2022.01.19

深める

大人になってからの「友達の作り方」がわからない。もともと人付き合いも得意なタイプではないし、どうすればいい?

は〜い皆さん、ごきげんよう。そして、あけましておめでとうございます!
札幌でちょこまかといろんなことをしている女装子のゲイ、満島てる子と申します。

去年から始まったこの「コラム・てる子のお悩み相談ルーム」なんだけれど、今回は新年1発目!あたしにとっては「コラム初め」だわ〜んアガる〜!

……思い返せば2021年、皆さんからもらった投稿、どれもとっても印象的なものばかりだったわねぇ……。家族や職場、恋愛だったり人生そのものについてなんてのもあって、その都度自分のことも振り返りながら(というかほぼ一緒に悩みながら笑)、このコーナー担当させてもらってきました。

今年もいろんな感情との出会いを通じて、自分なりに丁寧に言葉を紡いでいければと、そう気持ちを新たにしていたところです。2022年もどうぞよろしくね〜!

さてニューイヤーとなれば、自然と家族や親戚、昔の知人、なんなら「はじめまして!」な方とのも含め、人と顔を合わせる機会が増えてきて、自分の人間関係についても考え直すきっかけになるタイミング。今回の投稿に近しいモヤモヤを感じたって方も、きっといるんじゃないかしら。見てみましょう。

今回寄せられた「お悩み」

「たまーに(年に1回ぐらい)飲みに行く知り合いはいても、普段から連絡のやりとりをする相手とか、気軽にご飯に誘える相手がいません。

自分から誘えば良いのかもしれませんが、年齢が30半ばになり、同世代は子育てをしていたり家庭があったり。趣味のことも一人でしてしまい、語り合うような相手がいたら楽しいかもと思うのですが、あまり語り合いたくない気持ちもあったり。みなさん、どうやって友達を作っているのでしょうか。」

……うん、ちょっと最初に一言いいかしら。
ねぇ、マジでみんなどうやって友達って作ってる?!

と、年始のコラムからすでに、お悩み相談にあるまじき読者への問いかけから始めてしまいましたが。笑
あたしもこれ、特に大学出て仕事するようになってから、ときどき考えさせられることがあるの。

まぁ人によって交友関係の持ち方というか、そのスタンスってきっと千差万別。
「友達100人できるかな〜♪」って童謡を地で一生行くんだろうなって人もいれば、「そんなに誰かと一緒にいなくていい、人間強度が下がるから」(西尾維新の『物語』シリーズって言ったら元ネタ伝わるかしら?名作だから読んでみてね)という独立独歩な主義の方もいるんだろうけれど……。

自分の心構えがどうであれ、気の合う人と出会うチャンスが巡ってくるかはまた別問題。学校に通っていた頃とかって、思い返せば入学やクラス替えと、必然的にたくさんの出会いを経験できるシステムがあったのよね。でも大人になればなるほど、誰かと知り合うどころじゃなくて、自分ひとりの時間すら削られていくじゃない?

はぁ……この試されすぎてる社会を生き抜かなきゃ!って必死こいて日々を送ってるだけなのにね。「ただでさえ余裕ないのにどうやって新しいつながり作れっていうのよ!」ってキレ散らかしたくなるとき、ありません?あたしはもうしょっちゅう。

そして、じゃあもし相性のいい人と友達やパートナーとして仲良くなれたとしても、さて普段からこまめに連絡を取ったりするかどうかとなると、その付き合いのあり方とかお互いの生活リズムによってはそうでもなかったりして。

投稿文を読みながら「そうだよね〜ほんとに」ってとりわけ共感したところなのですが、三十路に突入してここしばらく、あたしの周りも家庭や子育て、キャリアアップや転職と、人生の分岐点に突入していて忙しかったり、自分とは違う風景を見ている人も多いの。
そうなると、よっぽど関係ができあがってないと、こっちから声をかけて時間を作ってもらうことにどうしても引け目を感じたりして……ますます”誰かと仲良くする”ようなシンプルな機会って、どんどん無くなっていっちゃうんだよね。

あたしは、こと深い人付き合いとなるとなんだか不器用になってしまうせいで、誰とでも仲良くできるタイプではないし、ひとりの時間も結構必要な方だから、相談者さん同様ソロ生活を充実させることにもやぶさかではないの。それでも、やっぱり気心の知れた人とのつながりが無いと心もとないっていうのは、どうしても否めなくて……書いてくれてるように、やっぱ「たまに不安になります」よね、わかります……。

そんな風にこちらの投稿を読みながら、自分の周りの人間関係についてもちょっと反省というか再考をしてしまった、2022年のはじまりだったのでした。

あたしなりのAnswer

とはいえ、ひとりで反省してる場合じゃないんだったわ。笑
ここからは、もしかするとかたよった意見かもしれませんが、投稿者さんへのアドバイスをあたしなりにさせていただきますね。

