2023.07.22

深める

同棲を解消したいけど、相手との関係性は崩したくない。どうすればいい?【お悩み#42】

は〜い皆さん、ご機嫌よう!「お悩み相談コラム」担当・満島てる子です。

ねぇ聞いて聞いて!お知らせしたいことがあるのよ。
なんとね!

ライター・満島てる子

こちらの連載「 てる子のお悩み相談ルーム」、なんとおかげさまで、Sitakkeの立ち上げとともに2周年を迎えることができたんです。
やぁん!嬉しみJAPAN2023って感じ!(?)

こちらのコラムを読んでくださっている皆さん、いつも本当にありがとうございます。

この2年のあいだに、応募フォームには様々なお手紙が届き、その都度みなさんのお声をずっと受け取ってきました。
紹介できたお悩み、できなかったお悩みの差はあれど、どれも内容は真剣なものばかり。
時には、取り上げた方から感謝のお手紙をいただくこともあって、「きちんと言葉が届いているんだなぁ」と目頭が熱くなることもあったの。

これからも読者の方々と、人間のにっちもさっちもいかない感情の海原へと一緒に溺れていこう!(相談受ける側にあるまじきスタイル……)、だなんて思っているわたし。

早速3年目、どんなスタートを切ろうかなと思っていたんだけれど、
つい先日「これはなかなかの航海になりそう」と思わずうなっちゃう相談が来ていたんです。ナイスタイミングだわぁ。

記念すべき1発目、荒波の船出となるかはてさて、というところですが、早速いただいた投稿をご紹介したいと思います。

読者のお悩み

いやぁ……改めて読んでみたんだけれど……。
これ、もしかしたら港から出れないレベルで海も大しけな内容かもしれないわ。笑
とはいえ「私の心は1DK」さん、まずはお手紙ありがとうございます!未来の方向性までバチっと示しちゃうピリ辛(?)で素敵なペンネームだけれど、以下では1DKさんと呼ばせていただこうかしらね。

なるほどなるほど。パートナーさんとの同棲についてね。
「うっわ〜わかる」ってところと、「身につまされるわぁ」ってなるところとあって、あたしとしては生き方の軸をなんだか揺さぶられるような心持ちになっていました。

いやね、まぁあたしは人生をともにするというか、今一緒に住んでいるような人がいるわけではないから、その点ではリアルな問題として受け止めきれていない部分があるかもしれないんだけれど……。

例えばね、あくまで妄想していただけで実践しようとしたことはないのですが、「究極の理想は、パートナーと同じアパート内で別居することです」ってところ、お手紙見ながら「マジでそれ思ってた!!!」って声上げちゃったぐらい、あたしは激しく共感をしちゃいました。

そうなのよねぇ。大切な人だったとしても、生活リズムやライフスタイルへのこだわりも違うかもしれないし、なら近場で生活するぐらいが一番お互いの邪魔もせずに済むというか、同じマンションは難しくても、お隣の建物で行き来しあうとかでもいいんだよなって思うのよ。

しかも、投稿中にも書いてくれているように、同性カップルとなると2人で一緒に住む物件探しが実は大変(今はパートナーシップ制度などでのサポートもありますが、手続き上のめんどくささにはじまり、「正式に結婚していないなら貸さない」と物件のオーナーから話を蹴られてしまうなどの困難があるのよ。同性婚がないこの国って、間違いなく遅れてるよね)。その段階で2人で疲れちゃって、その後ひょんな拍子で関係性が悪くなるぐらいなら、すぐ会える距離感で付き合い続ける方が色々うまくいきそうじゃない?

