2023.03.25

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「世界大会に誰でも出場できる!?」フィンランド発祥の”モルック”の魅力を語らせてほしい #道民の自由語りコラム

この記事は、編集長のナベ子が「いま、気になってる人」に執筆を依頼し、本人のことばで、自由に想いを綴って頂く“自由語り型コラム”です。

今回、語って頂くのは、北海道大学モルックサークル・レタラカムイチェプの代表・若槻さん。

若槻さんと出会ったきっかけは、昨年11月に岩見沢で開かれたとあるイベント。出展ブースで”店番”をしていた私。そこに、別のブースに出展中だという北大生数名が呼び込みにきました。

僕たちの体験ブースに遊びに来ませんか!?誰でも世界大会に出場できるスポーツ、モルックを体験できますよー!

ムムム?誰でも世界大会へ出られるだと!?なんだそのスポーツは!?
元気いっぱいの学生の勢いに圧倒され、ホイホイと学生ブースへと流される私。
そこで迎えてくれたのが、代表の若槻さん。北大でモルックサークルを立ち上げた第一人者なんだそう。他の学生に比べ、妙に落ち着いた雰囲気の印象でしたが、モルックへの愛を語り出すと止まらない!第一印象と、この溢れ出るパッションのギャップたるや!
なんだかこの人、おもしろそうだぞ?

というわけで「モルックについて」をテーマに記事に書いてみませんか、とスカウトしてみたところ、快諾してくれました。(やったー)

では、若槻さん執筆による、"モルック愛"溢れる文章をどうぞ!

モルックやりましょう!!!!

写真左が若槻さん。

北海道でフィンランド発祥のモルックというスポーツをやっています。若槻といいます。モルック界では鮭と呼ばれています。よくわからない競技によくわからない名前。これでも2022年8月にフランスで行われた世界大会に出場した日本代表(25位/168チームでした)です。
これを読んでぜひモルックの魅力を知っていただけたら嬉しいです!

2022年8月、世界大会出場時のようす

モルックのルールはこれだけです。

・3.5mの距離からモルック(棒)を投げて、1~12の数字が書かれたスキットル(ピン)に当てて倒す。スキットルは倒れた位置で立て直す
・スキットルを複数本倒したら本数が、1本だけ倒したら書かれている数字が得点になる
・交互にモルックを投げ、最初に50点ちょうどにしたチームが勝ち
・50点を超えると25点に戻り、同じチームが3回連続でミスすると失格になる

1投ごとに盤面が変わり、2チーム(3チーム・4チーム戦もあります)が同じフィールドで戦います。見た目はボウリングのようですが、戦術面ではカーリングに近いかもしれません。

モルックとの出会いと普及活動

私は大学院でスポーツ学を専攻しています。スポーツと言っても身体を動かすのが専門なのではなく、歴史や文化を研究する分野ですが。
コロナ禍でスポーツに制限がかかった2020年から2021年にかけて、誰でも気軽に楽しめる競技を探していました。いろいろ試すなかで、「これは流行るぞ」と思ったのがモルックでした(のちに道外では既に流行っていることを知りました)。

2021年11月にモルックを購入し、翌年1月に「北海道大学モルックサークルレタラカムイチェプ(アイヌ語で白い鮭)」を立ち上げました。当時は私が知る限り、札幌には他に1つ(北海道フィンランド協会さん)しかチームはありませんでした。
そこで、まずは対戦相手となるモルックチームを増やすために普及活動から始めることに。自分も初心者だったのに普及っていうのも変な話ですね

なぜフィンランドのスポーツが日本で流行?

モルックはフィンランドで行われていた伝統的な遊びをもとに、1996年に考案されたスポーツです。木のピンを倒す遊びは各地で行われていて、ボウリングも遠い親戚に当たると思われます。
日本への普及は、八ツ賀秀一さん(現・日本モルック協会代表理事)が留学先のフィンランドから持ち帰ってきたことで始まりました。小児科医である八ツ賀さんは、いろいろな事情をもつ子どもたちと接するなかで、全員を笑顔にできる方法はないかと考えていて、モルックをやって「これだ!」と思って30台も持って帰国したそうです。いい話!
国内でモルックへの注目が一気に高まったのは2019年のこと。お笑いコンビ「さらば青春の光」の森田哲矢さんが、日本代表としてフランスで行われた世界大会に出場しました。森田さんが「現地に行くお金と時間があれば誰でも日本代表になれる」と宣伝したことで、モルックの存在が知られるようになりました。
今では日本大会には300チームが集まり、1度でもモルックをプレーしたことのある人は国内に約100万人いるそうです。この急激な人気の高まりを受けて、2024年世界大会の日本招致に成功。開催地は北海道函館市に決まりました。

実は歴史が長い、北海道のモルック

モルックブームが到達するのが少し遅かった北海道ですが、実はそれ以前からモルックをやっている人は各地にいました。
フィンランド文化を広める北海道フィンランド協会、フィンランドの都市と姉妹都市提携している奈井江町や壮瞥町、10年前からモルック大会を開催している網走市の北方民族博物館。
最近では札幌にもどんどんチームが増えています。今年2月5日に行われた第2回モルック札幌CUPには18チームが参加しました(主催者なのに空気を読まずに優勝しました)。次回は5月頃の予定です!初大会の方も、札幌以外の方も大歓迎です!

