2022.06.24

育む

ひとつひとつ丁寧に手作り。手のひらサイズの”豆本”に込めた想い(札幌市 白石区)

子どもだけでなく大人も楽しめる絵本を、絵本セラピスト協会認定「大人に絵本ひろめ隊員」であるHBCアナウンサーの堰八紗也佳(せきはち さやか)がご紹介します。( 「連載コラム・今月の絵本通信」

札幌市白石区の本郷商店街に、手のひらに収まるミニサイズの「豆本」 を販売しているお店があります。豆本は全部で112種類!その中には、なんと筆者が描いた絵本『ぶぅくんハムになる?』もあるのです……!

喫茶と豆本『キコキコ商店』(札幌市/白石区)

本郷商店街6丁目に『キコキコ商店』があります。ホームページには「豆本と、コーヒー、軽食のお店です」と書いてありますが、店内が見えないので初めて入るときは勇気がいるかもしれません。しかし扉を開けてみると、レトロな雰囲気漂う、どこか懐かしい空間が広がっていて、店主の末木繁久(すえき・しげひさ)さんがアットホームな雰囲気でお出迎えしてくれます。

店主の末木繁久(すえき・しげひさ)さん

店内には趣味で集めているという骨董品・食器・雑貨などが綺麗に所せましと並べられています。

どこを見ても面白くて、ついキョロキョロしてしまいます!

小上がりの席もあり、子連れのお客さんもゆっくりと過ごせます。
さぁ、肝心の「豆本」はどこかというと……?ありました!

全112種類あっても、さすが豆本。置き場所にもスペースを取りません。
「豆本」というのは、縦5.5センチ 横4.5センチの、手のひらに収まるサイズの本。店主の末木さんが自ら企画・製本・編集。妻の智佳子さんがイラストを手掛けるほか、漫画家や音楽家とコラボレーションした作品もあり、ジャンルも“雑誌・絵本・写真集”などさまざま。

ベストセラー『キコキコぼうや』は、タイ語や英語などにも翻訳されています。

そしてこの中に、なんとこの記事の筆者である「堰八 紗也佳」自身が描いた絵本もあるのです!

『ぶぅくんハムになる?』(キコキコ商会)作:堰八紗也佳

『ぶぅくんハムになる?』作:堰八紗也佳

【あらすじ】
ブタの「ぶぅくん」は、自分がハムになるという運命を知り、残りの人生を悔いなく生きようと必死に夢を追いかけます。1番の夢だった「お笑い芸人」になるため、隣町に住むブタさんとコンビを組むと、たちまちお茶の間の人気者に……!夢を叶え充実した日々を送るぶぅくんですが、ついに“ハムになる日”がやってきてしまいます。覚悟を決めたぶぅくんに、予想もしない驚きの展開が待っていました!

手のひらに乗せると、いかに小さいかがわかります。

みなさんにぜひ注目してほしいのが、絵本の“タイトル”と表紙。実はこれ、筆者が小学4年生のときに描いた絵本なのです。(絵本の中には不適切な表現もありますが、子どもが描いたものということでどうかご容赦ください。)
子どものころ絵を描くことが大好きだった筆者は、小学校の「絵本クラブ」に所属していました。そこでは、“既に製本された真っ白な本に自由に物語を描く”というスタイルでした。
全20ページの中でどう起承転結をつけるか……。まずは頭の中で物語を成立させ、文章を完成させてから、最後に絵をつけていきました。筆者のこの頃の夢は漫画家になることで、空想が大好きだったので、楽しくて夢中でペンを走らせた記憶があります。
こちらが、原作となった元々の絵本です。

筆者は自他ともに認める「ブタ好き」。幼少の頃からブタの可愛らしさに魅了され、牧場や動物園でブタと2ショットを撮影して大喜び!ブタの漫画や工作など、さまざまなものを製作しているような子どもでした。大人になった今でも“ブタ好き”は変わらず、たまに東京にある「猫カフェ」ならぬ「豚カフェ」で癒されています。

そんな筆者が自己満足で描いていたブタの絵本が、まさか20年の時を経て「豆本」として出版することになるとは……!
きっかけは、私が末木さんの豆本の展覧会に足を運んだことでした。末木さんと色々なお話をさせていただく中で、豆本1冊を作るのにとても根気のいる作業が必要ということも知り、ますます豆本のファンになりました。たびたび展覧会を訪ねて末木さんと交流を深めていく中で、コラボレーション作品を出版することに!今からちょうど7年間の2015年6月のことです。

大丸藤井セントラルで行った出版記念会では、販売&サイン会と“読み聞かせ”も実施し、小学校時代の友人も駆けつけてくれました!

読み聞かせは紙芝居で

絵本が大好きなので、自分の作品を多くの人に読んでもらえることは、この上ない喜びです。
ひとつひとつ丁寧に手作りしているため、お値段は通常の絵本より高くなっているのですが、作っている末木さんの想いも詰まっています。

『キコキコ商会』では“試し読み”もできるので、ぜひ美味しいコーヒーと食事を楽しみながら実際にお手に取ってご覧ください。
最後に店主の末木さんに「本業は何ですか?」と尋ねたところ、「もちろん豆本を作るのも本業だけれど、料理をするのも好きだし、コーヒーは昔からずっと販売しているし、色々やっていますね。」とおっしゃっていました。レストラン?喫茶店?バー?雑貨店?書店?ひとことで言い表すのは難しい不思議な空間『キコキコ商店』をぜひ覗いてみてください。

【参考】
『ぶぅくんハムになる?』
作:堰八紗也佳
発売日:2015年6月12日
発行:キコキコ商会
価格:2530円(税込み)

『キコキコ商店』
住所:札幌市白石区本郷通6丁目北5-27
電話:011-622-1555
定休日:不定休
営業時間:お店のインスタグラムやフェイスブックで随時お知らせ
Twitter:@kiko_s_10

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「連載コラム・今月の絵本通信」
文|HBCアナウンサー 堰八紗也佳
Instagramも更新中! @hbc_sekihachisayaka

Sitakke編集部

Sitakke編集部やパートナークリエイターによる独自記事をお届け。日常生活のお役立ち情報から、ホッと一息つきたいときのコラム記事など、北海道の女性の暮らしにそっと寄り添う情報をお届けできたらと思っています。

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