2023.11.29
深めるこの記事はライター講座の参加学生3名による、リレー連載 【海と人生】です。
今回は、学生ライターの「ゆかじ」編です。
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「人生ってなんだろう。海をゆっくり眺めている人たちは、何を想っているんだろう」
こんなソボクな問いをきっかけに、函館、そして小樽の海へ。
季節外れの海で、辿り着いた“答え”とはーーー!?
学生ライターの「ゆかじ」です。
突然だが、私はいま、人生に悩んでいる。
私は、30歳で大学院生をしている。一度就職をしたものの、「もっと研究がしたいなぁ……」と思い、仕事を辞めて、観光学の大学院へ進学した。研究生活は厳しいものの、やりがいがあり、充実した日々だと感じている。
ただ一方で、ふと周りの友人を見渡せば、就職し、結婚し、子育てをし、家を建てていて……。
大学院進学は、自分で決めたこと。そこに大きな後悔はないのだけれど、ふと「これでよかったのかな」、「自分の人生はどこに向かっているのだろう」と、心細くなる瞬間がある。
そこで今回、学生ライター講座活動の一環として、季節外れの海にいる人たちに、人生相談をしてみることに。
ゆっくりと海を眺めている人たちは、人生経験が豊富そうなイメージがある。彼ら・彼女たちがどんな生き方をしてきたのかを、聞いてみたいと思ったのだ。
札幌から電車に揺られ、約4時間。
電車を降りてすぐに磯の香りがして、海の町に来た!という実感があった。
今回は、同じライター講座を受講中の 名畑くん(函館在住)との共同取材だ。
名畑くんと合流し、駅近くの老舗カフェ「カリフォルニアベイビー」で名物のシスコライスを食べながら、取材の段取りを練り、いざ、海へ。もちろん、一切の仕込みナシということで、ドキドキだ。
二人で向かったのは、函館の大町地区にある「緑の島」。
観光スポットの金森赤レンガ倉庫から徒歩10分くらいだが、人も少なく、ゆったりとした時間が流れている。
しかし、ここで困ったことに。
取材対象者を探すものの、人が全然いない……!しばらく島を歩き回ることとなった。
「足が疲れてきたな…」そんなことを思っていたら、島の駐車場で、とてもかっこいいバイクを見つけた。なにやら、三人組の女性が楽しそうに話しをしている。
「すみませ~ん!いま、海の近くにいる人に人生相談をしていて…
よかったらお話を聞かせてもらってもいいですか〜?」
「え~!?」「面白そう~!!」「なになに~?」
あきらかに怪しい声がけだったにも関わらず、三人とも興味を持ってくれたようだ。
これは面白い話が聞けそうな予感…!
■白いTシャツ:ゆきさん。北斗市在住・看護師(40代)
■黒いTシャツ:めぐさん。函館在住・専業主婦(40代)
■青いTシャツ:ことさん。函館在住・販売・接客業(20代)~パッと見たところ、めぐさんと同い年くらいに見えたのだが、なんとめぐさんの娘さん(!)とのこと。
ゆきさんと、めぐさん&ことさん親子は、この日が初対面。三人とも「バイク乗り」なんだそう。
「めぐさんはバイク界で有名なインスタグラマーなんですよ!私たちはインスタで知り合いました」と、ゆきさんが教えてくれた。
すかさず、インスタグラムを検索してみたところ、めぐさんのアカウントには、かっこいいバイクの写真がずらり。フォロワーも約5000人を超えている。
「たまたま私がソロで走っている時に、めぐさんに連絡したら、めぐさんもこれから走るってなったので、一緒にツーリングすることになったんです〜」とのこと。
お互いに初対面だとは思えないほど、かなり打ち解けているようすだ。
あらためて取材経緯を話し、「人生で大事にしている価値観は何かありますか?」と三人に尋ねてみた。
写真手前の白いTシャツが、ゆきさん。
ゆきさんの人生観は、「やりたいことをやる。思い立ったら即行動!」とのこと。
そう思う理由について聞いてみた。
「新型コロナウイルスが大流行したときに、看護師の仕事は、本当に大変で…。自分のための時間がなかったんです。もちろん仕事は大変だったけど、
あと何年生きられるかわからないから、なにか楽しいことをしたいと思って。それで、長年の憧れだった、バイクを始めました」
バイクに挑戦したことで、心から楽しめる趣味ができ、さらには職場の人間関係とは違う、新しい繋がりもできたという、ゆきさん。「だからこそ、まずはやってみることが大事」だという。
“他人との物理的な距離”も生まれ、仕事でも大変な想いをした、コロナ禍。
それでも、ゆきさんは、それにめげることなく、新しいことにチャレンジしたことで、新たな世界が広がり、他人との心の距離が縮まった。その経験が、いまの彼女の人生観に繋がっているようだ。