2023.12.04
深めるサフィウーラさんが初めて来日したのは、去年5月のことです。仕事で既に14年前に来日していた父を頼って、「勉強したい」と思い来日しました。家族は母と弟が3人、妹も1人もいますが、カブールに残っています。
「勉強したい」
「カブールでは勉強できないの?」と尋ねると、「政治が変わってから(*注1)、学校が閉鎖されました」とサフィウーラさんはたどたどしい日本語で話し、目をそらしました。
サフィウーラさんの一日は、朝起きたら、父と自分の朝食を作ることから始まります。そして午前8時から午後1時までの5時間、苫小牧市内にある自動車など大型機械類の解体工場で働きます。その後、一旦、自宅に戻ってお昼を取り、それから自転車をこいで苫小牧駅に向かいます。
(私)「疲れるでしょう?」
(サフィウーラさん)「どうして?疲れないよ、ぜんぜん!」
(私)「どうして勉強したいの?」
(サフィウーラさん)「中学2年までカブールで勉強しました。とても楽しかった。その勉強を続けて、将来、世界中を飛び回って、車を売る仕事をしたいから」。
サフィウーラさんの父は、現在、苫小牧市内で自動車販売会社を経営する社長で、その仕事を手伝いたい思いもあるそうです。
【連載記事のラインナップ】
●プロローグ 開校2年目の夏~札幌市立星友館(せいゆうかん)中学校
●エピソード(1)モロッコと清龍~異国で生まれ育ったある日本人の場合 その1「思い出したくもない過去」
●エピソード(2)モロッコと清龍~異国で生まれ育ったある日本人の場合 その2「奇跡の来日」
●エピソード(3)農作業と入院~少女時代を取り戻す82歳と72歳の青春
●エピソード(4)同級生の前にさらされて…不登校経験者・Y(19歳)
●エピソード(5)「虐待で育ったから…」父子で通う同級生親子
●エピソード(6)3時起床23時就寝…もっと勉強したい56歳
●エピソード(7)モロッコと清龍~異国で生まれ育ったある日本人の場合・その3「再びホームレスと…」
●エピソード(8)「自主」と「公立」~交流で“生きた学校”として変わり続ける”まなびや”