2022.08.20

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【札幌】森の中のレストランに、知床からゲストが来た理由とは?当たり前のようで大切な、暮らしの知恵

ここは札幌の森の中。

「mountainman(マウンテンマン)」という、アウトドアレストランです。

住所は非公開。ホームページに書かれた暗号=「42°59'13.9"N 141°21'38.6"E」をヒントに、探した人だけがたどり着けます。

この日は、知床からゲストが訪れました。

村上晴花(むらかみ・はるか)さん。知床でホテルを営む「北こぶしリゾート」の社員で、「クマ活」を担当しています。

「クマ活」は、ワークショップでクマについて一緒に考えたり、クマが住宅地に入らないように草刈りやゴミ拾いをしたりする活動です。「北こぶしリゾート」がおととし創業60周年を迎え、「地域への恩返し」として始めました。

この日は、初めての知床を飛び出しての「クマ活」。ここ「mountainman」には、クマが出たことはないといいますが、「これからも出ないように」と、前もって対策をするため、村上さんを招いたのです。

クマ対策に関心のある大学生らが集まり、クマについて考えるワークショップを行いました。

「こわい」という意見もありましたが、酪農学園大学でクマの研究をしている学生たちからは、「知れば知るほど魅力的」という声も。

力の強さなど、知ることでわかるこわさもありますが、「知らない」ということが、「こわい」という感情を必要以上に膨らませるのかもしれません。

村上さんは、実際に対策をしてみながら「ここにクマはいてほしくないな、と考えることが大事」と話します。

こわがるより先に、山との間の草を刈って、人とクマの「境界線」を作りました。見通しをよくすることで、クマと人がお互いに気づかないうちに近づくのを避け、ますますクマが来ないようにする対策です。

ただ、草刈りは自分の敷地ならともかく、河川敷などでは許可も必要なため、一人ではなかなかできません。

村上さんは、そんなとき、まずは「丁寧に生活する」こともクマ対策になると教えてくれました。

「ゴミをただただきれいに、時間通りに捨ててほしい。クマ対策…というか、クマを意識した生活になるのは誰でもできると思う」

右が村上さん、左は北海学園大学から参加した宗廣(むねひろ)みことさん

ゴミで人の食べ物や飲み物の味を覚えると、クマは繰り返し住宅地に来るおそれがあります。ゴミ出しの当たり前のマナーも、実は、クマを引き寄せないための対策になっているのです。

「クマ活」では、“活動”として「やるぞー!」と意気込むゴミ拾いや草刈り。それはきっかけであり、日常へと続いています。

詳細はこちら:連載「クマさん、ここまでよ

***
mountainman
・住所非公開(ヒント:42°59'13.9"N 141°21'38.6"E)
・定休日:月曜、火曜(祝日の場合は振りかえ)
・営業時間:平日は午前11時~午後3時/午後5時~9時、土日祝日は午前8時半から午後3時/午後5時から午後9時
※夜は前日までの予約制
・インスタグラム:
mountainman_sapporo

テントサウナもあり、森の中でととのうこともできる

文:Sitakke編集部IKU
2018年HBC入社、報道部に配属。その夏、島牧村の住宅地にクマが出没した騒動をきっかけに、クマを主軸に取材を続ける。去年夏、Sitakke編集部に異動。ニュースに詰まった「暮らしのヒント」にフォーカスした情報を中心に発信しています

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北海道の女性たちの明日につながる“きっかけ”を届けるWEBマガジン『Sitakke』と連動して、道内各地で根付くパートナーメディアの編集者や様々なゲストを交え、北海道各地で親しまれ愛される、ローカルな人、モノ、場所をお届けします!

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