2022.11.29

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「ママ」は出世コースからはずれがち?職場でガツガツ頑張る「自分」でいたいのに…【悩み】

は〜い皆さん、ご機嫌よう!「お悩み相談コラム」担当・満島てる子です。

ねえあと1ヶ月とちょっとで2022年が終わるんですって!?
信じられる!?どうしましょ。なんか焦ってくるわ……。

「”コラム初め”だわ〜んアガる〜!」とか言いながら、新年1発目から 「友達の作り方がわからない」」という、割とヘビー級の相談と向き合っていたのが、本当についこの間の感覚。
なんなら、7丁目のパウダールームが5周年を迎えたのも、さっぽろレインボープライドの2日間開催を乗り切ったのも、そんなに前のことに思えないのよ。時の流れって恐ろしいわねぇ。

1番怖いのがさ、こんなにも「光陰矢の如し」であるにもかかわらず、それに比例するかのごとき勢いで、実は年内にやり終えなきゃいけないお仕事、山の如しじゃね?ってところでして……。
やばいわ、考えただけで冷や汗止まんないゾ……。汗

とはいえ、大人になってから、まさかこんなに多種多様なお仕事に関わるようになるなんて、女装を始めた学生時代は全く思ってもいなかったわけなのですが。苦笑
「これもいろんなご縁と運が重なってのことよね」と、あたしとしては各方面で出会い、関わらせていただいている皆さんには、頭が上がらない気持ちでいっぱいなんです。ありがたや〜。

そんなふうに、年の瀬も目の前というタイミングで自分の仕事について振り返りつつ、応募フォームに寄せられたお手紙たちを見ていたら、なんだかとっても真剣で、しかも野心を感じる相談文が来ているのが目に入ったの。

今日はこちらを紹介させていただければと思います。

【ご相談】「ママさん」というカテゴリーにとらわれず、頑張りたいんですが、どうしたらいい?

おおっと。歴代で最も長いペンネームではなかろうか。
中島みゆきさんもびっくりなネーミングですね。笑
まずは、お手紙ありがとうございます!

う〜ん!周囲から敷かれがちなレールがあることを承知した上で、それでも自分で目指す道を定めていこうっていうその姿勢!とっても「イイね!」押したくなるわぁ。素敵よ!

そして、そうよね〜。「ママさん」ってくくりって、きっと邪魔なときあるだろうなぁ。
そうやって、当然のごとくひとまとめに扱われることで、個人の持っている可能性を発揮できない環境に追いやられてしまうこと、特に今の日本のようにジェンダーギャップの激しい状況では、時に女性、時に母親といった「誰かのケアをして当然と思われてしまう側」には多いんじゃないかと思います。

だから「世と僕」さん(ごめん!名前、略させて!笑)が、育児をしながらも未来の自分のためにいろんな準備を進めているっていうのは、すごいことだと思う。
と同時に、「本当にできるのか?」という不安を抱えているっていうのも、「うんうん、他の人の考える“ふつう”には当てはまらない生き方を選ぶのだから、そりゃ気持ちゆさぶられるよね」と、なんだかよく理解できるなぁとも感じておりました(本来は、そんな不安を感じなくて済む社会であることが1番なんだけれどね)。

ずっと悩まされてきたの、あたしも。

しっかし、ロールモデルかぁ。これ、実はゲイとして、ずっと悩まされてきた話題なの。

LGBTQ当事者にとって、結婚や出産、それを見越した就労のあり方など、異性愛者であること前提の生き方ができないことは、たいていしんどいもの。
というのもそれは、本人が望むか否かに関わらず「お手本がない、手探りの人生」を送らなければならないことを意味しうるからです。

