2023.04.21

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【お悩み】周りの人の顔色や反応が気になりすぎて、結局どうしたらいいかわからないんです(泣)

は〜い皆さん、ご機嫌よう!「お悩み相談コラム」担当・満島てる子です。

新年度、元気にやってるかしら?
あたしはどうかと言えば、やっぱり仕事柄「スタートアップするぞ!」な場面に立ち合わせていただくことも多かったりして。
この間は、とある専門学校の入学イベントで、ドラァグクィーンとしてショータイムをさせてもらったりしたの。会場超大盛り上がりで、演者側としてもめちゃくちゃ楽しかった!
みんなのキラキラした笑顔、これからもいつまでもそのままでいてね…!と、少しばかり人生の先を行く立場として、舞台の上からそう真剣に願ったりしたものです。

とある専門学校の入学イベントにて

とはいえ、職場や学校などの環境が変わったことで、結構大変な思いをしてたりもする人もいるんじゃないかしら?
新しいやり方•新しいつながりって、ワクワク的な楽しい気持ちが生まれてくる反面、いつも以上にエネルギーを消費する分、それなりにストレスになったりもするのよねぇ。
だから「何かが始まる時は、いつも以上に小まめなガス抜きが必要!」と、あたし自身はここしばらくそんな言い訳をしながら、のらりくらりと生活しております。

読者の方々はどう?ゆるゆるやってらっしゃる?
それとも「きいい!人生なんでこんなに難しいのよ!」ってなっちゃってたりする?
みんなどんな感じなのかなぁ……なんてぼやぼやっと考えていたのですが、そんなタイミングで、このシーズンに割といろんな人がぶち当たりそうなお悩みが、応募フォームに来ているのを見つけたの。しかもティーンズの方から(やぁん!送ってくれて感謝よ〜!)。

今回はこちらを紹介させてもらおうと思います。

読者のお悩み:相手の顔色や反応が気になりすぎて、悩んでます。

なるほどね〜。なかなか複雑な相談だわ。
あえてシンプルに言うとすれば、仕事もプライベートも、どっちサイドから考えても「コミュニケーション」って難しい……あたしこのままでいいのかな……どうしよう〜!って感じかしら。こりゃ大変そうね。しっかし、かわいらしいペンネームだこと(唐突な褒め)。改めてしゃっチさん、今回はお手紙ありがとうございます!

***

そっかぁ、しゃっチさんは接客業をやってらっしゃるのね。
だとしたらコミュニケーションは、間違いなくお仕事の肝になる大事な要素。
「どうしたらいいのか」って悩んで当然だと思うし、むしろ悩んでいるというそのこと自体が、自分がお客様に提供している日々のサービスに対して、いち従事者として真剣に向き合っている証拠なんじゃないかなと思います。

あたし自身も、飲食という場面から、お客様をおもてなしする側の人間。
しゃっチさんとよく似た課題というか、モヤモヤとぶつかることもしょっちゅうで、もう本当に「毎日がスペッシャ〜ル♪逝」って感じなの(唐突な竹内まりや)。
いや、結構真剣にね。

例えばね、LGBTQやアライ(支援者)の仲間たちが来店してくれて、初めましての方を含めワイワイお話するような夜があったとするでしょ。
その時はとっても楽しいんだけれど、あたしってば後から振り返ってよく反省するの。
「自分あの時、ゲイという一方的な目線からの話を、一般化して話しすぎていたんじゃないか」とか。はたまた「あの時あの子は、当事者として抱えてきた色々を吐き出しに来てたのに、それをかき消すようなトーク運びしちゃったんじゃないか」とか。
あれこれ考え“らさる”よね〜(唐突な北海道弁)。

