男性からの人気はもちろんのこと、20代、30代の女性からの支持も高い印象にある「呪術廻戦」。「劇場版 呪術廻戦0」も興行収入が136億円 を突破し、アニメも現在再放送中、原作漫画の累計発行部数も6500万部を突破するなど、アニメ・漫画共に大きな盛り上がりをみせています。(2022年6月12日現在)
本作の人気の理由は様々ですが、そのひとつとして、多くの人々を夢中にさせる魅力的なキャラクター達の存在は欠かせないでしょう。一体、彼ら彼女らの何が私たちを夢中にさせるのでしょう?Sitakkeでは、前編・中編・後編と3つの記事にてその魅力をご紹介します。
【おさらい~「呪術廻戦」とは】
「呪術廻戦」は、週刊少年ジャンプで連載中の芥見下々氏による漫画を原作とする作品です。物語は、“呪い”が日常に潜み、実際に人を死へ追いやっている現代日本を舞台に、その呪いを“同じ呪いをもって祓う人々”の戦いを描いたダークアクションファンタジー。とある出来事から“呪いの王”をその身に宿してしまった主人公・虎杖悠仁は、対呪いの専門機関である高等専門学校に編入し、仲間達と共に様々な事件を解決しつつ、呪いと人間の命運を巡る壮絶な戦いに身を投じていきます。
爽快なアクションや考察したくなる世界観、ジャンプ作品の王道を踏襲しつつも、ふと心に刺さる“ひねり”が効いた設定など。本作の魅力は多々ありますが、そのひとつとして欠かせないのが、前述の通り、人々を魅了してならないキャラクターの存在です。
本作の盛り上がりを取り上げられる際には、その女性人気の高さが紹介されることも多々あります。前編でも触れたとおり、その一因として、キャラクター人気、特に五条悟や虎杖悠仁をはじめ、伏黒恵や狗巻棘、七海健人といった男性キャラクターにハマって、という理由は多いことでしょう。
しかし本作が多くの女性に支持される理由は、それだけではないと思います。彼らと同様に“かっこいい”女性キャラクター達の存在。それも本作が多くの女性達を魅了する、大きな理由のひとつではないでしょうか。
例えば、本作で活躍する釘崎野薔薇(くぎさき・のばら)は、“男はこうあれ、女はこうあれ”、といった他人の物差しのためにではなく、“私が私であるために” 綺麗におしゃれして強くあろうとする人物。
禪院真希(ぜんいん・まき)は、呪術師としては致命的なハンデを背負うも、それに腐ることなく、自分を落ちこぼれとした世間を見返すため、強く真っすぐ生きる人物。彼女達は、男性であること、女性であることに捕らわれず、生まれや育ちによるしがらみやレッテルに抗うひとりの人間として、強くかっこよく描かれています。
こうした彼女達のかっこよさは、思わず憧れてしまうだけではなく、自分の葛藤と重ねたりと、何かと生きづらい現代社会を生きる女性達に強く刺さっているのではないでしょうか。
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老若男女問わず、現代社会を生きる様々な人達が思わず憧れ、共感し、思わず惹きつけられてしまうような強烈な個性を持つキャラクターが多く登場すること、そしてそれぞれのキャラクターがそれぞれの”生きざま”を貫くべく、行動することで物語が大きく動き出していくストーリーが、多くのファンを惹きつける理由のひとつなのではないでしょうか。
現在連載中の「週刊少年ジャンプ」本誌では、新たなキャラクターたちも続々登場し、主人公・虎杖悠仁を取り巻く状況にも変化が。物語が大きく動き出す、目が離せない展開となっているので、シリーズ未読の方もぜひ、これを機にチェックしてみてはいかがでしょう。
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文: 小新井涼
Edit:nabe(Sitakke編集部)
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<小新井涼 Profile>
北海道大学大学院国際広報メディア・観光学院博士課程在籍。三木プロダクション所属。毎週約100本以上の全アニメを視聴し、全番組の感想をブログに掲載する活動を10年ほど継続しつつ、学術的な観点からアニメについて考察、研究している。まんたんウェブやYahoo!ニュース個人でのコラム執筆や番組コメンテーターとしての出演のほか、アニメ情報の監修や番組制作などにも参加している。