2023.01.21

暮らす

家族旅行中、赤ちゃんと母親が死亡…「標識」から考える、交通ルールの伝え方

1月10日、北海道旅行を楽しんでいた外国人観光客のレンタカーがダンプと衝突し、2人が死亡しました。

痛ましい事故は、なぜ起きたのでしょうか?

レンタカー業界も、安全対策に乗り出しています。

連載「じぶんごとニュース

最も多かった事故の原因は

10日、上川の上富良野町で、乗用車とダンプカーが出会い頭に衝突しました。

乗用車はレンタカーで、シンガポールの一家4人が、北海道を旅行中でした。

この事故で、生後4か月の赤ちゃんと、その母親の2人が死亡。
運転していた父親と3歳の長女もけがをしました。

現場には、乗用車側に一時停止の標識があります。

警察は、乗用車側が一時停止の標識を見過ごした可能性があるとみて調べています。

道警によりますと、外国人がレンタカーで起こした人身事故は5年間で80件。
その原因で最も多いのは「一時停止」をしなかったことでした。

10日に起きた事故の現場には、「止まれ」と日本語で書かれた標識がありました。

しかし、町内の別の交差点では、日本語で書かれた「止まれ」の下に、英語や中国語でも表記されています。

2017年以降、新たに設置された標識には英語の表記がありますが、道内の一時停止規制箇所、およそ10万6千か所のうち、新たな標識はおよそ5000か所、全体のわずか5%にしかありません。

外国人観光客が戻る中…レンタカー業界では

新千歳空港には、水際対策の緩和で、外国人観光客の姿が戻ってきました。

ニッポンレンタカー新千歳空港営業所には、外国人客に対応するため、英語を話せるスタッフが常駐しています。

英語・中国語・韓国語で書かれたマニュアル。

表紙にも「一時停止、STOP」の標識を大きく記して、赤い逆三角形の標識を印象づけています。

韓国からの観光客は、「結構旅行に来るんですけど、運転するのは怖い。すべての標識が日本語だから、そして運転する方向が逆だから」、
カリフォルニアからの観光客は、「漢字や日本語で書いてあるのはわからないから、例えば「止まれは三角形」みたいに形で覚えるようにしています」と話していました。

レンタカーを借りる外国人客がやって来ました。

「シンガポールの観光客が亡くなる交通事故があった。必ず止まってください」

上富良野町の死亡事故にも言及しながら、主な道路標識を一緒に確認します。

また、雪道の危なさについては、事故の写真を使って説明します。

「今夜は冷えるから、ブラックアイスバーンには特に注意してください」

ボディが大きく壊れた写真を見せながら、急ブレーキをかけてもすぐには止まれないことを訴えます。

函館では、警察も

函館駅前のレンタカー店。
13日朝、香港からの観光客がやってきました。

声をかけるのは、警察官です。

警察官「北海道内の別な地域ですが、深刻な交通事故が相次いでいます。運転するときは十分に気を付けてください」

シンガポール人の運転するレンタカーが死亡事故を起こしたことを受け、外国人観光客に、警察が直接、注意を呼びかけたのです。

手渡すのは、日本の交通標識を各国の言葉でまとめたチラシです。

「あなたの国とは違うかもしれないけど、これは日本の一時停止の標識です。絶対に見逃さないでください」と伝えます。

シンガポールからの観光客は、同じ国の人が死亡事故を起こしたことを警察官から聞き、はじめての雪道の運転に緊張感を高まらせます。
「交通ルールは大きくは変わらないと思うが、道路の状態はぜったい違う。雪道は注意深く運転すれば大丈夫なんじゃないかなと思っている」

警察官は、「110は警察への緊急通報の番号です。日本に滞在している間に使わないでいていてくれるといいですけどね」と声をかけていました。

北海道を訪れる人が多い国や地域の一時停止の標識を見ると、「八角形」が主流です。日本の逆三角形の標識は、実は少数派です。

また、韓国などはハングルと英語の両方で表記していますが、日本ではそうした標識は、まだ普及していません。

標識だけではなく、走る車線も違います。台湾や韓国などでは右車線を走るので、日本での運転に馴れてもらうには、ちょっと時間がかかりそうです。

さらに、雪道の問題もあります。雪をまったく見たことがない地域の方々には、スリップの危険性のアピールは今以上に必要かもしれません。

連載「じぶんごとニュース

文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部IKU

※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2023年1月13日)の情報に基づきます。

Sitakke編集部

Sitakke編集部やパートナークリエイターによる独自記事をお届け。日常生活のお役立ち情報から、ホッと一息つきたいときのコラム記事など、北海道の女性の暮らしにそっと寄り添う情報をお届けできたらと思っています。

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