2023.01.31
深めるは〜い皆さん、ご機嫌よう!「お悩み相談コラム」担当・満島てる子です。
2023年もはじまってややしばらく。読者の方々はどんな日常を過ごしてらっしゃるのかしら。
あたしが店長として働くバー「7丁目のパウダールーム」では、来てくれたお客さん達が時々「今年の抱負は?」なんて話題で盛り上がったりしてるのよん。
その会話を聞きながら「なんだかややしばらく慌ただしかったけれど、実はきちんと年変わってたのよねぇ〜」と、感じさせられる日々を自分は送っております。笑
てかみんなどう?それぞれ抱負とかあったりする?
もし「あるよ!」って場合、人によってその内容も様々だったりするのかなぁと思うんだけれど、どんなジャンルが多かったりするのかなぁ。
例えば仕事、例えば勉強……もっと言うと「今年は絶対パートナー作るぞぉ!」なんて、恋愛について野心を燃やしている人も、もしかしたらいたりして。
素敵な出会いを求める気持ちって、一度燃え上がったらそう簡単に消えないもんなのよねぇ。
そんなことをぼやっと考えながら、応募フォームに届いたお手紙を見ていたら「これ、ちょっと前に届いたやつではあるけれど、なんか今取り上げるのにぴったりかも」と思う1通が。
(皆さんいつもたくさんの投稿ありがとう!更新スケジュールの都合で、全部にすぐさま返事をする、というわけにはなかなかいかないんだけれど、きちんと読んでますからね……!)
ということで今回は「ぬくもりの欲しさが高まりすぎて、ねじれてこじれてもがきまくっているんだなぁ」と、文章からもビンビン伝わってくるこちらの相談者さんからのお便り、ご紹介させていただければと思います。
おいリスさん(squirrel)よぉ……そのほお袋にどんだけのロンリネス詰めとるんや……冬籠もりに備えすぎやろ……と、思わずペンネームとあわせてツッコミたくなりますが。
スクイレル氏、引っ込み思案ながらも穏やかで優しい人柄(あたしの妄想かな?笑)、それがよく伝わってくる情感に溢れたお手紙、送ってくださりありがとうございます!
さてさて、さっきもちょっと言ったけど……いやぁあんた、こりゃこじれにこじれてるね!←
まぁこじれ具合でいっちゃあ、あたしも人のこと言えない程度には、あんたとちょっと別のベクトルで、とんでもないことになっていたりする自覚はあるんだけどね。
しっかし久しぶりだったわよぉ、こんなにツッコミどころ満載な投稿。
例えばさ、「最高に醜怪なダダ」をこねすぎて「脳がいい加減疲れた」って言い回し、きちんとネガティブな内容なのに、分かりやすくてなんだかクスッと笑ってしまったわ。
「寂しい」と「淋しい」をあえて意味ありげに並べてるところも、スクイレル氏の内面のしちめんどくささ(単なる悪口じゃないの!本当にそう思ったの!←)を感じて、個人的にはツボだったしね。
そして極め付けはこれよね、そう、「私は仏陀ではありません」宣言。
ねぇなんなの、唐突かつまさかの自己紹介すぎて思いっきり笑っちゃったんだけど!
そりゃそうなのよ!そして、それでいいのよ!笑
だってこの煩悩まみれの世の中、ひとりだけ綺麗な聖人として生きていけるはずないわよね。
むしろ、悟りってそうそう開けねぇんだなって悟ることが、ある意味時代に合わせた「カジュアル仏陀」になることな気がするし、多くの人がそうやって自分の葛藤を適当に流し、時には自分の闇と向き合うことから逃げているんじゃないかなと、折につけ思うんです。
だから、不器用でもまっすぐに「理想と現実のギャップに苦し」んでいるスクイレル氏は、ある意味とっても人間らしいなぁと、そうあたしは思います。
とはいえ、その状態が「己のコンプレックスを己で責め苛む、負の無限ループ」まで成長しているとするなら、それって単にこじれてるのを超えて、もうしんどいレベルでこんがらがっちゃってるのかもしれないわよね。
心のどこかががんじがらめになったまま人生を歩んでいくのって、人によって程度はあれど、きっとどこか苦しいはず。
スクイレル氏としても、ほどけるものはほどいた方が楽だろうし、足かせがあるにもかかわらず、じゃあそんな中で恋なんていう気持ちの摩耗しかねない事柄に向き合えるかというと、そうではないだろうしね。
う〜ん……「気の持ちようさえ定かではない」と語るレベルまで行っちまってるあんたに、一体どんな言葉をかけてあげたら、ちょっとでも楽になってくれるかしら……。
「どうかひとつ指針を」という依頼を受けた以上、なんとか正面からその願いを受け止めてあげたいなぁとは思いつつ、「こりゃ難しいゾ」と考え込んでしまったあたしだったのでした。
(くっそ〜!マジで「答えづらい相談」じゃないのさ!許さないからね!嘘よ!笑)
とはいえ、ここで止まっちゃったら「お悩み相談ルーム」を1年半連載してきたプライドが許さないわ!←
なんとしてでもリスのほお袋、ちょっとでも軽くしてみせるんだからね。
スクイレル氏のために、まる裸になってでもやってみせようじゃないのよ!(いや誰が見たいのよってね)
てことでまずは、あたしがこのお手紙を読んで抱いた率直な感想を書かせてもらうことから、ここから先は始めさせてもらおうと思います。
うんとね、がんじがらめのリスさん。
あなた多分「ひとりで考える」ことに慣れすぎているんじゃないかしら。
何が言いたいかというとね。
「どツボ」にハマってしまっていると語る君の投稿からは、あなたの脳内の様子はとてもよくわかったの。でもどんな人と出会い、どんな感情を抱き、燃えて泣いて傷ついたのか、歪みあるいは正されたのか、それは全然伝わってこなかったんです。
むしろ、です。
パートナーがいたらどうなのかを「シミュレート」したり、誰か隣にいてくれと「脳内」で叫び続けたり。そういう、実在する相手のいない仮想実験はしていたとしても、それだけに終始してるんじゃないかって。
