2023.12.05
深める吉野さんは、就学時に長期の入院を余儀なくされたため、小学校にも中学校にも通ったことがありません。勉強は当時、病院内で看護師さんらに教えてもらいながら自習を続け、「形だけは中学校を卒業したことになった(本人談)」ものの、学び直しをしたいと、去年、星友館中学校の開校と同時に入学しました。その前には、民間のボランティアが運営する夜間中学「札幌遠友塾(*注1)」にも通って、星友館への入学に備えて来ました。
現在は札幌市内で一人暮らしをしています。故郷は北海道東部の北見市で、それまで吉野さんは、家族と北見市内で暮らしていました。しかし通学のために家族と離れ、一人暮らしを始めました。
「入院中の勉強は、答えを教えてもらうだけだったんです。でも社会に出たら、それでは役に立たないと思っていたんです」
「一人暮らしは大変です。最初は靴を履くことも、一人ではできませんでした。食事も洗濯も買い物も用足しも、大変です。でも勉強して、社会に出たいんです」
【連載記事のラインナップ】
●プロローグ 開校2年目の夏~札幌市立星友館(せいゆうかん)中学校
●エピソード(1)モロッコと清龍~異国で生まれ育ったある日本人の場合 その1「思い出したくもない過去」
●エピソード(2)モロッコと清龍~異国で生まれ育ったある日本人の場合 その2「奇跡の来日」
●エピソード(3)農作業と入院~少女時代を取り戻す82歳と72歳の青春
●エピソード(4)同級生の前にさらされて…不登校経験者・Y(19歳)
●エピソード(5)「虐待で育ったから…」父子で通う同級生親子
●エピソード(6)3時起床23時就寝…もっと勉強したい56歳
●エピソード(7)モロッコと清龍~異国で生まれ育ったある日本人の場合・その3「再びホームレスと…」
●エピソード(8)「自主」と「公立」~交流で“生きた学校”として変わり続ける”まなびや”
●エピソード(9)それでも通学する・その1~アフガニスタンから来た17歳少年の場合
●エピソード(10)それでも通学する・その⑵~車椅子の60歳男性の場合