2023.09.28
深めるその思いをカマルさんは「運動会をみんなでやろう。家族や友だちも参加できるイベントをみんなでやろう」とクラスメートに提案し、賛同者を集め、学校と相談し、スポーツ交流会とは違ったもう一つの運動イベントとして、「運動会」を生徒が自主運営する形で実現させました。
運動会は、去年に続いて今年も7月に行われ、生徒に加えて大勢の家族らでにぎわいました。
カマルさんは、学校が終わって帰宅し、就寝するのは毎日午後11時ごろです。その4時間後の午前3時には起きて、また仕事へ向かいます。
「電気関係の資格を取りたいと思っているんです」。
カマルさんには現在、高校3年生の息子もいて、去年、日本国籍を取得しました。学校の勉強に加えて、資格試験の勉強も始めました。子どもの頃、母親に言われた言葉をようやく実践するかのように、「もっともっと勉強したい(本人談)」と思っている日々です。
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*注1)札幌市立星友館中学校は、入学を随時受け付けています。9月から12月までの間に受け付けの場合は来年4月入学となり、来年1月から8月までの間に受け付けの場合は来年5月から10月までの間の入学となります。詳細は同校へお問い合わせください。
*注2)北海道には公立の夜間中学校とは別に、元教員らのボランティアが運営する「札幌遠友塾」など民間の夜間中学(自主夜間中学)が3校あります。これらの中学は、学校としての認可を受けていないため、中学校の卒業資格を得ることはできませんが、週1回の緩やかなスケジュールで、既に中学校を卒業してゆっくり学び直しをする人や、日本語を習得したい外国人らが学ぶ場として1990年から存続しています。札幌市立星友館中学校は、札幌遠友塾の実績を元に、週5日制の公立中学校として開設されました。
◇文:HBC・油谷弘洋
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●エピソード(1)モロッコと清龍~異国で生まれ育ったある日本人の場合 その1「思い出したくもない過去」
●エピソード(2)モロッコと清龍~異国で生まれ育ったある日本人の場合 その2「奇跡の来日」
●エピソード(3)農作業と入院~少女時代を取り戻す82歳と72歳の青春
●エピソード(4)同級生の前にさらされて…不登校経験者・Y(19歳)
●エピソード(5)「虐待で育ったから…」父子で通う同級生親子
●エピソード(6) 3時起床23時就寝…もっと勉強したい56歳
●エピソード(7) モロッコと清龍~異国で生まれ育ったある日本人の場合・その3「再びホームレスと…」
●エピソード(8)「自主」と「公立」~交流で“生きた学校”として変わり続ける”まなびや”