モルックのここが面白い!

札幌にも大会があるし、来年には北海道に世界大会が来る。これは始めるしかありませんね。モルックを始めるには次の3つの方法があります。

・体験イベントを見つけて参加する
・地元のモルックチームの練習会に参加してみる
・自分で用具を買って遊んでみる

モルックは誰にでも楽しるスポーツです。「始めるぞ!」なんて意気込んで準備する必要もありません。私が考えるおすすめポイントはこの3つです。

①はじめての人でもすぐに試合ができる!
大人になってから新しくスポーツを始めるってハードルが高いですよね。用具揃えて、着替えて、ランニングして、フォームを教わりながら基礎練習から。腰が入ってないとか言われたら行きたくなくなります。
モルックではこれらの過程を全て飛ばして、すぐに試合を始めることができます。

②戦術を語りながらプレーできる!
モルックで一番楽しいのは、チームメイトと戦術を話している時間です。「どのように50点を取るか」「どのように相手の狙いを邪魔するか」を1投ごとに話します。ゆるい雰囲気の試合では相手に「ここ狙ってます?」なんて聞くことも。
世界大会ではセルフジャッジでフィンランドやフランスのチームと試合をしましたが、英語で数字が言えるだけでコミュニケーションが取れて「モルックすごい!」となりました。

③世界大会にも出られちゃう!
全国各地で毎週のようにモルック大会が開催されています。旅行したい地域で開催されるモルック大会を探す、モルックツーリズムもおすすめです。大会出場に協会登録等の条件はなく予選もありません。世界大会にも誰でも出場できます。今年はフィンランド開催です。
ちなみに私は2022年だけで東京、函館、フランス、福岡に行きました。最後の福岡は完全に明太子目当てです。結果は予選落ちでした。日本代表なのに!

モルックやりたくなりましたか?

日本モルック協会は「インクルーシブ・スポーツ」(年齢・性別・障がいの有無などに関係なく、全ての人が一緒に楽しめるスポーツ)を掲げています。
子どもからお年寄りまで、みんなで一緒にプレーできます。たとえばこんな楽しみ方はいかがでしょうか?

・家族で一緒にプレーできるスポーツとして
・休日の過ごし方で悩んでいる社会人の新たなコミュニティ作りに
・会社やサークルなどのレクリエーションに

用具はインターネットで5,000円くらいで購入できます。1台あれば同時に9人(3人×3チーム)くらいまで遊ぶことができます。
※モルックと呼べるのはTACTIC社の製品だけです。Mölkky®とロゴの入った正規品の使用をおすすめします。
私たちレタラカムイチェプは、道内各地でモルックの普及活動をしています。
初めての方を対象とした体験会も、試合で勝てるようになりたいという方のための講習会もできます。どんな競技よりも簡単に会える日本代表です。講師依頼お待ちしています!

編集長のあとがき
若槻さん、ありがとうございました!
ちなみに、若槻さんには、先日、HBCラジオ「After Beat」にゲスト出演していただき、モルックの魅力についてお話をしてきました。

パーソナリティのお二人。HBCアナウンサーの世永聖奈さん(左)、タレントで歌手の金子智也さん(右)

実は、番組チームが「世界にはばたけアフタビモルック部」という名称で、番組オリジナルのモルック部を設立したんです。そして、若槻さんにはチームの「監督」として練習のサポートをしていただくことが決定しました!部は、不定期で活動していく予定なので、ぜひこちらも応援をお願いします。

もう少しあたたかい季節になったら、私も若槻さんのサークルにモルック体験しに行こうと思ってます!目指せ、世界!!!!

最後に、若槻さんから「モルックのLINEスタンプを作ったのでぜひ宣伝よろしくです~」と、伝言があったので、その情報も追記しておきます。
気になった人はぜひ 「北大レタラカムイチェプ モルックスタンプ - LINE スタンプ | LINE STORE」で検索してみてください!なんだかゆるっとかわいらしいスタンプです。

取材協力:
北海道大学モルックサークル・レタラカムイチェプ
メールアドレス:humolkky@gmail.com
文:若槻 稜磨
Edit:ナベ子(Sitakke編集部)

Sitakke編集部

Sitakke編集部やパートナークリエイターによる独自記事をお届け。日常生活のお役立ち情報から、ホッと一息つきたいときのコラム記事など、北海道の女性の暮らしにそっと寄り添う情報をお届けできたらと思っています。

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