あたしの場合、バーの店長として働いている今でも、ふとした瞬間に「これでいいのかな、この先どうなるのかな」と不安になることがあります(学生時代なんてなおさらだったなぁ)。
ずっと模索中。わりと常に自分であり続けることで必死。
「んも〜、誰か正解教えてよ……教育して叱ってくれぇぇえ〜‼︎(豪雨)」って、ひとりっきりの帰り道だとよくなってんのよね。苦笑

だから「世と僕」さんがこれから直面するかもしれない、あたしと抱えているようなものと似たしんどさのこと。その存在を考えると、やりたいことに向かって「めげずに挑戦」し続けてほしいからこそ 「その挑戦の“影”にも気づいておくといいのかなぁ……」 なんていうふうにも個人的には考えたりするのでした。

あたしなりのAnswer

てなわけで、そんないろんな気持ちを感じつつ、ロールモデルが見当たらなさすぎて路頭に迷いかけたこともある女装から(詳細は言わないけど、結構大変だったの)、「世と僕」さんへのアドバイス、2点ほどお届けさせてもらえればと思います。こちら。

【自分で自分の人生を切り開く時は】

<①楽しさを大切に!>
結果や他人からの評価といった、外から見えやすいところは一旦無視して、自分が「楽しい!」と思えることをどんどん押し通すかのごとくやってみて!

<②逃げてもいいと思おう!>
「自分が目指した道だから」とか気負わずに、無理かもと思ったら気軽に退却して大丈夫!それぐらいの気楽さで取り組んでみて!

ちょっとぼや〜っとした書き方になってるかもしれないけれど……。
でも、あたしこのふたつ、わりと本気で大事だと思ってるの。

ついつい忘れがちだけど、大事なこと

「道なき道を切り開く!」ってパイオニア的なノリでことに当たる場合って、あれやらなきゃこれやらなきゃ的な具体的な準備については、誰に何も言われなくとも、やっぱり自然と、そこに賭ける気持ちが強けりゃ一生懸命やるじゃない?

きっと「世と僕」さんもそこは一緒で、今できる範囲の中で、自分の時間をそういう用意に割いていると思うのよね。

なんだけど、そういう時忘れがちなのは、力の抜き方
ロールモデルがない生き方って、進む道だけじゃなく退却経路や回り道、途中の峠の茶屋的な休憩所まで、実は自分で、自分のために作り出さなきゃいけないわけじゃん。

しかも……
その道行きというか、どう進むかの地図は自分の好きに彩っていっていいはず。なのによ?
ありがちだけれど、他の人からどう思われるかとか成果をきちんと上げられるかとか、そんな見てくれみたいなものが気になってしまって、無理なコース通って疲弊したり、どうするのが正解かわからず途中で身動き取れなくなっちゃったりすんのよね(身に覚えあるわぁ)。

だから、例えばいざ「世と僕」さんのお仕事が本格化したときに「よしやるぞ!」っていう前向きな心構えは、もう自分で勝手にできると思う。
ただ、「おやちょっとしんどいぞ」って時に、上手な回避の仕方がわからなくて、結果どうしようもなくなってしまったとか、そういうのが1番、他にないルートを行こうとする人たちにとっては陥りやすい事態だし、「世と僕」さんにはそれで苦しんでほしくないなぁと思うんです。

なので、心構えとしてはちょっと消極的に聞こえたかもしれないけれど、今ご紹介した2点をセーフティーネットというか、心のお守り的な感じで胸に留めておいてもらいたいの。
「自分のやりたいようにがまず優先」と気軽に構えること「自分が元気なことのほうがより大事」と身軽に退けること、このふたつを意識するだけでぐっと仕事の持続可能性というか、心折れることなく楽に楽しく夢に向かう状態が作りやすくなるんじゃないかなぁと思います。

カテゴライズしてくるやつが現れたら…

あ、そうそう。「あなたはママさんだからさぁ……」とか外から勝手に括ってくるやつ現れたら、遠慮なく中指立てるぐらいの精神で行っていいからね。「そんな既存のカテゴリー糞食らえなんだけどマジで〜〜!」ってノリで、そこはがっつりたたかっちゃお(あたしの場合「君はおかまだから云々」とか「女装子ってこうあるべきじゃん?」とか、よくわからない先入観で色々物申してくる相手には、きっちり100倍返しをするようにしています)。

