れても、危険を冒しても、星友館中学校で学びたい理由の一つは、校歌の一節にあります。
「雪の中で芽吹く種よその命はたゆまず明日を夢見た未来の光…」
(吉野さん)「校歌のこの部分、自分のことと重なるんです。吹雪の日に車椅子をこいでいて、春になったら少しは楽になるかなと思いながら、毎日を送っているんです」
歌詞を書いたシンガーソングライターの半﨑美子さんは、札幌市から校歌の制作を依頼された後、吉野さんら当時、札幌遠友塾に通っていた生徒やほかの夜間中学の生徒、教職員らに「夜間中学とはどんなところなのか」「生徒のみなさんはどんな思いで通っているのか」「なぜ、就学時に学ぶことができなかったのか」「今、何を感じているのか」等々、丹念に聴き取りをしました。その時の出会いがきっかけで、吉野さんは半﨑さんのコンサートに出かけるようになりました。
そして9月に半﨑さんは、去年春の開校式以来、久しぶりに星友館中学校を訪ね、吉野さんと再会しました。
【連載記事のラインナップ】
●プロローグ 開校2年目の夏~札幌市立星友館(せいゆうかん)中学校
●エピソード(1)モロッコと清龍~異国で生まれ育ったある日本人の場合 その1「思い出したくもない過去」
●エピソード(2)モロッコと清龍~異国で生まれ育ったある日本人の場合 その2「奇跡の来日」
●エピソード(3)農作業と入院~少女時代を取り戻す82歳と72歳の青春
●エピソード(4)同級生の前にさらされて…不登校経験者・Y(19歳)
●エピソード(5)「虐待で育ったから…」父子で通う同級生親子
●エピソード(6)3時起床23時就寝…もっと勉強したい56歳
●エピソード(7)モロッコと清龍~異国で生まれ育ったある日本人の場合・その3「再びホームレスと…」
●エピソード(8)「自主」と「公立」~交流で“生きた学校”として変わり続ける”まなびや”
●エピソード(9)それでも通学する・その1~アフガニスタンから来た17歳少年の場合
●エピソード(10)それでも通学する・その⑵~車椅子の60歳男性の場合