9月頭、蘭越町は米の収穫期を迎えていました。
20ヘクタールの田んぼで「らんこし米」を作る、脇山良明さんの田んぼでは、大手の農業機械メーカーが最新鋭のコンバインを試運転していました。
このコンバインは、刈り取りとともにセンサーで米のうま味を測定し、数値化できます。
水田単位で味の傾向が把握でき、「らんこし米」のさらなる品質向上、差別化に役立つといいます。
脇山さん自身も蒸気の噴出には「心苦しい思いをもっていた」といいます。
でも、丹精込めて作ったコメを前に、「いざ収穫を迎えてしまえば、それも忘れてしまうぐらい今年のコメの出来も良さそうだ」と胸を張りました。
また、農業機械メーカーの担当者も「『らんこし米』が大好き」と話し、「悪い噂は本当にすぐに広がる時代だけど、貢献できることがあればサポートしたい」と話しました。
蘭越町には、7つの源泉があります。
影響は温泉街にも出ていました。
蘭越町の蒸気噴出現場のすぐそばには、大湯沼を源泉とする湯本温泉があります。
そこの温泉宿、紅葉音(あかはね)は、大湯沼から引き込んだ源泉100%の硫黄泉と、ゆったりとした部屋、近くの海でとれた新鮮な魚介を盛り込んだ豪華な料理が売りです。
突然起きた蒸気噴出は、客足にも影響を及ぼしました。
ここ数年、8月・9月は毎日満室状態だったのに、蒸気噴出を受けてキャンセルが出て空きが…。
客の数は6割ほどまで落ち込んでいるのだといいます。
泉質などに影響はないものの、蒸気噴出のイメージが先行して敬遠する宿泊者が相次いだとみられています。
紅葉音の女将、新岡香代子さんは「秋には、地元の野菜を使ったりお魚も新鮮なのでぜひ来ていただきたい」とアピールしていました。
三井石油開発は、健康被害や風評被害に対して個別にヒアリングして補償する方針で、宿泊業については、10月にも補償の申請を受け付ける予定です。
蘭越町の金秀行町長は「水質を含めて安全だということをしっかり発信して、蘭越を応援してくれたらありがたい」と話していました。
農業と温泉のマチを突然襲った蒸気。
噴出が収まっても、風評被害に対してはマチ全体で立ち向かわなければなりません。
■【どっち!?】真っ赤なキノコは実は…ことしは大発生!「毒キノコ」の見分けつきますか?
■食べものが届かない!?カギはあの「空きスペース」…子ども食堂に寄せられる支援どうつなぐ
■お迎えは午前3時…帰り道に迎えた誕生日。保護者と子どもに寄り添う「24時間保育園」【札幌】
連載「じぶんごとニュース」