出るところは出る、かわすところはかわす。攻守織り交ぜることで、これからの道のりの息のしやすさは、きっと全然違ってくるはずです。

上手に遊びを自分に与えてあげながら、「世と僕」さんにしかできない働き方を続けて、ぜひ輝いてほしいわぁ。きっとその姿が、「ママさん」というしばりから抜け出したい周りの人たちにとっての、新しいロールモデルになっていくだろうしね。

西創成の地から、あなたの活躍を応援しています!

ま・と・め♡

というわけで「あたしなんかが大それたことを」なんて思いつつも(苦笑)、今回は自分の人生をかたちづくるときの心構えについて、自分なりに実際気をつけていることを書かせていただきました!

結構これまで、岩山に体当たりしてトンネル作る、みたいな突貫工事風の生き方をしてきたので(その突貫方法のひとつが女装だったというね……)、無茶しすぎる己が身を自然に労わるようになったというか、力抜く時はとことんオフにするし、回避できる時はとことんパスする癖がついているみたいなの、あたし。
そのせいで周りに迷惑かけちゃったりするときもあるんだけどね。笑

(一度、大仕事が終わって32時間寝続けた時は、心配してくれた友達から「生きてるなら返事ぐらいしてよ!!!!」と、きちんと怒られたりしました)

そんなやること極端で、ちゃらんぽらんな女装の提言ではあるのですが……何かの参考になっていたなら幸いです!

告知♡

そうそう!お仕事の話題で思い出したわ。
先月初めて、ちょっとしたお芝居(?)に参加させてもらいました。

来る12月1日は、世界エイズデー
それに向けて、HIVとエイズについて動画で楽しく、かつ正しく学ぼう!というプロジェクト「レッドリボンスタディ」っていうのを、世界エイズデーシアター札幌実行委員会という団体が、札幌市保健所感染症総合対策課のバックアップのもとで立ち上げたんだけれど、その動画の中で講師役をやらせていただいたの。
YouTubeで公開されているので、みんなぜひ見てくださると嬉しいわ!

ちなみに12月1日当日は、この世界エイズデーにちなんで、なんと時計台が赤くライトアップされるの(レッドリボンをはじめ、赤色はHIVやエイズ当事者への偏見を無くそうという活動のなかで、テーマカラーとして使われています)。

あたしもライトアップ会場でちょっとした企画に参加する予定なので、ぜひ皆さん覗きにきて、赤い時計台の写真をSNSなどに UPしてくれると嬉しいです!ぜひあたしにも気軽に声かけてねん。

いやん、楽しみなこともやらなきゃなことも、本当にたっくさん!
こうやって人は師走に突入していくのね……(白目)。
色々まずは、年内に終わらせなきゃなこと頑張ろっと(ますます白目)。

皆さんもお仕事やお勉強など、無理せずそれぞれ気張ってまいりましょ。
ではではまた次回。SItakkeね〜!

***
文:満島てる子
イラスト制作:VES
編集:nabe(Sitakke編集部)
***

満島てる子:オープンリーゲイの女装子。北海道大学文学研究科修了後、「7丁目のパウダールーム」の店長に。LGBTパレードを主催する「さっぽろレインボープライド」の実行委員を兼任。)2021年7月よりWEBマガジン「Sitakke」にて読者参加型のお悩み相談コラム『てる子のお悩み相談ルーム』を連載中。

Sitakke編集部

Sitakke編集部やパートナークリエイターによる独自記事をお届け。日常生活のお役立ち情報から、ホッと一息つきたいときのコラム記事など、北海道の女性の暮らしにそっと寄り添う情報をお届けできたらと思っています。

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