2023.09.14

暮らす

【札幌】かわいい!ラテアートで描いたメッセージとは?「クマだらけ」のカフェで語り合ったこと

札幌のラテアートで人気のカフェ。
8月23日の夜、このときだけの絵柄が登場しました。

カフェでラテを楽しみながら、語り合ったこととは?

連載「クマさん、ここまでよ

札幌・豊平区の、地下鉄南平岸駅から徒歩1分の場所にある「nounours cafe (ヌヌースカフェ)」。

白を基調にした店内には、いたるところに「クマ」が…。

nounours (ヌヌース)はフランス語でテディベアという意味。

さらに、店主のお名前が、熊井弥(くまい・いよ)さん。
子どものころから「くまちゃん」と呼ばれることが多かったそう。

そんな「クマだらけ」のカフェで、8月23日の夜、イベントが行われました。

円になって語り合うのは、「クマ」のこと。

イベントを主催したのは、NPO法人TSUNAGUの中島明子(なかじま・あきこ)さん。
クマとの共存をテーマに、クマ対策のごみ拾いや草刈りなどのイベントを開催しています。

もともとこのカフェの客だった中島さん。
「クマ」つながりで、カフェでのクマイベントの開催が決まりました。

熊井さんと中島さん

参加者は10人限定。
中島さんは、「クマのニュースを、クマ目線で見直してみましょう」と呼びかけました。

たとえば、山菜採り中に、クマに襲われて、けがをしたというニュース。
クマ目線だと「なぜ」だと思うか、中島さんが問いかけると、参加者は「出会い頭で、びっくりしたのでは?」と答えました。

さらに、車を追いかけるクマの映像のニュース。クマの近くには子グマもいました。
参加者は、「母親が子どもを守るため?」と答えます。

中島さんは、ごみの不始末やエサやりなど、人の行動が原因で住宅地に出てきてしまうクマもいることを紹介。
「私は専門家でもハンターでもありません。ごみの管理をする、作物を囲う、そんなことしかできないけれど、クマを引き寄せる原因をひとつでもなくすのは重要」と話しました。

庭のリンゴを食べるクマ(札幌・南区/2019年撮影)

中島さんがクマ対策に取り組むようになったきっかけは、2019年の夏、札幌市南区の藤野・簾舞地区に毎日のように出没したクマでした。

このクマは、家庭菜園のトウモロコシやリンゴなどの味を覚え、繰り返し住宅地にやってきました。最初は夜だけでしたが、だんだんと人に慣れ、明るい時間にも出てくるようになり、ついには駆除されました。

もともと動物が好きだった中島さんは、「なぜ駆除しか選択肢がないんだろう」と思ったそう。
そこでクマのことを調べ始め、「クマを引き寄せないために、市民にもできることがある」と学びました。

じぶんごととしてとらえてくれる人を増やしたい。ふつうの人が、負担なくできることを増やして、一般市民の輪を広げたい」と思い、NPOでの活動をスタートしたといいます。

イベントの参加者は、カフェの常連客がほとんど。
1500円で、ドリンクと、ハム&チーズのパニーニのハーフを楽しめるというイベントにしました。

中島さんは、「客として来て、こんな雰囲気のいいお店に来るような人たちに、クマのことを知ってほしいと思ったんです。ふだんクマに縁がない人にも、ひとつでも伝わることがあればうれしい」と話していました。

「クマに縁のなかった」人にも、考えるきっかけを。
だからこそ、カフェで円になって、おいしいドリンクとパニーニを楽しみながら語り合う、おだやかなイベントにしたのです。

ドリンクのラテアートは、この日の限定の絵柄。
クマと人が、手をつないでいます。

中島さんの話を聞いた後に、ドリンクを受け取った参加者たちは、説明を受けずとも「クマと人の共存ですね」と、ラテアートに込められたメッセージを感じ取っていました。

参加者は、
「このカフェが好きで、イベントを知った。ことしもクマのニュースが多かったので興味を持って来てみたら、人のほうが気を付けるべきことがあるとわかった。ごみの管理に気を付けたい」
「登山が好きなので普段からクマについて調べている。『殺せばいい』じゃない、人に原因があると再認識した」
などと話していました。

かしこまったイベントではなく、参加者が「ありがとうございました」「またカフェに来ますね」と笑顔で帰っていく姿が印象的でした。

中島さんは、「一般市民だから、ひとごとでいいわけじゃない。市民だからこそすべきことがあると、共感してもらえたらうれしい」と話していました。

【ヌヌースカフェの通常営業時のメニューなどの詳細は、連載「ごほうび糖分」で紹介しています】

連載「クマさん、ここまでよ
暮らしを守る知恵のほか、かわいいクマグッズなど番外編も。連携するまとめサイト「クマここ」では、「クマに出会ったら?」「出会わないためには?」など、専門家監修の基本の知恵や、道内のクマのニュースなどをお伝えしています。

文:Sitakke編集部IKU

※掲載の情報は取材時(2023年8月)の情報に基づきます。

Sitakke編集部

Sitakke編集部やパートナークリエイターによる独自記事をお届け。日常生活のお役立ち情報から、ホッと一息つきたいときのコラム記事など、北海道の女性の暮らしにそっと寄り添う情報をお届けできたらと思っています。

この記事のキーワードはこちら

SNSでシェアする

  • X
  • facebook
  • line

編集部ひと押し

あなたへおすすめ

エリアで記事を探す

FOLLOW US

  • X