2023.06.27

暮らす

【札幌】クマ対策で一石二鳥!?お得・うれしいメリットもある「これからのクマボラ」

今シーズン、札幌では去年の約1.7倍のペースでクマが出没しています。

対策の広がりが必要とされていますが、入り口は「まじめにクマ対策しなきゃ」という思いでなくても、いいんです。
「うれしいメリットがあって、クマ対策にもなる」、一石二鳥の取り組みがあります。

連載「クマさん、ここまでよ

お得な「循環型クマボラ」

5月、札幌市南区・砥山地区。

川をつたってきたクマが、果樹園に近づかないよう、木や草を刈って見通しを良くします。

担い手は、札幌の環境市民団体「エコ・ネットワーク」の呼びかけで集まった、ボランティアの人たちです。

2019年夏、札幌市南区の藤野や簾舞の住宅地に、毎日のように現れたクマ。庭のリンゴやトウモロコシを荒らしました。

その後の調査で、クマの出没は、誰も管理しなくなった「放棄果樹」が、きっかけになっていることがわかりました。

そこで「エコ・ネットワーク」が、「放棄果樹」の撤去ボランティアを2020年に開始。
今年から、営業中の果樹園周辺の対策にも乗り出しました。

エコ・ネットワークの小川巌代表は、「今回がまさにこれからのクマ対策のひとつ。周辺も含めて予防的にやっていく。切って終わりではなくて有効利用する、循環型に持っていければいい」と話します。

切った木は、参加者が持ち帰ることもできるのです。
まきストーブを使う人にとって、お得な試みです。

この日、切った木を車に積んでいた参加者は、「まきストーブをたいてコーヒーをいっています。よくクマが出ているがその防止の一端になれば。しかもまきがもらえる」と笑顔を見せていました。

「冬のまきストーブ用に」木を持ち帰るという人は、「理想はクマと人間の共生。すぐ殺しちゃうのはかわいそうだよね。お手伝いする代わりに薪をいただきますよと、ウィンウィンの関係性」と話していました。

それだけではありません。
さらに広がるメリットもあるんです。

学びになって、安く販売も

北広島の白樺高等養護学校。
クマボラで伐採されたサクランボなどの木を、木工作業の実習に使っています。

木は丸太ごと運ばれ、倉庫で乾燥させます。

サクランボの木はあまり流通することがなく、海外の木材だと高くて購入できないため、かなり希少価値の高いものだといいます。
さらに、固くて加工がしやすく、生徒の実習にはぴったりだそう。

素材のあたたかみを生かしてテーブルや小さな木ベラなどを作り、年に数回、販売しています。希少な木材を使った製品が、100円から6000円ほどで安く購入できるので、販売会に訪れる客にとってもメリットのある取り組みです。

この実習を担当する吉田栄治教諭が、テレビのニュースでクマボラを知り、エコ・ネットワークに問い合わせたのがきっかけでした。
吉田教諭は、「サクランボの木は色が非常にきれいで固さもあるので、高級感が出る。生徒も価値のあるものを作っているという実感や、やりがいが出る」と話します。

クマボラの木を再利用する活動が注目されたり、一般に製品を販売したりすることで、社会との接点ができることもメリットだと感じています。
「特別養護学校はみなさんにあまり接点がないと思う。障害があっても仕事ができる人がたくさんいると知ってもらえれば、これから社会に出るチャンスが増えるかなと思っている」
 
販売会は、7月4日(火)午前10時半~午後1時半に、道央道・輪厚パーキングエリア下り線で開催予定です。
(※製品がなくなり次第終了。高速道路に入らなくても来場可能)

クマ対策で伐採した木を使った木べらやテーブルのほか、ほかの木材を使った製品や、窯業作業製品も販売されます。

「クマが出る前の対策」のこれから

「クマボラ」の放棄果樹の撤去ボランティアや、ほか町内会などが主催する草刈りなどの「クマが出る前の対策」は、札幌市によると、去年9か所で行われました。

札幌市協力のもと行われた草刈りや放棄果樹撤去のボランティア実施地点(2022年)

そのうち8か所は南区。残る1か所は、おととし東区で4人がけがをした事故の、クマの出没のルートになったと思われる北区篠路町でした。

これに今年のクマの出没地点を合わせてみると、対策が必要なのは、南区だけではないことがわかります。

出没地点は2023年4月1日から6月15日までのもの

クマ対策の輪の広がりが求められる中、5月から出没が相次ぐ西区西野地区では、6月、はじめて「クマボラ」が開催されました。
そして、「クマボラ」が始まるきっかけになった1頭のクマについても、連載の中でくわしくお伝えしています。
⇒【西区で初開催:クマの侵入防ぐ!「サクランボ」と「柿」に注目した対策とは
⇒【きっかけ:クマ被害、実は4年前に前兆が…「スーパーマン」の登場で叶った“うれしい”対策とは

連載「クマさん、ここまでよ
暮らしを守る知恵のほか、かわいいクマグッズなど番外編も。連携するまとめサイト「クマここ」では、「クマに出会ったら?」「出会わないためには?」など、専門家監修の基本の知恵や、道内のクマのニュースなどをお伝えしています。

文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部IKU

※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2023年6月16日)の情報に基づきます

Sitakke編集部

Sitakke編集部やパートナークリエイターによる独自記事をお届け。日常生活のお役立ち情報から、ホッと一息つきたいときのコラム記事など、北海道の女性の暮らしにそっと寄り添う情報をお届けできたらと思っています。

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