2022.11.21

食べる

“お通しづくり”が元気の源。スナック七丁目の山の幸、里の幸。【函館】

越後屋セツ子(82歳)/スナック七丁目

「最近はコロナで休みグセがついちゃったけど(笑)、基本的には大晦日も元旦も店を開けてます。お客さんが来なくても開けてるの。40歳で店を始めたとき、飲めない・唄えない・若くないで、とりえは“健康”だけだったから、じゃあ休まない店にしようって決めたんです」

こう話すのは、『スナック七丁目』のママ・越後屋セツ子さん。1980年に大門に店を開いて以降、365日休まずお客を迎え入れ、そうして一昨年前には40周年の節目を迎えた。

“とりえ”と話す健康は82歳の今も変わらないが、50歳を過ぎてからスキーを始め、60代となってからは「自分がどこまで歩けるか挑戦したくて」登山を開始。スキーは今も続けており、登山はその後74歳で羊蹄山へ登るまでにスキルを高めた。そして、これらの体づくりのベースには、20代から続く趣味の山菜採り、きのこ採りがある。

とにかくママは、それが楽しくて仕方ない。“イイの”を見つけたときの喜び、おいしさを損なわず長期保存する方法を考える喜び、そして、それらをどうおいしく食べようか考える喜び。そうして数十年かけ、試行錯誤しながら実践で蓄えた山菜・きのこの知識は、もはや研究者、あるいは博士と呼びたくなるほどの量だ。

7月中旬の取材時、ママのDNAを受け継いだ長女の藤崎さんが山で採ってきたばかりの『タマゴダケ』を差し入れ。これも早速下処理されたのち、名物のお通しになる。

そして、そんなママの何よりの楽しみは、それらをお通しにして提供し、お客に喜んでもらうこと。焼き魚やいも団子を始め、お盆ふたつに十数皿のおかずが乗る七丁目名物のお通しには、ママの山菜ときのこがふんだんに盛り込まれる。「お客さんが喜ぶことをしたくて始めましたが、今では私の楽しみになっています。お客さんと、昔うちの店で働いてくれていた女の子たちにずいぶん助けられてきました。店は私の生きがいで、恩返しさせてもらう場所ですね」。

ある日のお通し。焼き魚(赤魚)、10数種の天然きのこのソーメン、山菜9種、ヤリイカの子の煮つけ、いも団子、ポテトサラダ、サラダ、果物。これでドリンク1杯付・1500円(要予約)。「食べきれない方も多いので、持ち帰り用のパックもしっかり用意しています」

ママの越後屋セツ子さん。非常に働き物で、若い頃はいくつもの仕事を掛け持ちしていた時代もある。「7年前(75歳)にはまだまだ働けると思って、お店をやりながら朝だけ朝市に勤めてました(笑)」健康のために毎日欠かさないのは、スクワット10分、ラジオ体操第1・第2、朝食に6種の海藻を食べる、など。かつては釣りもライフワークだった。

スナック七丁目名物のお通しがあまりに楽しく珍しいため、ある日のお通しに登場した山菜料理をピックアップ。これらは塩漬けや冷凍などで保存したものを調理、通年提供している。なお、来店の際は要予約・お通しは1500円という破格でドリンク1杯付。さらに次のページでは、ママがつくり続けてさながらコレクションのようになっている約39種の果実酒を掲載。話題が盛りだくさんのスナック七丁目。ぜひじっくり眺めて、その楽しさから元気になってもらいたい。

※「ニオウにはアマニオウとエゾニオウの2種類あるが、これはエゾニオウ」「痛みを取るからイタドリという名前、昔は湿布にしてたみたい。どんげとも言って食べるのは30センチ頃の新芽。9月頃のイタドリには中に白い虫がいるけどこれは高級な釣りのエサになる」「ぼんなはイヌドウナとかいろんな名前がある。これも30センチくらいのときがいい。おるとボンッって音がするよ」など、聞けばいろいろ教えてくれるママの山菜解説も楽しい。

(『peeps hakodate』105号・特集「函館健康生活。」より)

peeps hakodate

函館の新しい「好き」が見つかるローカルマガジン。 いまだ開港都市としての名残を色濃く漂わせる函館という街の文化を題材に、その背後にいる人々を主人公に据えた月刊のローカルマガジン。 毎号「読み物であること」にこだわり、読み手の本棚にずっと残り続ける本を目指して編集・制作しています。(無料雑誌・月刊/毎月10日発行)

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