2022.09.26

育む

「最近ちょっとお疲れ気味」なあなたに。大人になった"今"だからこそ、心にじんわりと響く絵本【2選】#今月の絵本通信

子どもだけでなく大人も楽しめる絵本を、絵本セラピスト協会認定「大人に絵本ひろめ隊員」であるHBCアナウンサーの堰八紗也佳(せきはち・さやか)がご紹介します。

あなたの人生で、そばに置いておきたい大切な1冊はありますか?
愛する友人・恋人・家族へ、何かの記念に「絵本」をプレゼントしてみるのはいかがでしょう。今回は、私が祖母から貰った大切な絵本と、自分ならこの絵本をプレゼントしたいと思う絵本をご紹介します。

その①『きんいろのあめ』(講談社)文:立原えりか 絵:永田萌

内容紹介
あきののはらで、さやかはふしぎなおとこのこにであい、もりのおくのいえにつれていかれます。そこにはきいろいふくのうつくしいひとがいて、いそがしそうになにかをつくっていました。(講談社HPより)

***

筆者の人生における大切な1冊は、幼いころに祖母からもらった『きんいろのあめ』という絵本です。

この絵本は、森の動物たちと美しい女性が、せっせと秋の準備をして、黄金色の“雨”(落ち葉)を降らせる物語です。いわゆる“キャラクターもの”ではなく、絵も文も大人っぽい芸術的な作品。

祖母は“いわさきちひろさん”の水彩画など、綺麗な絵を好んでいました。また、指先が器用で、洋服や帽子やぬいぐるみなど、色々作ってくれる人でした。

今も健在ですが、認知症が進んで孫のこともわからなくなってしまったようです。
そのため、祖母がどうしてこの絵本を贈ったのかを今さら知ることは難しいのですが……
37歳になった今月、久しぶりに絵本を開くと、祖母の気持ちが手に取るように伝わってきました。

大好きな祖母と。(2015年に撮影)

おそらく秋(9月)に生まれた孫のために、主人公の名前が孫と同じ「さやか」という女の子の絵本を見つけて、「これはぴったりだ!」と思ってプレゼントしてくれたのだと思います。

赤や黄色やオレンジなど色々なカラーに染まる秋に、“きんいろのあめ”のように輝かしく産まれてきた孫の喜びを重ね合わせたのかもしれません。しかも出版年は、私の産まれた1985年でした。

裏表紙には「せきはちさやか」と、大事そうに名前が書かれています。

祖母のあたたかな人柄と、孫を想う気持ちが伝わってくる1冊です。実のところ、子どもの頃はあまり良さがわからなかった絵本なのですが、大人になった今じんわりと心に響いています。これからも、そばに置いて大切にしていきたい1冊です。

おばあちゃん、ありがとう。

その②『たいせつなこと』(フレーベル館)作:マーガレット・ワイズ・ブラウン 絵:レナード・ワイズガード 訳:うちだややこ

内容紹介
1949年にアメリカで出版されて以来、読み継がれてきた絵本です。「たいせつなこと」とはなにかを、やさしく詩的な文章で語りかけます。(フレーベル館HPより)

筆者が、大切な誰かに絵本をプレゼントするとしたら、この作品を選びます。なぜなら、大好きなことば『あなたがあなたであること』という言葉で締めくくられているから。

樹木希林さんの娘である内田也哉子(うちだややこ)さんが訳をされています。絵本のあとがきによりますと、也哉子さんも幼いころから絵本が好きで、子どものころ何度も開いたページの魅力を、大人になり改めてしみじみ味わうことがあるそうです。

“空”にとって大切なのは、いつもそこにあること。“草”にとって大切なのは、輝く緑であるということ……じゃあ、私にとって大切なのは?

ときには、「あの人のようになれたら」という願いや、「他人にどう思われているか気になる」ということもあるかもしれないですが、誰が何と言おうと、わたしはわたし。 あなたはあなた

ありのままの自分でいることが大切です。少しだけ心が疲れている自分への贈り物にも、おすすめです。

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「連載コラム・今月の絵本通信」
文|HBCアナウンサー 堰八紗也佳
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@hbc_sekihachisayaka

Sitakke編集部

Sitakke編集部やパートナークリエイターによる独自記事をお届け。日常生活のお役立ち情報から、ホッと一息つきたいときのコラム記事など、北海道の女性の暮らしにそっと寄り添う情報をお届けできたらと思っています。

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