札幌市円山動物園は、ことし70周年を迎えました!
これを記念したSitakkeの連載、「円山動物園さんぽ」。
長く愛されてきた背景には、一度だけでは味わい尽くせない、見どころの多さがあります。「さんぽ」するように気軽に通うことで見つけられる、動物たちの深~い魅力をお伝えしていきます。
第1回のテーマは、「園長だからこそ知っている円山動物園の魅力」。
園長と一緒に園内を歩くと、新たな発見がありました。
札幌の地下鉄東西線「円山公園駅」から徒歩15分の位置にある、円山動物園。
神賢寿(じん・まさとし)園長は、
「さんぽするように気軽に通ってほしい。
動物は時間や天候などによって様子が違うんですよ。
例えば、えさを探している時は活発に動いているし、食べ終わったあとはのんびりとしている。
その日は見られなかったことが、次の日は見られるかもしれません」と話します。
園長と歩き始めてすぐ、オオワシが一斉に鳴き出しました。
しかし園長が通り過ぎると、ぴたりと鳴きやみます。
園長は、「動物は職員の制服を覚えていて、人を見分けている」と推測します。
たしかに、一緒に歩いていると
モモイロペリカンは園長の顔を見て声を上げ、
ヒグマは園長が進む方向に合わせて移動してきました。
日本最大級の、円山動物園のゾウ舎。ほかの園で働く職員が驚くほど、
円山動物園のゾウは、「安心してよく眠る」そう。
眠りの秘訣は、「砂」だといいます。
「床はコンクリートではなく、足元に何十センチも砂を敷き詰めています。砂のほうが体や足に優しいんです」
大切にしているのは、「動物福祉」をより良いものにしていくこと。
動物たちが健康で安全に過ごし、野生での本来の行動ができるように工夫します。
野生のゾウは、起きている間、ずっとエサを探して歩き回るといいます。
そのため、円山動物園では、乾草や木の枝などのエサを高くつるしておき、自動で降りてくる仕組みを導入。
ゾウは、職員がいない夜間も、エサが食べられるスポットを探し歩いて過ごすことができます。
チンパンジーについても、動物福祉向上の取り組みをしています。
1日に何回も展示場を入れ替えてエサを隠すことで、食べることに費やす時間を長くしたり、給餌器を設置して、野生と同じく木の枝を使ってエサを取れるようにしたりしているのです。
チンパンジーに近づきながら、「あの体の大きい『アッキー』は、今こっちに来るよ」と予言した園長。
『アッキー』はすぐに園長のそばにやってきて、入れ替わりで『スージー』もやってきました。
『スージー』は、メガネの男性に興味があるのだそう…。
ただ、園長だけが特別ではないといいます。
「毎日のようにチンパンジーを見に来てくれるお客さんがいて、一頭一頭の見分けがつくんですよ。
チンパンジー側も、常連のお客さんの顔は覚えているかもしれませんね」
お気に入りの動物のもとに通うことで、動物を見る楽しみだけでなく
動物と関係を築く楽しみも生まれるかも…?
ホッキョクグマを見ると、「毎朝出勤するときに必ず見に来るんです!泳いでいるのはレア」。
ヒグマを見ると、「世間を騒がせているけど、本来は臆病な動物なんですよ」。
園長はどの動物の前でも声を弾ませていました。
一番の推し動物は…「決められない!みんな魅力的!」とのこと。
動物園で働く日々は、「毎日がドキドキ・ウキウキ・ワクワク!」だという園長。
毎日見ていても飽きることはなく、動物への思いを2時間近く熱弁してくれた姿が、
「通うにつれて深まる魅力」を物語っていました。
次回からは、それぞれの動物にスポットを当てて
飼育員さんのお話をお届けします。どんな動物が出てくるのか、お楽しみに!
【円山動物園さんぽ#2】円山動物園に“非公開”の動物!?体重4グラムの「トガリネズミ」の神秘
※掲載の内容は取材時点(2021年7月21日)の情報に基づきます。内容の変更が発生する場合がありますので、最新の情報は各施設にお問い合わせください。
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