2023.11.22
出かけるそんな小田さんを、温かい目で見守る人がいた。
同店のオーナー、古屋 嘉章(ふるや・よしのり)さんだ。
同店は、35年前に『西28丁目駅』近くで開業。以降、2回の移転をしている。
「小田は、学生の頃から全然変わらないね(笑)」と、古屋さん。
実は、古屋さんと小田さんは、30年来の付き合い。
小田さんが学生の頃、古屋さんのもとでアルバイトをしていたんだそう。
小田さんは「学生の頃は、人と話すのがとにかく苦手で。喫茶店のバイトでそれを克服しようと思いまして…」と当時を懐かしむ。
こちらは、同店名物の「英国風黒カレー」(税込850円)。古屋さんが”師匠”に習い、60年以上受け継がれてきた、伝統の味。
「小麦粉とバターが黒くなるまで炒めるんだけど気を抜くとすぐ焦げちゃう。焦がさないように、30分以上も鍋を握り続けるからさ、何度も腱鞘炎になって参ったよ~。でも、つくるのが大変だからこそ、価値があると思う」と、古屋さん。
古屋さんがこの場所にお店を構えたのは、3年前。移転にあたり、ギャラリースペースを併設した理由について、古屋さんは次のように話してくれた。
「『ギャラリー』って、英語だと『画廊』っていう意味もあるし、『人が集まってる様子』も意味するでしょ。このお店は、そんなお店にしたい。珈琲を目的に来る人、アートを目的に来る人……他にもいろいろ。ワイワイと人が集まる空間にしたいんです」
照明の位置など、作品をより魅力的に見せる空間づくりは、小田さんも協力をしたんだそう。
古屋さんは、ギャラリースペースにこんな期待も込める。
「作家さんって、苦労してるのよ。作品を世に出しても、すぐに収入に繋がったりするわけじゃないからね。珈琲や食事を目的に来たお客さんが、ふらっとギャラリーをのぞいてくれるといいよね。作品のことを好きになってもらえるきっかけを、少しでも増やせるといいなと思う」。