そんな風に「そうよね!そうそう!」とうなずく部分もある一方。
どうしても「ひぃい……許してェ……なんなら許してあげてェ……」となっちゃった箇所もあるのよ。
それは、やっぱりモノ持ちの部分。

ミニマリストの友人もいたりして、「そういうの憧れるなぁ」と思ったりすることもあるのですが、あたしは職業柄というところに、生来の不精も合間って、もんのすごい量の女装道具たちと共に生活しているのよ(その数たるや、つい先日までダンボール50箱分でした(!))。

女装に目覚める前、大学で研究していた頃も結局似たようなもので、自分の研究分野の書籍を集めまくった結果、でかい本棚が3つあっても追いつかない蔵書数になってしまったり(今は実家の一部屋を占領しているそうな)。
もうね、これは性というか、生まれもってのものなんじゃないかなぁって思ってるのよね。

いろんなお掃除本も読んだりもしたし、その度に触発されて「さっさと全部捨てる!」「命根性から変わるのが大事!」とか、意識改革に励んだりもするんだけれど……。
ちょっと生活が忙しくなったりすると、そんなの忘れて部屋の中、すーぐドラえもんの「なんかないか!!汗」状態(ドラえもんって焦ると、このセリフ叫びながら、秘密道具を4次元ポケットから出しまくるの。旧劇場版の『のび太の恐竜』と『海底鬼岩城』参照)。

部屋をピカピカにできちゃうタイプの人は「信じられん」って思うかもしれないんだけれど、あたしみたいな人は一定数世の中にいると思うのよね。1DKさんのパートナーもきっとその1人なんじゃないかしら。
そしてそういう人って、実は心のどこかで「こんなモノまみれの自分と一緒に暮らせる人なんていないかも……」って、暗い不安を抱えている気がするのよ(少なくともあたしは正直そうです。とほほ……)。

そんなこんなで。
今回のお手紙をきっかけとして、自分の人生大丈夫そ?と思わされたりもしましたが。笑
1DKさんサイドだったり、はたまたパートナーさんサイドだったりと、今回の相談内容の見方を己の中で変えたりしながら、「やっぱり生活のあり方って本当に人それぞれだし、だからこそ“誰かと一緒にいる”って難しいのよねぇ」と、同棲することの大変さに思いを馳せたりもしていたのでした。

あたしなりのAnswer

さてさて、おそらくこうしてあたしがキーボードに向かっている今もなお、一人暮らししたいという意向をどう伝えようか、その頃合いを真剣に探っているであろう1DKさん。
ここからはモノ持ち女装(?)なりの精一杯のアドバイスを、あなたにお送りしようと思います。

まず、別居を切り出すタイミング。
これについては、早ければ早い方がいいと思います。
「片づけを通して自分と向き合う中で」、すでに1DKさんは「恋人と暮らす家に幸せを感じなくなっている」んですもの。パートナーに対する違和感があるだとか、そんなレベルはもう超えてるんじゃないかしら。
そこまで気持ちが至っているのなら、自分のモヤモヤを溜めながら生活し続ける方がバッドチョイス。相手とすぐにでも話し合いのテーブルにつくべきだと、個人的にはそう考えちゃうのよね。

ただし。
それを伝えるときに、「別居したいの」「猫をどうしたいか決めたいの」とか、具体的な話をいきなりするのではなくて、まず「あたしこの頃、こういう気持ちでいるの」と、自分の心持ちを相手に共有するところから始めてみてほしいんです。

こんまりさんの本に1DKさんが影響を受けたのなら、たとえばファーストコンタクトとして、パートナーに「あのさ、これ読んでみてくれない?最近ハマってて」と、書籍を貸してみるのもよし。
相手のモノがリビングに置いてあって気になるのなら、「少し自分なりになるけど、ここら辺片付けてみてもいい?」って聞いてみるのもよし。

もちろん、例えば食事を一緒にしているタイミングなどで、率直に「あたし最近ミニマリスト寄りなの」って話してみるのも効果的でしょう。
そうやってスタートは徐々にでいいので、相手に「あたし、モノがない方が好きなの」っていうのを、言葉と行動の両軸で伝えてみてください。
そして「もう伝えるだけ伝えたな」と思った段階で、「実はね、今のおうちについて考えていることがあるの」と、交渉というか提案というか、1DKさんの胸に秘めていた「こうしたい」をパートナーに投げかけてみてはどうかな、って思うのよ。