まず。
「パートナー」しかり、「家族」しかり。「友達」というものに関してもきっとそうなんだろうなと思うのですが、誰かと一緒にいること、そして、その誰かとの関係に名前を付けることに、たいていの人は不思議なほどに安心感を覚えるようです。

しかもなぜか世の中って「友達?欲しくて当然でしょ。」と強めの同調圧力が働きがち。社会に所属しながら誰かと交流することを「普通」というプレッシャー盛り盛りの状態で押し付けられる場面には、ときどきうんざりしますよね。「人間はポリス(社会)的動物」なんてアリストテレスは2000年以上前に言い放ったわけだけれど、その余波たるやって感じよね。

だから投稿者さんはこれまで「友達がいなくても楽しく過ごしてはいる」のに、それをなんとなく引け目に感じざるをえなくなってたりしたんじゃないかしら。「どうすれば友達はできるのでしょう?」というお悩みを抱くようになった経緯にも、そんな背景があったりするのかなぁと、勝手にあたしなりに想像したりしていました。

個人的には、無理して誰かと一緒にいなきゃなんて思わなくていい気がするので、投稿者さんは投稿者さんにとって気楽な人生であることを最優先にしてね ! と願う気持ちもあるのですが……。でも、いろいろ語り合える気の合う仲間との出会いが欲しいかもってなるタイミングも、きっとあろうしね。

なので、もしそんなタイミングが巡ってきたときは、という前提でなのですが、その場合はぜひ「友達」という人基準の単位で考えるのではなく、他者と会う「場所」から考えてみることをおすすめしたいと思います。

1対1でのつながりって、出会うきっかけからしてなかなかそんな縁ってめぐって来にくいもの。それに、お互いの趣味趣向だったり人付き合いへの姿勢だったりが若干違ったりすると、それがほころびになって突然疎遠になったりもする。二人だけで関係性を考えるのって、結構大変なんですよね(まぁ、誰かと一緒に時を過ごすときに、それを支えてくれたり見守ってくれたりする周りの人たちがいないなんて状況、本来考えにくいのだけれど)。

その点、例えばどこか行きつけのお店を作るとか、例えばウェブ空間を訪れるとか種類は様々でしょうが(オンラインゲームとか、そういうのでもいいと思うの)、交流をしたい人たちが集まるスペースに身をおいて、そこに居を構えてみることは、その空間を愛するたくさんの人間との出会いを必然的に運んできます。
しかも、軸とすればいいのは人ではなく、その「場所」。あなたにとってそこが居心地のいいところであったなら、同じような感性を持つ人とのゆるやかな邂逅を経験できるはずです。

とはいえ、必ずしもそこにいるみんなと話す必要はないでしょう。その中で気の合う人が見つかったとして、その方と投稿者さんが仲良くしたい気持ちがあれば、その時は積極的に交流してみればいいのです。自分の釣り竿にきちんとヒットするまで待つ感覚っていうのかしら。

「世の中に 人の来るこそ うるさけれ とはいうものの お前ではなし」とはよく言ったものだと思いますが、投稿者さんにとって「他の人とはそうでもないけれど、この人となら楽しさも嬉しさも増えていくのかも」というような、ぴったり気持ちがフィットする友達との巡り合いがいつかあるといいなぁ。そのためにも、まずは自分にとっての「アジト」をぜひいろいろな方向性から探してみてくださいね。

ま・と・め

というわけで、年明けにはなぜかこの話題でくさくさする瞬間出てきちゃうよね〜という、人との出会いとその付き合い方というテーマについて、今回は取り組ませていただきました!

いやぁ、これから春めいてくるにつれて、また新しい出会いがたくさんあったりするのかなぁ。とはいえまだ北海道は、ドカ雪降ったりきっちり氷点下だったり、まだまだ冬真っ盛りではありますが(友達から芳香剤凍った画像送られてきて度肝を抜かれたのが最近のハイライト)。

どなた様にも、素敵なご縁がありますように!ではではまた次回!Sitakkeね〜!

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文:満島てる子
イラスト制作:VES
編集:なべ子(Sitakke編集部)
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満島てる子:オープンリーゲイの女装子。北海道大学文学研究科修了後、「7丁目のパウダールーム」の店長に。LGBTパレードを主催する「さっぽろレインボープライド」の実行委員を兼任。) 2021年7月よりWEBマガジン「SItakke」にて読者参加型のお悩み相談コラム【てる子のお悩み相談ルーム】を連載中。

Sitakke編集部

Sitakke編集部やパートナークリエイターによる独自記事をお届け。日常生活のお役立ち情報から、ホッと一息つきたいときのコラム記事など、北海道の女性の暮らしにそっと寄り添う情報をお届けできたらと思っています。

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