2022.02.23

ゆるむ

「こんなの…好きになっちゃうじゃん!」大人の女性たちも夢中になる理由とは?【呪術廻戦】

今年公開された「劇場版 呪術廻戦0」も興行収入が116億円を突破するなど、今ますます勢いを増す作品「呪術廻戦」。2020年のアニメ放送以降、より一層知名度を上げてきた本作は、原作漫画の累計発行部数も6000万部を突破 するなど、アニメ・漫画共に大きな盛り上がりをみせています。(2022年2月現在)

本作の人気の理由は様々ですが、そのひとつとして、多くの人々を夢中にさせる魅力的なキャラクター達の存在は欠かせないでしょう。一体、彼ら彼女らの何が人々を夢中にさせるのでしょうか。その魅力について、前編・中編・後編に分けてご紹介します。

おさらい~「呪術廻戦」とは

「呪術廻戦」は、週刊少年ジャンプで連載中の芥見下々氏による作品です。物語は、“呪い”が日常に潜み、実際に人を死へ追いやっている現代日本を舞台に、その呪いを“同じ呪いをもって祓う人々”の戦いを描いたダークアクションファンタジー。とある出来事から“呪いの王”をその身に宿してしまった主人公・虎杖悠仁は、対呪いの専門機関である高等専門学校に編入し、仲間達と共に様々な事件を解決しつつ、呪いと人間の命運を巡る壮絶な戦いに身を投じていきます。

爽快なアクションや考察したくなる世界観、ジャンプ作品の王道を踏襲しつつも、ふと心に刺さる“ひねり”が効いた設定など。本作の魅力は多々ありますが、そのひとつとして欠かせないのが、前述の通り、人々を魅了してならないキャラクターの存在です。
グッズ化やコラボ展開も続々と行われ、その度に多くのファンがそれぞれ“お気に入り”のキャラを求めて盛り上がるほど、人々を夢中にさせる「呪術廻戦」のキャラクター達。そんな本作のキャラクター達の魅力を、筆者の主観を大いに交えつつではありますが、特に女性人気も高いとされている五条悟と、主人公の虎杖悠仁を中心に深掘りしていきます。

明るさに潜む得体の知れなさ…主人公・虎杖悠仁と、最強の呪術師・五条悟の魅力とは?

即BAN必須の“ワイルドカード”:五条悟の魅力について

特に女性人気が高いことでも有名なキャラクター・五条悟。彼の魅力を一言に凝縮するとしたら、ネガティブな意味でなくその“ずるさ”が当てはまるのではないでしょうか。

例えばその態度。常に飄々として冗談や軽口をたたき、担任教師でありながら教え子たちにまで呆れられるなど、一見すると三枚目的な立ち振る舞いが目立ちます。
しかし実は、それらは全てその背後に裏打ちされた強さからくる余裕の表れ。目上の人達にまで茶化すような態度をとるのも、単に道化を演じているのではなく、本気を出せば勝つのはこちらであるという、圧倒的な強さからくる余裕あってのことなのです。
周りが必死であるほどその“只者じゃなさ”が伝わるその余裕、そしてそれがあるからこそ“本気”になった時のギャップも際立つこの態度は、なんともずるい! という他ありません。

もうひとつは、その余裕の態度にも繋がる圧倒的な強さです。強いといってもちょっとやそっとの強さではなく、五条の強さは登場人物内最強 。敵勢力が“如何に倒すか”ではなく、“如何に戦わせないか”に尽力するほど、対戦ゲームならBAN必須の“絶対に戦闘に参加させたくない”最強キャラクターとして描かれています。
そうして妨害される分まともに戦える機会は少ないものの、ここぞというチャンスで戦闘に加わった時の力は圧倒的。『今まで散々苦労してきた相手を…』と唖然としてしまうほど規格外なその強さは、思わずずるい!と唸ってしまうほどなのです。

