2023.11.01
深める具体的にどう実行するか考えるとき、晴花さんの大学時代の経験が生きてきます。
晴花さんが所属していた酪農学園大学の研究室では、2014年から毎年、札幌市南区の石山地区で、地域の人と一緒にクマ対策の草刈りを行っています。クマとばったり出会わないよう、見通しをよくする対策ですが、今やすっかり、地域の恒例行事。住民どうしや、住民と学生との交流の場でもあります。
晴花さんも、大学時代、一度だけその草刈りに参加したことがありました。
「楽しかったんです。一般の人がクマに興味を持ってもらえる仕組みだったので、それをまるまるイメージして、資料ももらいました。石山での経験がなかったら、『クマ活』をどう進めるか、イメージしづらかったと思います」
「クマ活」も、60周年のその年だけでなく、恒例行事となりました。道外の観光客が参加する楽しみのひとつにもなっています。
2022年には初めて知床を飛び出し、札幌での「クマ活」も開催。
真面目な活動と思うかもしれませんが、晴花さんは終始、笑顔なのです。
「自然保護の活動って特殊な人が自己犠牲のもとでやるのが主流だったと思うんですけど、クマ活はやりたいからやってるんです。すべてのクマの命が救えるわけではないですけど、参加してくれた人が『楽しかったね、来年もやりたいね』と思える雰囲気を作りたい」
草刈りやゴミ拾いで、クマの出没がゼロになるわけでも、駆除されるクマがゼロになるわけでもありません。
実際に、「クマ活」で草を刈ったその日に、翌日草を刈ろうと思っていた場所で、クマが駆除されたこともありました。
「もっと早く対策していれば」…感じた後悔は、簡単には消えません。
ゴミ拾いをしているときに、目の前でタバコをポイ捨てされたこともありました。
それでも、「楽しさ」を大切にしていれば、「クマ活」が少しずつ人の意識を変えてくれると信じて、活動を続けています。