2023.03.02
深める地元野菜たっぷり、ヘルシーメニューで人気の「お洒落カフェ」が、なぜか「銀行」に変身!
しかし、扱うのは「お金」ではなく…
「あなただけの30秒BGM」に、「胃弱ナースの胃カメラを楽に受けるコツ」?!
その名も「とくい」の銀行!
あなたの「得意なこと」を、運用するのです。
1月、胆振の白老町に誕生しました。その狙いは?
鼻を使って笛を演奏するのが「とくい」な、この人は、「とくいの銀行」の発案者の深澤孝史さんです。
札幌在住の美術家。
2011年に、茨城県で「とくいの銀行」をスタートさせました。
深澤さんは、「日本銀行を超えてほしいですね。住民の“とくい”をキッカケに、ちょっとした公共空間を作っていく」と話します。
「とくいの銀行」では、例えば、Aさんが「お茶を飲みながら話をする」という自分の「とくい」を銀行に預け、一方でBさんがそれを引き出すと、Aさんとの会話を楽しめるというもの。
「とくいの銀行」白老支店は、これまでに80人以上が利用しています。
「とくいの銀行」を利用するには、自分の「とくい」を預けることが必要です。
銀行にやってきた人は、「ちょきん」ならぬ「ちょとく」の一覧を見て、気に入ったものがあれば、引き出すことができる仕組みです。
この日、初めて来たという利用者は、登別に住む娘と孫たちと、やってきました。
「23年前にミュージックベルとトーンチャイムの演奏活動をしていたんですよ。それを教えたいと思います」と話していました。
引き出したいと思ったものは、「消しゴムはんこ」。
孫たちの絵を残したいといいます。
預けていた人が偶然にもカフェに顔を見せていたことから、さっそくベースとなる孫の絵を見ながら、打ち合わせがスタートしました。
この日、初めて会いましたが、あっという間に打ち解け、楽しい時間を過ごしたようでした。
そして、次の日。「消しゴムはんこ」作りがスタート。
「喜ぶ顔もちょっと浮かびますし、お孫さんも自分の絵がハンコになったらちょっと嬉しいのかな」と話しながら、作業を進めます。
できあがったのが、こちら。
引き出した人は、「あー!かわいい!孫はきっと感激すると思う、自分の描いた絵がスタンプになるなんて」「また頼みたいです。ぜひ」と喜んでいました。
預けた人と、引き出した人。2人の距離は、グッと近づきました。
こうした「とくいの銀行」がもたらす効果に、専門家も期待を寄せます。
札幌大谷大学の社会学部地域社会学科・西浦功教授は、「得意なこと、素敵なことをうまく情報を集めて、銀行という形でいろんな方に共有してもらうようなきっかけを作れた」「自分たちの住んでる町を活性化させる上で、いいヒントにつながっていくんじゃないか」と話していました。
文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部IKU
※掲載の内容は放送時(2023年2月16日)の情報に基づきます。
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