2023.10.17
深める「それまでのシリアスモードから通常モードに切り替えた時間帯があって(笑)。その夜の9時頃からパーソナリティの皆方昭司と僕がかけ合いで喋ってたんですけど、夜になってみんな心細いだろうから、そろそろリクエスト曲に応えようということになって。
どんな曲が来てるかなとお便りを見たら当時流行っていたDA PUMPの『U.S.A.』で。まだどれくらい被害が出てるかわからない中だったので難しい判断ではあったんですけど、『よし、いっちゃえ!』と僕が判断してかけた。
でも結果的にこの状況での『U.S.A.』がすごくウケたんですよ。元気が出ましたって。その後、皆方は朝まで番組をやったんですけど、その間に3回かけたんですよね(笑)」
この『FMいるかが大停電の最中に『U.S.A.』を連発した』という事実は、いまでもリスナーの間で忘れがたい逸話として語り継がれている。
宮脇さんは、仮に自分が暗闇の中で中でラジオを聴いている立場なら、そこから流れてほしいのは普段通りの人の声と音だと明言する。
「僕らがそう思うなら、リスナーだって思うことはきっと一緒だと思うんですよ。ラジオはリスナーの代弁者であり共感者であるべきで。これだけの出来事を経験してつくづく感じたのは、聴き手が本当に求めるものは、実際に何かが起きるまでわからない。“その時”が来ないとわからないってことです。
でも、“その時”が自分に降りかかったときにラジオにどんなものを求めるかは、想像を巡らせることができる。その想像で出てきたものが、きっとリスナーがラジオに求めることだと思うんですよね」。
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『peeps hakodate』vol,117『「函館らしさ」を追いかけて。』より