もちろん、性的マイノリティに関すること以外でも、気になることは盛りだくさん。
立ち居振る舞い、目配り気配り。自分の言葉でエンタメ性を提供できたか意識することはもちろん、時にはお客様の体調(酔い具合とかね)まで見定める必要があったり……。
なんて言うか、接客業って具体的な「モノ」としては見えにくいからこそ、様々な要素を同時並行で思考しなきゃ成り立たないんだよね。そしてその思考のコツって、掴むまでかなり時間がかかったりして。あ〜ん!ディフィカルト!(唐突な英語)

***

とはいえ、じゃあ勘どころを把握するために、普段からどっぷり「接客」に特化したコミュニケーションをしていればベストなのかっていうと、それはそれで自分にひずみ出てきちゃうのよね。プライベートにまで余計な侵食してきちゃうのよ。

それこそ、しゃっチさんが書いてくれているように、ともすれば話を「人に流されるまま進」めるようになっちゃって、「話を合わせ」ることに専念しすぎる場合もあるというか(そのせいだったのか、あたしも昔同じように「何考えてるかわかんない」と友人から指摘されたことがありました)。
気持ちの表現方法がわからなくなって、自分がどう思っているかよりも、周りからどんなレスポンスが来てるかに気を払いすぎちゃうんですよね。それでどうしても、誰かと深く関わるっていうよりは、広く浅くな八方美人風の人付き合いになってしまって……身に覚えあるなぁ

もしかしたら、これって接客業の「職業病」みたいなもんなのかしらね。
膨大な感情を消費するお仕事です。そりゃ公私問わず、こころの置き所もわからなくなったりするわよね……。うんうん、やっぱり大変よ、サービスに従事する人間って!

とまぁこんな風に、しゃっチさんの投稿と向き合っていたはずが、なんだか自分のこれまでの仕事ぶりだったり、お店で働き始めた当初の自分の悩みだったりを思い出し、それらを反芻しながら、三次産業について色んなことをくちゃくちゃと考えてしまっているあたしだったのでした。笑

あたしなりのAnswer

さて、ひとりであーでもないこーでもないやってる場合じゃなかったわ。笑
ここからは、接客業の先輩として、かつ人生の先輩として(唐突に偉そう!)、しゃっチさんにあたしなりのアドバイスをさせてもらえればと思います。

あのね、おそらくなんだけれど……。
しゃっチさん、頭で考えすぎ。←

いやこれね、勘違いされそうだから前もって言っておくけれど、「考えるな!感じろ!」(唐突なブルース•リー!)みたいな、ありきたりなことが言いたいわけではないの。
あたし自身もそうだったし、今でも割とそんなところがあったりするんだけれど、目の前にお客様が来た!って状況になった時って、どうしても「サービスしなきゃ」って方向で自分の脳みそを反射的に働かせてしまいがちじゃない?
でもね、そうなるとよ。きっとどうしても「この方は満足してくださったのかなぁ……」って、その人がお帰りになった後、いや接客している最中ですら、相手を基準にして自分への評価を付けてしまうと思うんだよね。

それってさ、地獄の入り口。
だって人間って相手が何を考えているのか、家族やパートナーのことでさえ結局のところ全部は理解しえないものでしょ?(そして、それが実はある意味健全なんだけれど)。
ましてやお客様は、はっきり言ってしまえば「きちんと他人」から関係がスタートするわけです。趣味趣向はもちろん、今までどんな人生を送ってきたのか、とんと見当がつくはずもない。自分のサービスをどう受け止めてるかも、どれだけ考えても究極のところ正確にはわかるはずがないんです。

なのに「お客様は神様」みたいな古い価値観のなごりなのか(お客様って、お客様でしかないのにね)、カスタマーありきで物事を考える癖がたくさんの人にこびりついていて、そしてそのせいで苦しんでいるように思うの。
相手の立場から考える……しゃっチさんのように「この人は今何考えてるのかな」って逐一読み取ろうとするのは、サービス業としてとっても優しくて誠実な姿勢だと思う。でもね、しんどすぎるのよ。わかるはずのないものをわかろうとするだなんていう、どだい無茶な取り組みは、やめた方がいい。

