2023.02.04

暮らす

真冬の北海道で、災害が起きたら…体験してわかった知恵と課題

避難所の室温は2度。
床は、ブルーシートの上に、毛布が1枚。

暴風雪での立往生を想定した、車の中は…?

厳しい寒さを伴う災害。
身をもって体験し、備えようとする人たちがいました。

連載「じぶんごとニュース」

1月、北見の日本(にほん)赤十字北海道看護大学で行われた、災害演習。
真冬に、停電を伴う災害が起きたという想定です。

自治体や医療関係者など、およそ100人が参加し、避難所の運営や避難生活を体験しました。

①体温を保つ…段ボールベッド

避難所で必要になる段ボールベッド。
小さい段ボールを大きな段ボールに入れて、強度を高め、寝床にします。

最新のワンタッチ式は、およそ2分で、あっという間に、完成しました。

このベッドの上に寝ると、床で寝るよりも10度ほど体感が違うそうです。

冬場、床で雑魚寝をすると、体温が奪われます。

保温性に優れる段ボールベッドは、なくてはならない重要な品です。

体験した人は、「ちょっと上にあがるだけで温かい。足音とか響かないのもいい」と話していました。

寝床はパーティションで囲まれ、個室のようになりました。

真冬の災害で、懸念される問題に「低体温症による死亡」があります。
服を濡れたままにしない、保温できる資材を使うなどの予防が必要です。

②食事が凍らないように…キッチンカー

真冬には、配給する食べ物が凍ってしまうなど、食事の問題も深刻となります。

停電の中、有効なのが、キッチンカー。
夕食は、レトルトの牛丼が、簡単なアレンジを加えて出されました。

体が温まるよう、ショウガやジャガイモ、北見のタマネギなどを加え、仕上げました。
とろみをつめて、冷めづらくしています。

体験した人からも、「体も温まって、食事プラス気分的にもほっとする」と好評でした。

③車の中での注意点

午後9時。気温はマイナス12℃、寒くなってきました。

HBC堀内大輝アナウンサーは、暴風雪の中、車が立ち往生した想定で、1時間、車の中で過ごす体験をしました。

堀内アナウンサー

車の中にいると、下半身がどんどん冷えて行くという実感があります。

車のエンジンをかけたまま、車内で過ごすと、降り積もる雪でマフラーが埋もれて、一酸化炭素中毒になるおそれがあります。

寒さ対策をしっかりして、エンジンを切ることが大事だといいます。

体験した人は、「最後のほう鼻から息をしたら、鼻がくっつくレベルだったので、マイナス10度は下回っている」と話していました。

車の中では、エコノミークラス症候群や低体温症にも、注意しなければなりません。
水分補給やトイレ、そしてマッサージなど、適度な運動も大切になってきます。

④足湯にロウリュも

停電の中、効率よく暖を取るアイディアとして、雪を集めて、お湯を沸かし、足湯を作る方法があります。

ビニールで覆った段ボール箱に、ビニールをはいた足を入れ、沸かしたお湯をかければ、「濡れない足湯」となります。

低体温症を防ぐために、汗をかかない、濡れないことも、大切なポイントです。

テントの中では、ストーブの上に置いた石に、水をかけて蒸気を発生させる即席の「ロウリュ」も。

冷え込んだ体の、血流を促進させる効果があります。
暑すぎると汗をかいてしまうので、40℃以上にならないようにします。

寒冷地にある北ヨーロッパの知恵も取り入れ、命を守ろうとしています。

備えは待ったなし

午前7時。
避難所での長く寒い夜が、明けました。

堀内アナウンサーにとっては、初めて寝袋の中で、冬の一夜を過ごした体験でした。
「枕が無かったので、首が痛くて2時間に1回、目が覚めてしまった」といいます。

コロナ禍で、3年ぶりの開催となった、厳冬期の災害演習。
道内では、日本海溝・千島海溝沿いで、巨大地震の発生が「切迫している」と指摘されていて、避難所の備えや課題の洗い出しは、待ったなしの状況です。

日本赤十字北海道看護大学・根本昌宏教授は、「避難生活を考えると、これが冬となった場合には、ここはしっかり学ばないと、間違った行動で、命を失うということが起こると思います」と話していました。

文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部IKU

※掲載の内容は放送時(2023年1月23日)の情報に基づきます。

Sitakke編集部

Sitakke編集部やパートナークリエイターによる独自記事をお届け。日常生活のお役立ち情報から、ホッと一息つきたいときのコラム記事など、北海道の女性の暮らしにそっと寄り添う情報をお届けできたらと思っています。

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