もしかしたら、この気持ち共有の過程で、パートナーさんが1DKさんと同じように、片付けの魔法にかかるかもしれない。
そしたら、もうしめたもの。ふたりで理想の部屋を一緒に作ってみてください。

そうならなくても、この共有作業は大事。
だって別居してからもパートナーシップは続けたいわけじゃない?
だとしたら、自分のことも相手のことも、お互いがきちんと知っておく必要があるわけで。
1DKさんのこだわりというか、譲れない部分は今のうちからしっかりわかっておいてもらうべきだと、あたしとしてはそう感じるんです(「退去の準備の最中に虚しくなることを想像して、覚悟が決まらない」と手紙に書いてくれていたけれど、その覚悟をするためのいい準備にもなると思うしね)。

ベースがしっかりできた上で話せば、パートナーの理解の幅も広くなってくるはず。
猫ちゃんのことや、ふたりの未来のことも、きっと積極的に話を聞き、ときに意見を出してくれるんじゃないかしら。
1DKさんの「同じマンションに住む」という夢についても、実はノリノリで「それ自分もしたかった!」と言ってくれるかもしれない。

なんにせよ、ひとりでどうにかならないことって、ふたりで考えられる下地を作ってみるだけで、割と打開策が見つかったりするもの。
お相手と今一度手を取り合うことができれば、「共にいる」ことの新しいかたち、楽しく探していくことができるんじゃないかしら。

これからも一緒にいたいなら、まず一緒に考えてみる
そこからまず、1DKさんはトライしてみてください。
そして、うまくいかなかったら、またお手紙ください。それこそ画面越しにはなるけれど、独り身の寂しい女装なりに、あなたと一緒に考えてみたいと思うから(お気軽に〜)。

理想の部屋で暮らしながら、パートナーとも時を共にできる。
そこに至る道は平坦ではないかもしれないけれど……1DKさんの望みが叶うよう、同じ札幌の片隅から、あなたのことを応援していますね!

ま・と・め♡

というわけで、今回は「誰かと暮らすこと」の難しさについて、1DKさんのお手紙からいろいろと思いを巡らせてみました。

にしてもさぁ……いやぁ、いろんな困難はあるとはいえ、やっぱり誰かと暮らすのってあたし憧れなのよ。

朝、パートナーのために味噌汁作ってさ。「今日も具はキャベツとベーコンなのか……」「何?!あんたまた文句言うのかい?!」(云々)って大喧嘩とかして(お気に入りの組み合わせなの、キャベツとベーコン)、しばらく口きかないんだけども。
仲直りにデートとかして、夜はリビングでホラー映画とか見てキャイキャイするの。←

……はぁ、また妄想が暴走しちゃったわ……。
誰か「俺と一緒に暮らさないか?」とか甘い申し出をしてくれる殿方、いたりしないかしら。

こんな調子で、3年目初っ端からすでにマイペースなあたし。
お願い、読者の方々、どうか飽きずに着いてきてね!

ではでは皆さん、Sitakkeね〜!

***
文:満島てる子
イラスト制作:VES
編集:ナベ子(Sitakke編集部)
***
満島てる子:オープンリーゲイの女装子。北海道大学文学研究科修了後、「7丁目のパウダールーム」の店長に。LGBTパレードを主催する「 さっぽろレインボープライド」の実行委員を兼任。) 2021年7月よりWEBマガジン「Sitakke」にて読者参加型のお悩み相談コラム【てる子のお悩み相談ルーム】を連載中。

Sitakke編集部

Sitakke編集部やパートナークリエイターによる独自記事をお届け。日常生活のお役立ち情報から、ホッと一息つきたいときのコラム記事など、北海道の女性の暮らしにそっと寄り添う情報をお届けできたらと思っています。

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