2021.08.20

ゆるむ

円山動物園に“非公開”の動物!?体重4グラムの「トガリネズミ」の神秘【円山動物園さんぽ#2】

札幌市円山動物園は、ことし70周年を迎えました!
これを記念したSitakkeの連載、「円山動物園さんぽ」

長く愛されてきた背景には、一度だけでは味わい尽くせない、見どころの多さがあります。「さんぽ」するように気軽に通うことで見つけられる、動物たちの深~い魅力をお伝えしていきます。

実は円山動物園の魅力は、公開されている動物たちだけではありません。
今回ご紹介する、「トガリネズミ」は、非公開の施設で飼育されています。
公開しない動物を飼育する意義とは…?

「トガリネズミ」だけど「ネズミ」じゃない

ネズミのような小さな体つき。
でも、手や顔の形、毛の生え方はモグラのよう…。

「トガリネズミ」は
「ネズミ」という名前がついていますが、「モグラ」に近い小型の哺乳類です。

北海道には「ヒメトガリネズミ」や「オオアシトガリネズミ」のほか、
「エゾトガリネズミ」、「トウキョウトガリネズミ」の4種が生息しています。

「トウキョウ」といいつつ、生息地は東京ではなく北海道…。
新種として発見されたとき、標本のラベルにYezo<エゾ>とすべきところを
Yedo<エド>と誤って表記されたために、この和名になったそう。

体はとても小さく、体重測定をする飼育員さんの小指ほど。

円山動物園にいる「ヒメトガリネズミ」は、体重わずか4グラム
特別大柄だという「オオアシトガリネズミ」の「マサオ」さえ、たった14グラムです。

身近にいるけど謎だらけ

トガリネズミは、実は身近に生息しています。
札幌市内でもすぐ近くにいて、
円山動物園で飼育しているトガリネズミも、園内で捕獲したそう。

けれど、その生態は謎だらけ。
非常に小さいうえ、夜行性で、人目につかずに生活しています。

身近にいるのに、よく知らないままでいいのか…。
そこで円山動物園は、「研究」に乗り出したのです。

飼育・研究を担当する本田直也(ほんだ・なおや)さんは
まだ何もわかっていないからこそ、「神秘」があると話します。
「世界最小の種も北海道にいるんです。
それは北海道の動物園がスポットを当てるべき。
 北海道を代表する動物の一種として、真剣に向き合いたい」

「見て楽しい」だけじゃない! 動物園の社会的意義

研究は北海道大学と東海大学と共同で行っています。
本田さんは
「Win-Winの協力関係。
大学はフィールド研究に強いが、
 動物園の飼育下の研究だからこそわかることもたくさんある」と意気込みます。

「つぶらな瞳が魅力。
 モグラでもネズミでもない、トウキョウにもいない…そんな面白い動物いない!」と
トガリネズミに熱い視線を注ぐ本田さん。

研究のためトガリネズミを捕獲した際は、
園内に60個ほどの植木鉢を仕掛けたといいますが、
トガリネズミは植木鉢のような狭い空間にいると
すばやく動きまわって、2時間ほどで「電池切れ」のように死んでしまうそう。

そのため、トガリネズミが活動する夜中に
2時間おきに植木鉢を見て回ったといいます。

熱心な研究の背景には、
「公開」だけではない、動物園の社会的な意義への想いがあります。

研究の先に目指すのは、飼育技術の向上や繁殖技術の確立。
「知る」という一歩が、身近な動物の生物多様性の保全の基礎になるのです。

ときには、
動物園で公開された動物たちを「見て楽しむ」だけでなく、
身近に暮らす動物の「神秘」に想いを馳せてみてはいかがでしょうか。
時期は未定ですが、その姿もじっくり見てもらえるよう
円山動物園では、トガリネズミの展示も目指しているということです!

次回は、すばやいトガリネズミとは対照的に「ゆ~っくり」動く、
「つぶらな瞳」の動物をご紹介します。お楽しみに!

文:Sitakke編集部 IKU

過去記事一覧:円山動物園さんぽ

Sitakke編集部

Sitakke編集部やパートナークリエイターによる独自記事をお届け。日常生活のお役立ち情報から、ホッと一息つきたいときのコラム記事など、北海道の女性の暮らしにそっと寄り添う情報をお届けできたらと思っています。

この記事のキーワードはこちら

SNSでシェアする

  • twitter
  • facebook
  • line

編集部ひと押し

あなたへおすすめ

エリアで記事を探す

FOLLOW US

  • twitter