HBCテレビ「今日ドキッ!」から、選りすぐりの情報をお届けします。
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新しいお店が次から次へとオープンする一方、長く続いているお店があります。
北海道で50年以上続くお店にスポットをあて愛されている理由を探るコーナー「ザ・ロングセラー愛されるにはワケがある」。
今回は、59年に渡り、高校球児や野球ファンに愛されている食堂に注目しました。
数々のドラマを生んで来た道産子球児たちの聖地、「札幌市円山球場」。
その1階に、どこか懐かしいレトロな雰囲気が漂う食堂があります。
住所:中央区宮ヶ丘3 円山球場1階
営業:円山総合運動場で試合・イベント開催日のみ
※冬季の営業は無し
ここのお店のロングセラーはカレーライス。
誰でも、おいしく食べられる優しい味わいで愛されています。
試合を応援する観客はもちろん、球児たちもお腹を満たしにカレーを食べに食堂にやってきます。
1964年に営業をスタートした「円山球場食堂」。
以前、円山球場ではプロ野球やオートサーカスを開催するなど、娯楽の中心と言える場所でした。
そして、現在は高校野球がメイン。
特に夏の大会は集客が集まって盛り上がります。
その時期は食堂も忙しくなります。
先月、甲子園出場をかけ、激闘が繰り広げられた南北海道大会。
今年から声援を送る事ができるようになり、スタンドも以前の活気を取り戻しました!
大会初日。
食堂は朝からカレー作りで大忙し!
この日は460人前分のカレーを準備していました。
巨大な寸胴で大量のカレーを3時間かけて作ります。
ルウをかき混ぜるには、相当な力が必要です。
さらに…。
厨房の温度が50度に!
暑さが大変だけど、カレーを焦さないようにするために鍋から離れるわけにはいかないとスタッフは言います。
丁寧に作り上げられたカレーは常連客にも大評判です。
1964年の創業当時から人気メニューだった「カレーライス」。
実は、味に変化がありました。
レシピを変えたのは5年前。
使う材料や調味料を見直し、より愛される味を追い求めました。
スパイスの配合を変え、以前のカレーよりもピリ辛に。
さらに、玉ねぎの量を3倍近く増やした事で、野菜の優しい甘味を感じる味わいにレシピを変えました。
「味の変化に気づいたお客さんはいなかった。円山球場へ来たらカレーを食べるという、食堂の先輩たちが築いた伝統があるのかなと思う。」と店長の井上さんは言います。
それが功を奏したのか…
注文数は増え、約7割のお客さんがカレーを頼むそうです。
円山球場の名物として多くの人に愛されているカレーライス。
消滅の危機を迎えていた過去がありました。
2020年5月。
店長の井上さんが勤めていた会社が、コロナ禍で円山球場食堂の運営から撤退。
半世紀以上の歴史に幕を閉じ、名物のカレーは姿を消すことに…
閉店を受け入れ、片付けを進める井上さんでしたが、食堂を存続する、あるキッカケがありました。
食堂のスタッフが、「食堂を続けましょう。」と声をかけたのです。
さらに、長年食堂を見てきた球場の職員までもが「協力するので、閉店を考え直してほしい。」との声。
食堂のカレーを食べて、その後に野球を見るという人もいるので、何とか残したいと思う気持があったと言います。
続ける事を決心してから、2か月後に営業は再開。
しかし、待っていたのは辛い現実でした…。
コロナ禍で営業をしても一般の客は球場には入れなかったため、売り上げはよくありませんでした。
店長の井上さんは無給で働いたと言います。
そんな状態が1年以上も続きました…。
しかし、周りの応援や協力があり、何とか耐えながら営業を続け、ようやく今年、食堂に以前までの活気が戻りました!
試合の勝利を願って!
願掛けで大きなカツが乗ったカツカレーを食べるお客さんも多いのだそう。
さらに、エビフライや食べ応えがあるザンギが乗ったものなど沢山のバリエーションでカレーは人気を集めています。
“円山球場と言えばカレー”ということが長年積み重なり、伝統の力で愛されているのではないか。と店長の井上さんは言います。
※掲載の内容は番組放送時(2023年8月3日)の情報に基づきます。