そして極めつけとなるのがそのビジュアル。普段はその能力ゆえに、サングラスなどで目隠しをしているのですが、隠された素顔が美しすぎるという、なんとも憎いギミックがあります。初めて素顔が明かされた回では、瞳の色やエフェクト等も相まったあまりに美しい描写に、一気に彼のファンと、目隠しを外した五条グッズがその後急増したほどです。
飄々としていながら作品内最強というギャップ、そして隠れた素顔はいわゆる美形という設定。そんな『こんなの…好きになっちゃうじゃん!』というワイルドカード級の“ずるさ”が、五条悟の魅力であり、特に女性人気が高い理由にも繋がっているのではないでしょうか。

明るさに潜む得体の知れなさ:虎杖悠仁の魅力について

続いては、本作の主人公・虎杖悠仁。メディアではよく五条悟の魅力がピックアップされがちですが、実は同じくらい、踏み込んだらちょっとやそっとじゃ抜け出せないような深い沼を持つキャラクターだと思います。そんな彼の魅力のひとつとして、明るさの中に時折見え隠れする“得体の知れなさ”が挙げられるのではないでしょうか。

例えば、彼の死生観。“人を助けろ”という祖父の遺言をきっかけに戦う中、彼は人を助けることで、呪いによる“間違った死”から、人々を“正しい死”へ導くことを望むようになります。
何かを手に入れたい、誰かを守りたい、強くなりたい…といった、よくある主人公の戦う理由とも違い、その根底にあるのは、せめてその死が正しいものであって欲しいという想い。いち高校生が命を賭して戦う理由としては、あまりにも深く複雑です。
ただ明るいだけの人物かと思いきや、急に顔をのぞかせるそんな複雑な死生観からは、単純そうでいて実は深淵を抱えているかのような、彼の得体の知れなさが感じられます。

そして、その得体の知れなさにさらに輪をかけているのが、彼がおかれる立場。主人公でありながら、自分達が祓う対象である呪いの王をその身に宿してしまった彼は、あまりの危険性から、なんと物語冒頭で秘匿死刑を言い渡されます。

幸いにも五条の提言により即刻の死刑執行は免れますが、あくまでそれも執行猶予。物語が進んでいる間も、ただでさえ命をかけた敵との戦いに挑む中、何かの折に危険と判断されれば、所属する機関によって処刑される危険を背負う死刑囚であり続けているのです。

そんな立場であるのに他人の“正しい死”を求めて戦う姿には、無鉄砲というよりは、常に自分の死が近くにあることに達観しているかのような得体の知れなさも感じてしまいます。

五条によって“イカレてる”と称されたことにも通じると思いますが、人畜無害そうな顔をして実はタカが外れているという、この少しぞっとしてしまうような得体の知れない一面。それは、例えるなら怖いもの見たさで思わずその深淵を覗いてみたくなるように、虎杖悠仁の隠れた魅力のひとつにもなっているのではないでしょうか。

今回は、特に女性人気も高いとされている五条悟と、主人公の虎杖悠仁を中心について、原作の内容と筆者の主観を交えながらおさらいしました。次回は「かっこいいのは男性キャラだけじゃない。“私が私であるために”を貫く女性キャラクターのまっすぐな生き方」をテーマにお送りします。

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文: 小新井涼
Edit:nabe(Sitakke編集部)
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<小新井涼 Profile>
北海道大学大学院国際広報メディア・観光学院博士課程在籍。三木プロダクション所属。毎週約100本以上の全アニメを視聴し、全番組の感想をブログに掲載する活動を10年ほど継続しつつ、学術的な観点からアニメについて考察、研究している。まんたんウェブやYahoo!ニュース個人でのコラム執筆や番組コメンテーターとしての出演のほか、アニメ情報の監修や番組制作などにも参加している。

Sitakke編集部

Sitakke編集部やパートナークリエイターによる独自記事をお届け。日常生活のお役立ち情報から、ホッと一息つきたいときのコラム記事など、北海道の女性の暮らしにそっと寄り添う情報をお届けできたらと思っています。

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