2023.01.27
みがく毎日がんばる“わたし自身”を、いたわってあげませんか?ココロとカラダをセルフケアするためのTipsを、簡単な運動と共にゆるっとご紹介。北海道内を中心に、25年以上に渡って「女性の健康と運動」を研究・サポートしてきた、寅嶋先生にご提案いただきます。
こんにちは。とらしまです。
前回も少しお話ししましたが、私は「女性と運動の関係」を研究しています。
運動って、健康になるために大事なものなのですが、運動講座で講師をしていると「運動ってあまり人気がないなー……」と感じることがよくあります。実際、運動習慣のある日本人の割合は、男性で 33.4%、女性では25.1%、さらに女性はこの10 年間でみると減少傾向にあります(国民衛生の動向,2019)。
講座では「学校時代の体育がきつすぎて大変だった」「カラダにいいってわかってるけど、ジャージに着替えたりとか、面倒!」などの声もよく聞きました。運動に対して、マイナスイメージを持っている方は多いな~……と実感しています。
では、なぜ私が、こんなに人気のない「運動」を研究し、「運動は大事ですよ」と言い続けてきたのかというと……よく、「運動が得意で大好きだからなんでしょ?」と聞かれますが、実はそうではありませんでした。
私は、幼稚園のころから約17年間、クラブチームでサッカーを続けていました。といっても、たまたま、実家の近くにあったので入り、やめられずに続けていただけです。練習はとんでもなくきつくて、ただただしんどい。それでも根性で頑張っていたのですが、過度な練習が原因で、高校1年にして月経周期も出血量も不安定になり、疲労骨折してしまったのです。
運動で身体が壊れ、心もあやうく壊れかけ、心底、運動を恨みました。でも、そこから救ってくれたのも運動でした。リハビリテーションで出会った、「心地よいレベルの運動」で窮地から救われたのです。「歩くのも立派な運動」と教えてくれた医療職のみなさんには、とても感謝しています。私の講座でも「なんか楽しくて心地よかった!」と、運動へのマイナスイメージをひっくり返すことを目標にしています。そこから、ぜひ運動を習慣づけてもらえたら、と思っています。
さて、こうした経験を出発点に、いわゆる「当事者研究(自分が研究対象になる)」として、今の研究を始めました。振り返れば、傷つきながらも「もう少し頑張ればなんとかなるかも」とスポーツを続けたときも、心地よい運動と出合い、今の道に踏み出したときも、最後は「自己決定」していたから、今の私があるのかなと……。これができなかったら、過去をいつまでも悔やんだり、辛さを他人のせいにしてしまったかもしれません。
まだまだ世の中では「女性は、母親は、こうあるべき」という考えも根強く、女性ならではの大変さも多いと感じます。そして、私が見てきた限りでは、「悩みに悩んでどうしよう!?」という時、女性陣の多くは、お友達、家族、恋人等々へまずは相談される方が圧倒的に多いかなと。それも大事ですが、さまざまな人生の選択を見てきて思うのは、最後に 「自己決定」しておくことが大事だということ。勇気を出して自分で決断した人たちは、そのあと、誰を恨むこともなく、きっぱりすっきり前に進んでいる気がします。女性に限らずですが「自分で決める」って、ハッピーに生きるためにも大切だな~と実感しています。
余談ですが、北海道で、ワンオペ育児をしていた頃……。吹雪の日に3人の子どもたちが満面の笑みで迫ってきました。その口から出たのは「お外で雪だるまつくろ~!」……そこに、私の自己決定は存在しませんでした(笑)
運動から心の話へと展開した今回、紹介するのは【壁押しストレッチング】。お金も時間も不要で、簡単!それなのに、ストレスをさっとどこかへ追いやって「潔く決めちゃおう!」と決意を促してくれるような運動です。呼吸を意識すると、より気持ちがスッとします。
①図のような姿勢を取り、力を込めながら壁を押す準備を。
②ひじがまがらないように壁を押しながら、右足は90度くらいに曲げ、左足を後ろへ。両足ともかかとは床から離さず、左膝はしっかり伸ばします。体は図のように起こしましょう。
③3~5秒間、息を強めにふーっとはきながら手で壁を押し、かかとを床へ押しつけます。しっかり伸ばすという「意識」が大事!足を入れ替えて同じ動作を行います。片足につき1~2回を。余裕があれば3回!気持ちが引き締まります!
こころもカラダも、ゆったり、ワン・ツー・スリー!
明日も、みなさんが元気な1日を過ごせますように。
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■プロフィール:寅嶋静香(とらしましずか)
京都工芸繊維大学研究員。一般社団法人フィジカルケアラボ 理事。
2001年東京大学大学院 生命環境科学系身体運動科学講座終了 PH.,D(専門:運動・スポーツ生理学)
女性と運動の関係を研究するかたわら、「産後こそ、母になったご自身を大切に……」を合言葉に、科学的なエビデンスに基づく、安全・安心を担保しながらの産後の母親支援(健康サポート)を北海道内で12年間実施。このほか、更年期女性へのケア講座なども道内各地で実施。主な著書に「バウンス運動の生理学的基礎~バランスボールで弾む運動の科学的分析~」(ブックハウスHD、2022年8月)
Illustraion:まるいみさき
Edit:ナベ子(Sitakke編集部)