特殊詐欺や強盗などを実行するグループが、その家に現金があるか、ほかの人がいるかを確かめる電話、「アポ電」。
最近、道内でも、札幌を中心に増えています。
男「もしもし」
女性「(名字)です」
男「あの、3時ごろ、きょう行くね」
2月8日、札幌の高級住宅街とされる、中央区宮の森地区に住む90代の女性のもとに、「アポ電」らしきものがかかってきました。
女性「どなたですか」
男「(名字)だよ」
女性「だれ?」
男「(名字)だよ」
女性「え?」
突然の不可解なやりとり…
女性が家族に代わったところ、男は電話を切りました。
2月、札幌市内で確認された「アポ電」は、15日現在で169件にのぼりました。
中央区宮の森で82件、豊平区福住で45件など、特定の地域に固まっていることが特徴です。
「アポ電」が相次いでいる、豊平区の福住地区。
警察によりますと、ほとんどは「今から行くね」と話すタイプで、男性の「愛称」を名乗ることが多いといいます。
住民は、「相手を確認してから電話に出るようにしている。福住は安全なマチだと思っていたんだけど…」と話していました。
豊平区での「アポ電」は、現在、福住地区から、月寒地区などにも広がりを見せています。
札幌豊平警察署の生活安全課・森田隆行課長は、「誰にでもこのような不審電話がかかってくるということを備えておき、いざかかってきたら適切な対応がとれるように、準備していただくことが大事」と話していました。
元神奈川県警刑事・小川泰平さんは、「むやみやたらに電話番号を回してかかった電話に話すのではなくて、北海道札幌市●●区の▲▲丁目の誰かということがわかっていて電話をしている。在宅確認、まず家に在宅しているかどうかを確認するための電話の要素が非常に強いのかなと思います」と話します。
2月、フィリピンの収容施設から送還され逮捕された、道内にゆかりの深い4人の中に、指示役がいたとみられる広域強盗事件でも、被害者の自宅に「アポ電」が入れられていたとみられます。
こうした「アポ電」に、どう対処すればいいのか?
元神奈川県警刑事・小川泰平さんは、「以前『かけ子』(電話をかけてだます役)をやっていて実際に逮捕をされ、刑務所に約3年入って出所した者にインタビューしたことがある」といいます。
犯罪者側の心理から導くと、有効なのは、「留守番電話」だと指摘します。
「1人が1日100件以上電話する、もう流れ作業のように電話をしていくらしい。名簿を見ながら、その中でも1日1件でも、これ言い方悪いんですが、引っかかれば上出来らしいんです。いちばん面倒くさいのは、留守番電話になっている場合。『留守番電話になっていたら電話切るんですよ』と、実際に『かけ子』で捕まった者から聞いた話です」
ほかにもすぐできる対策を聞きました。
・自分から名乗らない
・合言葉を家族と決めておく
・電話をかけ直すと言う、相手のペースに乗らないことが大事
・在宅、留守に関する情報を言わない
警察は、「アポ電」は強盗や特殊詐欺の予兆の可能性があるとして、不審な電話を受けたら警察相談電話「#9110」に相談するように呼びかけています。
文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部IKU
※掲載の内容は放送時(2023年2月15日)の情報に基づきます。
■「性教育は命のお話」2人のママが絵本で伝える、“産まれてきた”という奇跡とリアル