2023.09.29

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「自主」と「公立」~交流で“生きた学校”として変わり続ける【連載】星のまなびや~札幌発・夜間中学校に集う人々(8)

校舎

札幌の繁華街、すすきのにネオンが灯る頃、その学舎(まなびや)に人々が通学して来ます。札幌市立星友館中学校は、すすきのに隣接する一角に、去年4月開校した北海道で唯一の公立夜間中学校です。高齢者、不登校経験者、外国出身者…通うべき時期に中学校へ行くことができなかった人たちが在籍しています。

10代から80代までの多様な老若男女が、中には過酷な体験をした人が、夜の帳(とばり)の降りた校舎に机を並べています。

なぜ学ぶのでしょうか?なぜ学ぶことができなかったのでしょうか?何を求めて集うのでしょうか?星空の下、学び直しをする人々のそれぞれの事情と姿をお伝えします。

⇒前回:モロッコと清龍~異国で生まれ育ったある日本人の場合・その3「再びホームレスと…」【連載】星のまなびや~札幌発・夜間中学校に集う人々(7)

エピソード(8)は、「自主」と「公立」~交流で“生きた学校”として変わり続けるです。

ボランティアが支える自主夜間中学

星友館中学校の前に建つ二宮金次郎像

北海道には公立の夜間中学校は札幌市立星友館中学校、一校しかありません。しかし広い北海道で学び直しを求める人たちは各地に多くいます。

そのため元教員らが先生となって運営する民間の自主夜間中学が、札幌、函館、釧路、旭川、北見の中核都市に設けられ、星友館中学校と同じようにさまざまな経歴の生徒が学んでいます。

(イメージ)

民間の自主夜間中学の授業は週1~2回で、中学校卒業の資格を得ることはできません。先生役の元教員ら運営スタッフはボランティアで、義務教育の公立学校に供される校舎の設置や給食などの行政支援はなく、自治体による助成がわずかにある程度のぜい弱な状態です。このため各地の自主夜間中学は、公立の夜間中学校の設置を自治体や国に長年求めています。

自主と公立と交流と

「北海道夜間中学交流会」の会場(札幌市・9月9日)

こうした中で、北海道の民間の夜間中学と公立の夜間中学校に学ぶ人たちの代表が一堂に会して、日ごろの学習の様子や課題などを話し合う交流会が9月9日、札幌で開かれました。交流会は2007年以降、コロナ禍の数年を除いて毎年開かれています。

交流会の参加者

今年の参加者は、オンラインでの参加も含めて140人以上になり、会場のかでる2・7の大会議室は各地で学ぶ生徒や教職員、ボランティアスタッフらであふれ返る盛況ぶりでした。

自主夜間中学「釧路くるかい」の生徒・山口環暢さん

釧路市にある自主夜間中学「釧路くるかい」に通う山口環暢(やまぐち・たまき)さんは、学ぶ楽しさを日々の課題に重ねて報告しました。

「私は58歳で、6人の孫がいて、昼間は給食の仕事をしながら夜間中学に通っています。中学生のころは遊んでばかりいて、気がついたら受けることができる高校がなかったんですね。大人になって悔しい思いをたくさんしました。夜間中学のことを新聞で知って、まずは見学に行き、大人の人が多いことに驚き、安心して、学び直しを始めました。

数学を勉強していて問題を一つ一つ解いていると、自分の人生に重なり、生きてゆくことの課題を一つ一つ解いてゆくような大切さを感じているところです。将来は、自分が何かを教えられる側にいることを日々夢見ています」。

札幌市立星友館中学校の生徒・福沢由佳さん

札幌市立星友館中学校に通う福沢由佳(ふくざわ・ゆか)さん(35歳)は、中学2年生の時の不登校の経験を踏まえて、人とつながることができるようになったことを報告しました。

「星友館中学校に入学する前は札幌遠友塾に通っていました。そこでも途中で外に出ることができなくなって、休んだ時期もありました。星友館に移ったのは私にとっては挑戦で、今は生徒会の役員も務めています。

入学前は人前に出ることが怖くて声も出なくなってしまう自分でしたが、今こうして発表していることが信じられないです。あと半年で卒業の見込みですが、卒業したら、ちゃんと仕事をして、いろんな人とつながりたいです」。

Sitakke編集部

Sitakke編集部やパートナークリエイターによる独自記事をお届け。日常生活のお役立ち情報から、ホッと一息つきたいときのコラム記事など、北海道の女性の暮らしにそっと寄り添う情報をお届けできたらと思っています。

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