2023.03.31

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“女”の世界が怖い。「私は可愛い子としか友達にならないから」とクラスメイトに言われ、今もトラウマです【お悩み】

は〜い皆さん、ご機嫌よう!「お悩み相談コラム」担当・満島てる子です。

ねぇ聞いて。最近怖いことがあるのよ、あたし。
こうやってね、みんなからのお悩みに向き合いながらキーボードを叩いてるときって、言葉を練るためにいろんなことしちゃうんだけれどさ(例えば、一瞬両手使ってひとりじゃんけんしてみたり(絶対引き分けなの)、すっぴんにドレスとヒールでパリコレインマイルーム(?)やってみたり。え?単に様子がおかしいだけじゃないかって?……その通りよ)。

一番やっちゃいがちなのがね、グミ食べることなの。
ふにゃっとしたジューシー系のじゃないわよ。ごりっごりのハードグミ。
(酸味あふれるシュワシュワパウダー付きのやつならもうパーフェクト)

もうこれがたまんなくて。そして止まんなくて。
執筆のいいおともっていうか、噛めば噛むほどコラム書くのもはかどっちゃうんだけれど、毎回とんでもない量食べるもんだから、「あれっもしかして家賃よりグミ代の方が高いんじゃない?」ってときどき錯覚しちゃうほどなの(え?錯覚にもほどがあるって?……その通りよ)。

糖分摂りすぎは身体によくないし、気をつけなきゃ〜とは思ってるんだけどね。
もはや某スポーツ漫画かよってノリで「咀嚼は友達!!」って叫びたくなっちゃうほどグミ大好きなもんだからさ。はぁ……友情って難しいわよね。いい距離感を保つのって、特に。

そんな真面目に不真面目な、解決どころじゃないことをぼやっと考えつつ、応募フォームに来ていた投稿を眺めていたんだけれど、「あら、これは根深そう。早速書く用意を……」と、あたしを思わずコンビニのグミコーナーへ走らせるような、対人関係に悩むお手紙が。
今回はこちらをご紹介します。

読者のお悩み:学生時代のクラスメイトからの一言がトラウマで、“女”の世界が怖い。

なっかなか衝撃的なエピソードが出てきたわね……。
そりゃトラウマにもなろうってものよ。まずはひろ子さん、辛い思い出だったはずなのに、それをお手紙にして送ってくださり、ありがとうございます!

いやぁ、なんちゅう奴と知り合っちゃったのかって話よね。
「わたし可愛い子としか友達にならないから」ですって!?
鏡で自分の顔見てからモノしゃべりなさいよって感じじゃん。前回のセフレ提唱野郎に引き続き、これもなかなかに許しがたいわ。

人との付き合い方って様々な知識と同様で、トライアンドエラーを繰り返しながらだんだんと習得していくものではあるからさ。
幼少期というか、まだまだ人生走り出しぐらいの年齢のころだったとすれば、向こうも変な勇み足が行きすぎての「可愛い子としか」発言だったのかもしれないけれど……。
にしても、ひろ子さんが傷ついたのは事実だし、人をまるで自分のコレクションかのごとく扱うのってどうよって話だとは思うの。

ドレスやハイヒール、アクセサリー。
身につけるものに関しては、自分のお気に入りで固めると、確かにテンション上がるよね。
でも友達って、そういうモノとは根本的に違うじゃない?
付属品じゃなくて、あくまでひとりひとり、意思を持った人間。誰かの取り巻きみたいに、腰ぎんちゃく的なポジションに置かれる筋合いなんて無いのよね。

ただ、そうは言っても、なときもあるかもしれない。
上下の関係性が出上がってしまっている場合も、現実には確実に存在しているというか。

ひろ子さんと同じようにあたしも、大人になってからはだいぶ楽になったのですが、思い返せば、小中高のような「箱庭」感のある小さなコミュニティの内部にいたときは、声のでかいボスキャラの「お気に入り」になれるかどうかを常に思い悩んでいたように思います。

無視や嫌がらせみたいないじめに直結するんだよねぇ、お気に入りになれるかどうかって。
あたしの場合は、「ゲイってバレたら絶縁されるんじゃないか」って心配も抱えていた頃だったので、割と周囲の目を追ってばかりだったというか。
幼いなりにサバイブするのに必死だったような気がするなぁ……きっとみんな、少なからずそういう経験あるんじゃないかしら(メンタル崩して保健室登校していた友達、あたしの周りにもいました)。

しかも、「三つ子の魂百まで」とはよく言ったもんですが、10代までぐらいのまだこころの成長過程なんですってときに身につけた感覚や振る舞い方って、割とどっかこっかにきっと残ってしまうものじゃない?
だから、ひろ子さんの「やはり今でもなかなか恐怖が抜け」ないっていう部分には、そりゃそうだよなぁと個人的にもかなり共感していました。

とはいえ。
その恐怖がPTSD的に作用しちゃうというか、「同性が怖くなってしまい、今もうまく関われない」というのはかなりしんどかろうし……。
ただでさえ山あり谷ありの人生。なのに、その行程に追加のハードル置かれている感じなわけだから、なんとか少しでもその障壁は取っ払えるといいわよね。

ハードグミを口にぽいぽい放り込みながら、ひろ子さんの将来を明るく照らすようなアドバイスをしたいなぁと、そう思いながらパソコンに向かっているあたしだったのでした。

あたしなりのAnswer

さて、なかなか手強そうな今回のお悩みだけれど、この場合芯の部分に、最初っからどストレートに突っ込んでみるのがいいかもしれないわね。

てことで、ひろ子さん。
いきなりでびっくりされるかもしれないけれど、あたしあなたに、「女」というか「同性」という色眼鏡を捨てちゃうことをおすすめしたいと思います。

