2023.11.30
深めるこの記事はライター講座の参加学生3名による、リレー連載 【海と人生】です。
今回は、学生ライターの「ゆかじ」編です。
前回の記事⇒函館の海で、初対面の「バイク乗り3人組」に悩みを打ち明けてきた話②
***
「人生ってなんだろう。海をゆっくり眺めている人たちは、何を想っているんだろう」
こんなソボクな問いをきっかけに、函館、そして小樽の海へ。
季節外れの海で、辿り着いた“答え”とはーーー!?
学生ライターの「ゆかじ」です。
突然だが、私はいま、人生に悩んでいる。
私は、30歳で大学院生をしている。一度就職をしたものの、もっと研究がしたいなぁと思い、仕事を辞めて、観光学の大学院へ進学した。研究生活は厳しいものの、やりがいがあり、充実した日々だと感じている。
ただ一方で、ふと周りの友人を見渡せば、就職し、結婚し、子育てをし、家を建てていて……。
大学院進学は、自分で決めたこと。そこに大きな後悔はないのだけれど、ふと、これでよかったのかな、自分の人生はどこに向かっているのだろうかと、心細くなる瞬間があるのだ。
そこで今回、学生ライター講座活動の一環として、季節外れの海にいる人たちに、人生相談をしてみることにした。
ゆっくりと海を眺めている人たちは、人生経験が豊富そうなイメージがある。彼ら彼女たちがどんな生き方をしてきたのかを聞いてみたいと思ったのだ。
この記事では前回に引き続き、「函館」の海で出会った人たちの人生観についてレポートする。
やってきたのは、函館の大町地区にある「緑の島」。ライター講座を受講中の 名畑くん(函館在住)と共に、取材相手を探すべく、島を歩き回った。観光地からは少し距離があるため、人はまばらだ。
函館湾と巴大橋が見える場所で、釣りをしている女性と、その近くのベンチで座って釣りを見ている女性を見つけた。
「何を釣っているんです?」と声をかけてみたところ、「イワシが入れ食いだよ」とのこと。
釣りをしているMさん(68歳)と、ベンチに座ってMさんを眺めているYさん(69歳)。二人とも函館に住んでいるらしい。
「天気がいいから、三人でお昼を食べにここにきたの。海を眺めてたら、イワシが釣れそうだなと思って、釣りをすることにしたの。1人は先に帰っちゃったのよ」と、Mさん。
「顔の写真は恥ずかしいから、勘弁してちょうだいよォ~」「でも取材はOKよ」とのこと。さっそく質問をしてみる。
「実は、いま学生なんですけど、今後の人生について悩んでいまして……。お二人は、人生で大切にしている価値観は何かありますか?」
「わたしらに聞いても、大した回答が出てこないわよ、平凡な人生だもの」とMさん。
「そうよぉ、旦那も平凡だものね」とYさん。けろりとした表情で、二人とも即答だった。
それでも食い下がって聞いてみると…
Mさんは 「楽しく生活すること」 、Yさんは 「ゆったり過ごすことね」 との回答をもらえた。
「ゆったり楽しく過ごすほうが人生楽しくなるからね。若い人たちの参考になるようなことなんてなにもないのよ〜。苦労してないの」「私たち、のほほ~んと生きてきたものね」と、お互いの回答にウンウンと顔を見合わせている。
妙に息の会った二人。そんな二人の出会いについて、聞いてみることにした。