2022.11.15

食べる

美味しいお菓子を作り続けるために!都市部の「森」を活用した新プロジェクト

アルコール全般と地元・北海道をこよなく愛するライター・オサナイミカが、今こそ知ってもらいたい、北海道の食のこれからを綴ります!

美味しいお菓子を作り続けるための取り組みに出会う

オンライン販売限定、しかも販売は金土の20時からと日時までも限定されている「CHEESE WONDER」
一部、予約販売も行っていますが、こちらも1ヶ月先まで完売状態。半ば幻のようなこちらのスイーツ。
大量生産できないからこそ、このような状況なのですが、なぜ大量生産できない(しない)のか、それには理由がありました。

CHEESE WONDERを製造・販売しているのは、『ユートピアアグリカルチャー』という会社です。

ほとんどの人が、初めて聞く名前かと思いますが、『北海道コンフェクト』のグループ会社のひとつ。お菓子でおなじみの『きのとや』、『千秋庵製菓』も同じグループです。

こちらはユートピアアグリカルチャーさんが日高町で取り組んでいる、放牧酪農の画像。このほかに新冠町で、平飼いの養鶏も行っています。

その放牧牛乳と卵は、札幌市清田区にある『KINOTOYA ファーム店』でも、販売やカフェで飲食できるようになっています。

そのユートピアアグリカルチャーさんが、今年の10月、札幌市中央区盤渓に養鶏場を新たに誕生させました。

このオシャレなパイプハウスの中に、ボリスブラウンという品種の鶏が500羽飼われています。

1棟に500羽、2棟で計1000羽の鶏が飼われているそうです。通常一般の方は近くまで寄ってみることはできませんが、今回特別に中を見せていただきました。

かなり広々とした空間だったのですが、ひなたぼっこをしたかったのか、陽の当たる場所に集まっていました(笑)

とても人懐っこい鶏たち。そして何といっても毛艶がものすごくイイのです!フワッフワで、見るからにストレスのなさそうな鶏たち!!

こちらの養鶏場、平飼いというほかに、このように植物が植えられていたり、寝るときに使用する止まり木が設置されていたりと、出来るだけ本来の生息地に近づけた環境を整備したそうです。

卵を産むときは、写真奥のグレーの“個室”に自ら入って、安心して産み落とすようになっています。

エサは北海道産の小麦と生米ぬかをメインとして独自に配合しているそうですが、そのほかに“おやつ”タイムがあるのです!
そのおやつは、きのとやさんで販売しているケーキやクッキーなどを製造する際に出てしまう、スポンジの切れ端や、割れてしまったクッキー、そしてイチゴのへたなど、通常は廃棄してしまうもの。
適度に菓子くずを与えることによって、卵そのものの糖度も上がることが証明されているそうですよ。

美味しいお菓子を作るために原料にこだわるというお話しは、よく聞く話ではありますが、原料を自分たちで管理し、さらに廃棄になってしまう菓子くずも生かすという取り組みが、盤渓で行われていることに、正直驚きました。

もっと驚いたのは、盤渓で放牧をしようとしていたこと!
と、こちらの写真は牛ではなく馬(どさんこ)ですが、牛を放つ前の準備段階として、現在9頭のどさんこを山に放牧しているそうです。

実は養鶏場も含め、全部で22hの土地を購入したそうです(と言われても、広さはあまりピンとこないのですが・・・)
こうして柵をめぐらせて、放牧用の土地を確保済みなのですが、この土地は現状では牛の放牧に向いている土地とは言えない状況。

山に入る方ならお分かりかと思いますが、手つかずの山林には笹が生い茂っていて、牛が食べるような草がほとんどありません。
ただ、馬はこの厄介な笹の葉をむしゃむしゃと食べ尽くしてくれるそうで、この写真の中心部に枯れた枝のようなものがたくさんありますが、これもすべて笹の葉を食べ尽くしてくれた後の光景なのです。

そこでまず馬を放牧させて、土地をよみがえらせているのです。こうして牧草も育つ状態になった土地に、来春の予定で牛を放牧するそうですよ。
この取り組みがうまくいけば、北海道内でほとんど活用されていなかった山林を有効的に活用することができるという、SDGs的な取り組みの実証実験をこの場所で行っているそうです。

この先も、美味しいお菓子を作り続けたいという想いが、こんな壮大なプロジェクトとして動いているとは・・・山の中を歩きながら、未来のことを考えさせられた有意義な時間となりました。

卵は現地でも販売中!そしてCHEESE WONDERのこと

オシャレなパイプハウスの一番手前には鶏はいないのですが、卵の販売機が設置されています。

数量限定ではありますが、雪が積もるまでは毎日こちらで販売中(ちなみに1パック8個入りで500円)。

またオンラインショップでは、放牧乳や飲むヨーグルト、そして卵が4週間に一度届く『GRAZE GATHERING』というサブスクリプションもあります。

と、話は【CHEESE WONDER】に戻りますが、このような取り組みの元で育まれた原料を使用して作っている商品で、しかも作り置きはせず注文が入ってから製造し、出来立ての一番美味しい状態でお届けしたいという想いもあり、現状は手に入りにくい商品となっているそうです。

箱を開けると、ユートピアアグリカルチャーの取り組みとCHEESE WONDERのこだわりなどが丁寧に描かれた“Moooooooooo!!! Paper”が入っているので、まずはこちらをじっくり読んでみてください。

商品は冷凍で届くのですが、まずは冷凍状態で食べてみて下さい。

ちなみに繊細な生チーズムースが崩れないよう、一つ一つこのような状態でパッケージされています。

オサナイは今回、冷凍・半解凍・全解凍と、全ての状態で食べてみましたが、どの状態も美味しいので、甲乙はつけられませんでした!
どの状態でもチーズの風味は感じますが、よりチーズムースを堪能したい方は全解凍がオススメで、ザクッと歯応えをより感じたい方には冷凍状態。
CHEESE WONDERは、生チーズムース&生チーズスフレの2層のクリームだけでなく、クリームが入っているアーモンドプードルを使用して焼き上げたザクザクのクッキーも美味しさのポイントなので、溶かし過ぎないことが美味しく頂くコツ。

3つの状態は、ゆっくり味わえば一度に楽しめるのですが、一口食べたらあっという間に完食してしまう美味しさなので、待てないかも(汗)

そして今回、CHEESE WONDERを食べてみて、改めて思いました。
『良い原料を使っているものは、胃もたれしない・食べ飽きしない!!』
アラフィフの胃袋だからこその、事実です(笑)

***

【ライター:オサナイミカ PROFILE】
札幌生まれ・札幌育ちの、アルコールをこよなく愛するアラフィフ、小学生の息子の母。 (株)リクルートが発行する情報誌生活情報サンロクマル(現Hot Pepper)の営業を経て、 2007年よりWEB情報サイトSapporo100milesの編集長として15年間、札幌や北海道の食と観光の情報を 【オサナイミカのつぶやき】を綴り続ける。2022年11月からは、SAPPORO YARDにて、【オサナイミカが行く!】をスタート。

Sitakke編集部

Sitakke編集部やパートナークリエイターによる独自記事をお届け。日常生活のお役立ち情報から、ホッと一息つきたいときのコラム記事など、北海道の女性の暮らしにそっと寄り添う情報をお届けできたらと思っています。

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