2023.06.30
深めるHBC「今日ドキッ!」の、あたたかい家族の姿を描くコーナー「ファミリーストーリー 家族のキズナ」。
亡き父から店を引き継いだ“新米料理人”の息子。
親から子へ、家族で紡いだ小さな中華料理店に注目しました。
「ものすごくおいしい」「ボリュームたっぷりで好きですね」
多くの常連客がそう話す、地元に愛される小さなお店が、札幌・手稲区にあります。
創業24年、中華屋台「加匠」。
家族で楽しめる絶品中華が並ぶ中、お客さんの心をつかむ長年の看板メニューは、店主自慢の炒飯です。
驚くのはボリューム!並盛でごはん2~3合分ほど使用しています。
味の決め手は創業から継ぎ足しのタレで煮込んだ、香ばしく肉肉しいチャーシュー。
シンプルな味付けの炒飯が際立ちます。
店主の山田匠馬(しょうま)さんは、「スプーンで掬ったときにチャーシューが入っていないと、僕の中ではチャーハンじゃない。どこを掬ってもチャーシューが入っているように心がけている」と話します。
リピーターが多い加匠。
店主の匠馬さんは、まだ30歳という若さです。
現在は匠馬さんと母、二三江さんの2人でお店を切り盛り。
30種類ほどもあるメニューを全て匠馬さんが作ります。
実はこちらの「加匠」、6年前にも「今日ドキッ!」でお邪魔していました…
当時お店を切り盛りしていたのは、匠馬さんの父、和義さんです。
「夫婦で商売するのが夢だった。死ぬまで一緒に商売を」と話していた、和義さん。
二三江さんは「ひとめぼれだったんです」、和義さんは「(妻を)愛していますよ。お互い大変なことも大変だと思わなくなる」と話し、仲睦まじい姿を見せてくれました。
念願だった夫婦での開業。
大切な二人の子供、長女「加純」と長男「匠馬」の頭文字をとって店名を「加匠」と名付けました。
苦楽を共にしながら、夫婦仲良く築き上げてきた加匠。
しかし現在、父、和義さんの姿はそこにありません。
急性心不全。突然のお別れでした。
二三江さんは、「私が先にお店に行くんです。その日は来なくて、急いで帰ったんですけど、部屋に入ったら寝ている。『ちょっと起きて』って言っても…何かおかしいと思って、救急車を呼んだ」と振り返ります。
当時、中華料理人としてホテルで修業していた匠馬さん。
父の異変には気付かず、仕事に出かけていました。
「いつも通り布団をかけて寝ていると思っていた。そのときには多分もう亡くなっていたのかもしれないけど、声をかけていたら生きていたんじゃないかと…」
お店を閉めようと、店内の荷物を一度下げることにしました。
しかし匠馬さんは、職場の先輩たちが「継ぐことが決まっている」と後押しされたこともあり、加匠の厨房に立つことを決意。
「継いでくれると言ってくれたときは、本当にありがたい気持ちだった。諦めていたのでうれしかった」と二三江さんは言います。
和義さんの死から3ヵ月…
父がオープンさせた日にちと同じ1月12日にお店を再オープンすることになりました。
しかし、あまりにも突然の後継ぎ…
大きな問題が…
レシピはもちろん、盛り付け方すら教わったことがなかったのです。
残ったタレを味見するなど、父の味に近づけようと試行錯誤の日々。
常連からは「味が違う」との厳しい声も…
それでも、匠馬さんを支えてくれたのはお客さんでした。
お客さんから「自分の味を出してみろ」と言われ、父の味を受け継ぎつつも今は自分の味を出しているそう。
最近では「先代の味もおいしかったけど、息子の味も好き」と言われるようになったといいます。
父の味、そして匠馬さんの味を掛け合わせて生まれたメニューがあります。
炒飯のチャーシューは、父から匠馬さんへ継がれ、掛け合わされた味。
そこに匠馬さんオリジナルの麻婆豆腐がたっぷりとかかります。
常連客は、「何年も前から来ている。これからも来ます」「お父さんの味を受け継いでくれるのはすごい。大好きな味なのでこれからも残してほしい」と話していました。
二三江さんは「最初はお客さんが離れるのではと思ったけど、応援してるからと言ってくれたり、カウンター越しにお客さんと泣いたこともあります。本当にお客さんのおかげで今がある」と、目頭をおさえます。
匠馬さんは、「僕が小学校1年生のときに父と母が始めたお店で、毎日学校からこのお店に帰ってきていたので、思い入れは強い。加匠をここまでやってきたのは父と母のおかげ。色々な人に来てもらい、店主が変わったことも知ってもらい、僕の味も食べてもらいたい」と話していました。
一度は途絶えかけた、夫婦で夢見た中華料理店。
未来へと紡いだのは家族の絆でした。
住所:手稲区富丘1-5
電話番号011-686-9870
営業時間:午前11時半~午後2時/午後5時~午後8時
定休日:火曜
※掲載の内容は番組放送時(2023年6月1日)の情報に基づきます。
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