お祭りやコンビニで買える軽食の定番、「アメリカンドッグ」。
ケチャップやマスタードをつけて食べるのが一般的ですが・・・
北海道のアメリカンドッグは、ちょっと違う!
なんと、砂糖をまぶすんです!!
一体なぜ!?
その謎に迫りました。
北海道東部、道東で食べられる「フレンチドッグ」。
アメリカンドッグと見た目は全く同じ。
串にソーセージを刺し、小麦粉やホットケーキミックスの衣をつけて油で揚げたものです。
しかしアメリカンドッグが豚肉のソーセージを使うのとは異なり、フレンチドッグの中身は魚肉ソーセージ。さらに、外側に砂糖をたっぷりとまぶすのです。
道東を代表する町・釧路のお祭り会場。
屋台には、ずらりとアメリカンドッグが並んでいます。
一見、なじみのある普通のアメリカンドッグのようですが・・・
しかし、注文が入った次の瞬間!
アメリカンドッグを、砂糖がたっぷり入った袋の中へ!
まんべんなくたっぷりと砂糖をまぶして完成、お客さんに手渡されました。
最近釧路に転居してきたという女性は「デザートですね、甘い。子どもには人気ですね」 との感想。
お子さんは喜んで食べていました。
こちらの釧路市民の女性は、「アメリカンドッグには砂糖しかかけて食べたことがない」と話します。
そこで釧路市内で『アメリカンドッグにつけるものは何か?』 と聞いたところ、10人中10人が「砂糖」と答えました。
やはり道東・釧路では、アメリカンドッグには砂糖をつけて食べるのが定番のようです。
一方札幌では、6人が「ケチャップとマスタード」、 4人がケチャップのみで、砂糖と答えた人は1人もいませんでした。
一体、なぜ釧路の人たちは、アメリカンドッグに砂糖をつけるのでしょうか?
釧路観光コンベンション協会の佐藤明彦さんは「港町や釧路は元々、石炭が取れる炭鉱があった町なので、肉体労働者の疲労回復というか、甘さが欲しい仕事ばかりだと思うので、そういう方たちのためにケチャップではなく砂糖を振りかけてフレンチドッグを提供するという文化が始まったのではないかと言われている」と解説します。
アメリカンドッグに砂糖をかける道東の文化は、 その昔、漁業や炭鉱で働く肉体労働者の間で生まれ、好まれ広がったというのです。
(※諸説あります)
また、「これも一説だが、北洋漁業、昭和の中期ぐらいから砂糖をかけて提供するというのが始まったのではないかとあるが、詳しいことはわかっていない」とのこと。
それにしても、北海道では、フレンチドッグだけではなく、納豆に砂糖、トマトに砂糖。
さらに赤飯に甘納豆を入れたりと、様々な料理に砂糖を入れる食文化が存在しています。
こうした食文化の背景を、砂糖のプロが解説してくれました。
訪れたのは、帯広のビート資料館。
清水政勝館長に話を伺いました。
ちなみにビートとは、砂糖の原材料となるホウレンソウの仲間です。
清水館長は 「個人的な感想ですけれど、砂糖が身近な物であったということが、まず第一」と語ります。
そう、北海道は、国内産砂糖の一大生産地!
国内産砂糖の、実に8割を北海道が生産しています。
その歴史は古く、ビートの栽培が始まったのは、1870(明治3)年のこと。
明治政府は近代化を目標に西洋作物の栽培を開始し、ビートもその一つだったのです。
さらに1881(明治14)年には、現在の伊達市に官営の製糖工場を建設。
日露戦争の戦勝景気に沸く1919(大正8)年、帯広にも工場が造られました。
その後道東を始め十勝、オホーツクにも砂糖の生産が広がり、北海道は砂糖の一大生産地になりました。
清水館長は 「一般の方々もビートからできた砂糖というものが各家庭にあったので、何の抵抗もなく、色々な料理に使われたんだろうと推測する」と語っていました。
道内の限られた地域だけで食べられる、砂糖たっぷりの、あま~いアメリカンドッグ。
旅の機会などに、皆さんも味わってみてはいかがでしょうか。
※掲載の内容は番組放送時(2022年10月21日)の情報に基づきます。