視聴者からの疑問や悩みを調査するHBC報道部の「もんすけ調査隊」。
今回は、札幌市の地下鉄の3つの謎に迫ります。
依頼者は、札幌市の「しゅうや」くん、8歳。
小学校の自由研究の工作でも、地下鉄を作るほどの大の地下鉄好きです。
そんな「しゅうや」くん、どうしてもわからない疑問が3つあるといいます。
さっそく札幌市営地下鉄・南北線の駅で調査を開始すると…
確かに、パンタグラフが付いていません!
パンタグラフとは、電車などの屋根に付いている電気を取り入れる装置のこと。
東西線と東豊線には付いているのに、南北線には付いていないといいます。
いったい、どういうことなんでしょう?
この疑問に答えてくれたのは、札幌市交通局運転係の髙橋英広係長。
「南北線にはパンタグラフが付いていませんが、電車の床下に負集電器という装置が突き出たように設置されており、この負集電器と第三軌条というレールを接触させることで電気を取っています。この白い碍子(がいし)の上のレールの中に、750Vの電気が流れている」
つまり、 東西線と東豊線は屋根の上から 電気を取っており、 南北線は下から 電気を取っているというわけです。
でも、どうして、南北線だけパンタグラフにしなかったのでしょうか?
髙橋係長によると、「札幌で一番古い地下鉄が南北線だが、建設当時は第三軌条が主流だった」といいます。
南北線が開通したのは1971年。
その後、1976年に東西線、1988年に東豊線が開通しましたが、東西線開通のタイミングで、パンタグラフに変更したといいます。
その理由は、「第三軌条では、線路に人が転落した時に感電する恐れがあり、危険だったから」とのこと。
つまり、線路に転落した乗客が感電しないよう、パンタグラフに変更したんです。
トンネルの中を走る地下鉄。
雨も降らないのに、なぜワイパーが付いているのか?
高橋係長が教えてくれた驚きの理由は…
「地下を走っている時もトンネルの中なので、 湿気 などで水滴が落ちてくることがある。私も現役で運転手をやっていた頃は、ワイパーを使ったことがある」
そう、トンネル内を走る地下鉄でも、結露などで水滴が落ちてくる事があるんです。
だから、ワイパーが付いているんです。
しかもこのワイパー、実は 手動で動かしている といいます。
実際にワイパーで結露をふき取る機会は非常に少ないため、電動ではなく手動なんだそうです。
なぜ地下鉄のブザーがなくなったのか?
みなさんも記憶にないでしょうか?
昔は地下鉄のドアが閉まる時、「プー」という音と共にブザーがなっていました。
しかし今は、プーという音だけで、ブザーがなくなっています。
髙橋係長によると、「可動式ホーム柵ができてからは、ホーム柵の閉まる時にチャイム音を鳴らすので、そのチャイム音と重なるのを防止するためにブザー音を停止している」ということです。
札幌市の地下鉄にホーム柵が設置されたのは、2008年のこと。
当時、酒に酔った客が転落する事故などが年間30件ほど起きていて、その防止策として、10年でおよそ150億円をかけて全駅に設置されました。
なぜホーム柵の音とブザー音が重なるとダメなのかというと…
「目の不自由な方は、ホーム柵の動きを音でしか認識できないので、ホーム柵の音をより認識してもらうために、出発放送のブザー音を停止した」とのこと。
昔の映像でチャイム音とブザー音が鳴っている貴重な映像では、確かに、色々な音が鳴っており、チャイム音はほとんど聞こえませんでした。
そのため発車ブザーを鳴らさないようにしたんですね。
障害について正しく知ってもらう活動をする「白杖ガール」の杉本梢さんに話を聞くと…
「音は安全に歩くための大切な道しるべ。音をよく聞いて乗り降りをしている」ということです。
また、杉本さんは、電車に乗る時、音以外にも気をつけていることが。
誤って電車とホームの隙間でケガをしてしまう危険があるので、白杖を使って、隙間の幅と位置を確認してから乗車しているということです。
ホーム柵が設置されていても、乗車する時には、隙間に注意しないといけません。
落ちないか、ぶつからないか、「見守ることも支援になる」と杉本さんは話していました。
文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あい
※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2023年7月13日)の情報に基づきます。
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