2023.12.01
深めるこの記事はライター講座の参加学生3名による、リレー連載 【海と人生】です。
今回は、学生ライターの「ゆかじ」編です。
前回の記事⇒30歳の学生が、初対面の「釣り人」に人生相談をしてみた【海と人生③】
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「人生ってなんだろう。海をゆっくり眺めている人たちは、何を想っているんだろう」
こんなソボクな問いをきっかけに、函館、そして小樽の海へ。
季節外れの海で、辿り着いた“答え”とはーーー!?
学生ライターの「ゆかじ」です。
突然だが、私はいま、人生に悩んでいる。
私は、30歳で大学院生をしている。一度就職をしたものの、もっと研究がしたいなぁと思い、仕事を辞めて、観光学の大学院へ進学した。研究生活は厳しいものの、やりがいがあり、充実した日々だと感じている。
ただ、一方で、ふと周りの友人を見渡せば、就職し、結婚し、子育てをし、家を建てて……。
大学院進学は、自分で決めたこと。後悔はないのだけれど、ふと「これでよかったのかな」、「自分の人生はどこに向かっているのだろう」と、心細くなる瞬間があるのだ。
そこで今回、学生ライター講座活動の一環として、季節外れの海にいる人たちに、人生相談をしてみることにした。
ゆっくりと海を眺めている人たちは、人生経験が豊富そうなイメージがある。彼ら彼女たちがどんな生き方をしてきたのかを、聞いてみたいと思った。
「函館」の取材に引き続き、今回は「小樽」の海で出会った人たちの人生観についてレポートする。
小樽には、ライター講座受講生の「みっちゃん」と共に訪れた。季節外れの海には人があまりおらず、あちこちと歩き回ることになった。
小樽運河から少し離れた、色内埠頭公園へ向かう途中に、気になる人物を見つけた。
年配の男性たちが多い釣り場で、若い女性が一人で釣りをしている。金髪に近い明るい髪色をした彼女は、とても存在感があった。
興味を持った私は、思い切って声をかけてみることにした。
「何を釣っているんですか?」声をかけてみると、「あ、見ます?」と、バケツの中を見せてくれた。
「『ハゼ』です!かわいいでしょ?」
派手なネイルで彩られた華奢な手で、釣った魚やエサ用のワームを、とても慣れた様子で触っている。
見た目とのギャップに惹かれ、彼女のことをもっと知りたいと思った。