2023.06.07
深める視聴者からの疑問や悩みを調査するHBC報道部の「もんすけ調査隊」。
今回は札幌・いっぺいさんからの依頼です。
「札幌・月寒中央駅近くの点字ブロックが長くボロボロで、危ないことにもなるのでは?」
点字ブロックは、視覚に障害のある人に、進む方向や危険を知らせる道しるべ。
福祉のまちづくり条例を制定する札幌市に限り、そんなはずは…。
調査員は、さっそく現場に向かいました。
連載「じぶんごとニュース」
やってきたのは、地下鉄・月寒中央駅近くにある交差点。
そこには、凹凸がなくなり、ツルツルになってしまった点字ブロックがありました。
国道と市道が交差する場所で、交通量も非常に多く危険な場所です。
さらに、付近を詳しく調べてみると…。
こちらの点字ブロックは、ボロボロになって、途中でなくなっています。
この様な状態が、何年も前から続いているといいます。
視覚障害者が、誤って車道に出てしまう!そんな危険はないのでしょうか?
去年4月、奈良県では、痛ましい事故も起きました。
点字ブロックが破損していた踏切で、視覚に障害がある女性が電車と接触、死亡したのです。
障害について正しく知らせる活動をする、札幌の杉本梢さんに現場を歩いてもらいました。
生まれつき視覚に障害があり、視力0.02=弱視です。
点字ブロックを歩いてもらうと…いきなり白杖が引っかかる事態に。
さらに道を進んでいくと…。
杉本さん「これ、途切れちゃっているんですか?」
調査員が「そこがマンホールです」と話すも、杉本さんは、「え?どれだろう。これは方向がわからないですね。ここもぐちゃぐちゃですね」と戸惑います。
この部分も、ツルツルとして「まったくわからない」といいます。
点字ブロックがはがれていることで方向がわからなくなり、危険を示すブロックもツルツルなので、止まる位置の判断ができないのです。
杉本さんは、「どの方向に進んだらいいのかというところで、自分の定位置がわからなくなってしまう。もちろん車音と言って、車の音や信号の音は聞いているが、聞き間違えると、道路に出てしまう可能性もある」と話します。
他にも、街中には大けがの危険性が。
杉本さんによると、「点字ブロックの上に自転車や自動車や店の看板などが置かれている場合は、白杖が曲がったり壊れたり、けがをした友人もいる」といいます。
札幌の中心部を少し調べただけでも、点字ブロックが途中で途切れてしまっていたり、工事中の荷物が置かれていたり…
誘導ブロックに従って進むと、工事のフェンスがある場所もありました。
さらに、このような色の付いていない点字ブロックは、実は分かりにくいといいます。
このままで、誰かが大けがをしては大変!
そこで、点字ブロックの担当者を直撃しました。
札幌の国道を管理している道路事務所。
現場を確認したという萬直樹所長は、「確かに損傷が進んできている」と認めます。
現場の点字ブロックは、2004年に設置されて以来、一切補修などは行われていなかったといいます。
そもそも補修は、どんなタイミングで行われているのか?
萬所長は、「傷み具合をパトロールで把握する中で、『どこどこやりましょう』と。周辺の工事の発注などもあるので、計画を立てて行っている」と話します。
補修は、日常のパトロールで破損を確認、道路工事などと一緒に行っています。
昨年度は、国道だけで新たに840mを新設し、710mを補修。
北海道は、冬の寒さや除雪作業で、点字ブロックが破損しやすいのだといいます。
萬所長は、「今回、指摘を受けた場所は、今年の中で補修したいと考えている」と話しました。
点字ブロックの破損を始め、道路の破損、動物の死がいなど、道路に関する問題は、#9910に電話をすれば、速やかに担当部署に連絡がいくということです。
視覚に障害のある、杉本梢さん。
「今見えている人たちにとっては、もしかしたら必要ないものかもしれないが、今後自分や大切な家族が見えない状況になり得ると思ってもらえると、考え方や視点が変わっていくのかなと思う」と、話していました。
連載「じぶんごとニュース」
文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部IKU
※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2023年5月12日)の情報に基づきます。