厳しいこと言うと、一人相撲を取り続けているように思えたのよ。
実はね、あたしも恋愛について、似たような傾向があんの。
自分の頭の中だけで箱庭を作って、そこであーでもないこーでもないと考えることで満足しちゃうというか、なんならそこから現状を納得し、とりあえず肯定できる説明を見出して「もういいじゃん、今のままで」って諦めちゃうというか。
楽なのよねぇ、誰かとぶつかったりすることなく、胸の中だけで想いを片づけるのって。
でもね、そんなことをやっている間は、あたしたちはおそらくずっと「負のループ」から抜け出せない。
だってその「ループ」っていうのは、脳みその中にのみ存在しているのに、脳みそという小さい“箱庭”、そのプロテクトのおかげでリアルかのように振る舞っているものなんだもの。
頭だけで戦っている限り、敵の支配するフィールドからは抜け出せないんです。
だからね。あたしがおすすめしたいのは、とっても単純で「そんなのできるならやってるよ!」と言われてしまうことかもしれないんだけれど……。
実在の人間と、実際のやり取りをすること。現実のただなかで誰かと出会い、言葉を交わし、気持ちを伝えて時にきちんと傷ついたりすること。これなのよ。
もっとぶっちゃけて言っちゃえばね、世の中って本当にシンプル。
誰かと会わない限り、そして誰かに想いを届けない限り、誰かがあなたのパートナーになるわけないじゃない。
だからスクイレルさんにあたしから指針っぽいものを与えるとするなら、「素直に人を求めちゃおう」って文言になるのかなぁ。
例えば、今までそんなフィーリングからは目を背けてきたけれど、実は前から気になっていた人がいるんだとすれば、その相手をご飯に誘ってみるもよし。
新しい出会いが欲しいなら、今はマッチングアプリも充実しているわけだから、そういうのを使ってさらっと「会いませんか?」って約束しちゃうのもいいと思う。
つまり、これまでのようにひとりで考えるんじゃなくて、誰か自分との関係を考えてくれる人を見つけて、その人と一緒に悩める状況を作っちゃおうよ、とあなたにはアドバイスしたいんです。
最初は慣れないかもしれません。現実のめんどくささに「キイイ!」ってなって、別の負のループが頭の中に新たに出来上がってきちゃうかもしれない。
パートナーが必ず出来るとも約束できないしね。こればっかりは運もあるしね。
でも、それでもいい。むしろそれがいい。
まずスクイレルさんがすべきなのは、ほお袋に気持ちを溜め込むさみしい孤独なリスであることを卒業して、「誰かと一緒にいてやり取りをする」ってことにそれなりになじみを覚えた「人間」になることだと思うから。
そのためには、現実に身を投げ込むことが最も近道じゃないかと、あたしは考えます。
デートの場所に迷ったら、うちの店使ってくれてもいいのよ?笑
その時は遠くから、ドギマギしているあんたを、にやにやしながら見守ってあげるわ!
いつかスクイレルさんが「実はパートナーができたんです」と報告してくれる日が来ることを、同じく素敵な伴侶を求め続けるひとりの人間として、心待ちにしていますね。
というわけで、今回は「恋の探し方」について書かせていただきました。
やっぱり「かたわれ」的ポジションというか、寄り添ってくれる相方のような存在って貴重なんだけれど、それってやっぱり探さないと見つからないもんなのよね〜。
読者の皆さんは、どうやって出会いをゲットしてるのかしら。みんなの体験談聞きたいわぁ。
あ、そうそうそれで思い出した。
今回文中で「マッチングアプリ」について触れたと思うんだけれど、このSitakkeの中の連載、イラストレーター・ハルタさん作の漫画「 札幌女子、マッチングアプリで恋活してみた」みんな読んだ?
これ、とんでもなく面白いし、「ひゃ〜!」って思うところや「うわ……わかるわぁ……」って思う要素、盛りだくさんなのよ。
インスタグラムをメインに活動するハルタさん。
実体験も交えながら描いているらしくて、そのせいか描写がやたらとリアルだったりするの。
「初デートにこんな場所アリ?ナシ?」とか、出会いを求める人なら一度は考えるはずの話題もいっぱい出てくるから、一度ぜひ読んでみてね!
やぁん、あたしも久しぶりに出会い系アプリとか使ってみるべか。
どうしてもやり取りとかが億劫になっちゃって、いざ顔を合わせるまで至らないことが多いんだけど、スクイレルさんにアドバイスした手前「自分がやらないでどうすんの!」って話よね(ひぇ〜)。
もし何かあったらこの連載でも報告しちゃおうかな!皆さんお楽しみに(期待はしない方がよいかも……苦笑)。
ではでは、どなた様も素敵な出会いを。
Sitakkeね〜!
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文:満島てる子
イラスト制作:VES
編集:ナベ子(Sitakke編集部)
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満島てる子:オープンリーゲイの女装子。北海道大学文学研究科修了後、「7丁目のパウダールーム」の店長に。LGBTパレードを主催する「さっぽろレインボープライド」の実行委員を兼任。) 2021年7月よりWEBマガジン「Sitakke」にて読者参加型のお悩み相談コラム【てる子のお悩み相談ルーム】を連載中。
「気まずくなった相手と“仲直り”したいなら。やったほうがいいこと」
これは「甘え」でしょうか?もっとがんばらなきゃ、と思えば思うほど、心が折れて辛い。
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