2023.11.13

深める

6人兄弟を一人で育てた母が、亡くなった。“やんちゃ坊主”だった3男が「この一瞬のために厳しく育ててくれた」と感じたとき

急に姉から電話がかかってきて…

しかし、2022年5月6日。
急性心筋梗塞で、母・美智子さんが亡くなりました。享年53。

滝田投手は、当時をこう振り返ります。
「急に姉から電話がかかってきて、母が倒れたと聞いて。そのときは心配はしていたが、心のどこかで、会うまで生きているだろうと思っていた。病院で会ったときははもう、今までのことがフラッシュバックして、怒られたことも…涙が出てきました」

「野球をやめようと。やってて意味があるのかなって」

一度はそう思ったといいますが、「監督が、『プロを目指せ』っていただいて。『プロになって立派な墓を建てろ、お前が建てろ』って言ってくれて。そこで、母の気持ちを背負って野球を続けようと思いました」と話します。

涙とともに、母の思いを背負い「プロ」の舞台に挑戦することを決意した滝田投手。

「練習とか試合とかでもつらいこといっぱいあるんですけど、母が亡くなったこと以上につらいことはないと思いながら、毎日やってましたし、そこが一番の原動力かなと思います」

さらに、「兄弟の存在は大きかったですね。姉も自分がご飯とか困ったときに作りに来てくれたり、食べさせてくれたり、母の存在に近いようなことばかりしてくれたので」と話します。

姉・美里さんは、「本人が一番緊張していると思うけど、こっちもハラハラしてる、毎回、前の日に眠れなかったりしている」と話します。

プロ相手に見せた“衝撃的”な投球

母との別れから3か月。
釧路市で行われたプロ選手との交流試合。
そこでみせた投球は…”衝撃的”。

6回まで2安打・10奪三振・無失点。道が開けた瞬間でした。

HBC野球解説者の鶴岡慎也さんも、滝田投手の潜在能力を高く評価します。
「指にかかった時のストレート、ぬけたチェンジアップはいいものを持っている。まだ確率が高くないので、右バッターのインコースのクロスファイア、左バッターの外にラインに出せるようになったら、プロでも10勝できるピッチャーになる」

ドラフト直前、黒松内町に最後の里帰り。
少年団・黒松内スターズの後輩たちは、地元からプロ野球選手が出たら「サイン欲しい」と期待を寄せます。

町の人から「頑張ってね!」と声を受けた滝田投手は、「母は自分より緊張しているんじゃないですかね。不安だと思いますし、温かく見守ってくれたらいいな」と話しました。

黒松内町で母に手を合わせる滝田投手

Sitakke編集部

Sitakke編集部やパートナークリエイターによる独自記事をお届け。日常生活のお役立ち情報から、ホッと一息つきたいときのコラム記事など、北海道の女性の暮らしにそっと寄り添う情報をお届けできたらと思っています。

この記事のキーワードはこちら

SNSでシェアする

  • X
  • facebook
  • line

編集部ひと押し

あなたへおすすめ

エリアで記事を探す

FOLLOW US

  • X