「え、そう言われても……」となるかもしれない。
そりゃそうよね。トラウマ級の経験をしているわけだもの。
考えてみると、例えばスクールカーストでの女子同士の抗争だったり、奥様方の間の力関係だったり。あたし自身もいろんな事例を目にしたことがあるし、「これが女の園ってやつの恐ろしさなのかしら」って震えたこともあったりしたわ。
実際にその余波というか、ねちねちとした嫌がらせを受けた経験もあったりする。

あと、ちょっと女ってカテゴリーとは事情がまた異なってくるかもしれないんだけれど、自分のいるゲイの世界にも女子高生的な力学が働いている感じがあってね。
グループ同士のパワーバランスとか、誰と誰は組み合わせがよろしくないからどうだとか。
男の取り合いでばっちばちのキャットファイトはじまったりもするし、その度に「ああんゲイって面倒くさい!」って叫びたくなったり、どうやって友達付き合いを組み立てていったらいいのかについて悩んだりもするの。

しかも、「ゲイなのにファッションがダサい」「そんな非モテで今後どうする」とか、ゲイとしてこうあるべきって観点から、謎の同調圧力を受けて焦らされることもあって(思い出すなぁ……「今のうちにセックスしなさい、もうすぐ賞味期限切れるんだから」という先輩ゲイからの言葉に、あたしや周囲の友達、20代は特に踊らされまくっていたのよね)。
似たような苦しみかはわからないけれど、ひろ子さんの言う通り、同性についていくということは「とても努力がいること」だなぁとあたしも本気でそう思うし、その問題にずっと苦悩してきました。

でもね。多分なんだけれど、これって周囲の他の人たちもそう思ってる気がするのよ。
あたしやひろ子さんのことを見て、特段何かあったってわけでもないのに「ゲイって面倒くさい」「女って怖い」って感じているというか。
蓋開けてみたら全然そうでもないはずなのに、目の前の人間が同性だってだけで恐れる習慣が、この世の中にははびこっているというか。
そのせいで、割と多くの人が、目の前の人をひとりの「人」として見ることを忘れちゃっているように思うんです。

だからね、ちょっと荒療治にはなるかもしれないんだけれど、あたしひろ子さんには「女」ってフィルター、ぜひ取っ払ったうえで人付き合いに臨んでみてほしいの。
そうすれば、相手との距離をより気軽に縮められるようになるだろうし、「女の世界」に飛び込むなんて窮屈な考え方からも、きっと解放されるんじゃないかしら(あたしたちって、飛び込まなくてももうすでに世界の中で生きているのよね)。

もっと言えば、そのフィルターを捨ててみることで、目の前にいる人が「女の世界」っていう価値基準を大事にして生きているのかどうかが見えやすくもなってくると思うの。それによって、他者をアクセサリーのように扱うことに躊躇のない相手についても、その存在を見極めやすくなってくるはず。
そういう人からは、遠慮なく距離を置いてしまって大丈夫(でもそれは、同性たちのいる「世界」から離れるっていうんじゃなくて、個人的にディスタンスを確保するって意味でね)。
そして、あなた同じように、同性の世界の恐ろしさを知りながらも「誰かとつながりたい」と思っている人と出会ったなら、その方と素敵な関係性を「対人」として構築していけばいいんです。

同性という「呪い」に立ち向かうには、まず自分の中の呪いを自覚して、それを解くことが最優先。
だからひろ子さんがもし、これから同性の友達と会う機会があったとしたら、「女性だからきっとこうで……こうしてあげた方がよくて……」と思いすぎずに、互いに気楽な話ができるかどうかとか、そういうフラットな目線から相手を見つめてみてください。
合わない人なら「またいつか!」でいい。合う人なら「次いつ会う?!」となればいい。
自分の気持ちに正直にいられるだけでOK。それが一番大事なことなんですから。

実践できるようになるには、きっと時間がかかるだろうけれど。
まずはこれまでかけていた 「女」というサングラス、叩き割っちゃってください。
視界がきっと開けて気持ちいいはずよ。
ひろ子さんに素敵な同性の友達ができるよう、あたしも西創成から応援していますね!

というわけで今回は、同性特有の難しさってやつに思いを馳せてみました。

いやぁ、やっぱり特定のアイデンティティを共有する集団って、その中で独自の文化性を発達させるだろうし、同時にそれが当事者の生きづらさにつながっちゃうこともあるのよねぇ。
難しいもんだわ。

でも、その中で大事に思えるかけがえのない友達と知り合えたなら、それって素敵なこと。
こんな広い世界でたまたま知り合えたんです。ひとりひとりとの出会い、やっぱり大切にしていきたいものよね!

この年度はじめ、出会いの季節。
皆さんもぜひ、誰かと巡り合ったときには、その相手との邂逅を素直な気持ちで楽しんでみてくださいね。

……あら大変、もうハードグミ3袋も食ってたわ。今から買いにいこっと。
ではでは皆さん、Sitakkeね〜!

***
文:満島てる子
イラスト制作:VES
編集:ナベ子(Sitakke編集部)
***

満島てる子:オープンリーゲイの女装子。北海道大学文学研究科修了後、「7丁目のパウダールーム」の店長に。LGBTパレードを主催する「さっぽろレインボープライド」の実行委員を兼任。) 2021年7月よりWEBマガジン「Sitakke」にて読者参加型のお悩み相談コラム【てる子のお悩み相談ルーム】を連載中。

Sitakke編集部

Sitakke編集部やパートナークリエイターによる独自記事をお届け。日常生活のお役立ち情報から、ホッと一息つきたいときのコラム記事など、北海道の女性の暮らしにそっと寄り添う情報をお届けできたらと思っています。

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