その代わりに、です。
思い切り自分のしたいようにするというか(言い過ぎかな)、己の考える最善のプランを整えた上で、「あたしは何を提供できるのか、できているのか」と自分基軸で仕事を捉え直してみること。もっと言えば、これまでの経験の中で身についたものをたよりに、からだを動かし、こころをお客様に対してみずから開くようにすること。これを意識してみると、状況は全然違ったものになるんじゃないかしら。
もっと言うと、自分から「こんな人間です!こんなことができます!」と適切にアピールすることができたなら、お客様も「あたしこんな感じ!こういうの求めてるの!」と、ひとりでに歩み寄ってきてくれるように思うんです。

もちろん、仕事内容に関する反省は、その都度必ずあるべきでしょう。
ですが、その反省のベクトルを「相手」から「自分」に向け直してみれば、これまでとはかなり違った景色が見えてくるはず(あたしはそうだったわん)。しゃっチさんには、そんなコペルニクス的転回とでも言いうる何かを、ぜひ経験してみてもらいたいの。

なんなら、この「ひっくり返し」はきっと、プライベートの状況にもいい影響を及ぼしてくれるような気がするのよね。
しゃっチさんは「人とぶつかり合う事がない」と書いていましたが、それはきっと他人の様子をうかがって分析していることはあっても、自分で自分を見つめ「こんな人付き合いがしたいんだ」「あたしってこうしたいんだ」と、おのれの考えをみずから拾ってあげることが少なかったからじゃないかしら。誰かに提示する材料を、自身の中に持ってなかったというか(さっきも書いたけど、これはやっぱり、接客業の職業病なのかもね)。

ならばやはりまず、あなたのこころを、あなた自身が見つめることを通して、自分に対して開いてあげてください。その認識が、周りの人とのより深いつながりを築くための、確かな架け橋になってくれるはずだから。

……自分を受け止め、それを外に押し出すことって、ちょっと怖いことかもしれません。
場合によっては、おのれのスタンスとお客様のニーズが合わなくて、軋轢が生まれることもある。友達と気持ち同士が正面から衝突してしまうこともあるかもしれない。
でも、それでいいんです。それが人間関係が始まり深まっていくための、第1歩なんだよね。

しゃっチさんがサービスのプロとして大成し、同時に素敵な人間関係を築けるように、ちょっとだけ人生の先を歩んでいる者として、あなたの道行きを応援していますね!

ま・と・め♡

というわけで、今回はコミュニケーションという話題について、仕事とプライベートの両側面から、いろいろとあたしなりに考えてみました。
読者の皆さんのなかにも、この話題に悩んだことのある人は少なくないんじゃないかしら。

特に様々な人と出会うこの季節。
誰かと出会うことにしんどさを感じることもあるかもしれないけれど、そんな時は、みんなも自分自身の気持ちに目を向けて、ゆっくり時間を過ごしてみるのもいいかもしれませんよ。

……あらやだ、あたしったらお湯入れたカップ麺、そのままにしちゃってたわ。
やだぁのびのびになってるぅ。悔しいいいいどうしましょ(唐突にずぼらな生活感!)。

こうなったら意地でも食ってやるわ。
みんなも歯食いしばって新年度乗り切るのよ!(唐突な応援)

ではではみなさん、Sitakkeね〜!

***
文:満島てる子
イラスト制作:VES
編集:ナベ子(Sitakke編集部)
***

満島てる子:オープンリーゲイの女装子。北海道大学文学研究科修了後、「7丁目のパウダールーム」の店長に。LGBTパレードを主催する「さっぽろレインボープライド」の実行委員を兼任。) 2021年7月よりWEBマガジン「Sitakke」にて読者からのお悩み相談コラム【てる子のお悩み相談ルーム】を連載中。

Sitakke編集部

Sitakke編集部やパートナークリエイターによる独自記事をお届け。日常生活のお役立ち情報から、ホッと一息つきたいときのコラム記事など、北海道の女性の暮らしにそっと寄り添う情報をお届けできたらと思っています。

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