2022.03.26

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「私にとっては、元気な街」変わりゆく街・大門を、それでも選んだ30代の店主たち【函館】

函館の酸いも甘いも知り尽くす街、大門。映画館も、路面店も、小路の喫茶店や酒場も、次々と姿を消してしまった。アーケードも撤去され、見慣れた景色がどんどん変わっていく。それでも大門への愛着がなくなることはない。

大門で店を開いた30代の店主たちがいる。彼らが、「それでも大門を選ぶ理由」とは…。

大門が、独立の出発地点。

向井廉/odéon

2018年にオープンしたodéon(オデオン)。アラカルトから気軽なコースまでそろえるビストロだ。

シェフは安平町出身で、札幌やフランスで料理の経験を積んだ向井廉さん。妻の出身地である函館で自身の店を開くことを決め、大門がその出発点となった。

ただ、立地をここに決めたのは界隈に情緒的な思い入れがあったからではなく「条件がベストだった」ことが理由だ。「テナントの条件と、市電の停留所が近いというのが決め手でした。以前は居酒屋兆治さんが入っていた物件です」

店はこの春で5年目を迎える。「と言っても、開店からこれまでの半分くらいはコロナでしたから、まだどうこう言える段階ではありません。でも、商圏が狭いということは感じてますね。『大門』となると距離的に二の足を踏む方が少なくない。本町に2店舗目を開きましたが、今後は本町まで来る方に向けて、この店の認知を拡げることも課題にしています。ただ反対に、大門でなければ出会えなかったというお客さまがいることも確かで、“ここならでは”の恩恵も感じています」。

odéonと、本町の2店舗目『une(ユンヌ)』については、インスタグラム(オデオン函館で検索)で情報発信中。

odéon
・函館市松風町1-14
・070-8988-3336

私にとっては、元気な街。

坂口友香/小料理WAGAYA

「19歳のとき、大門のショットバーでバイトを始めてからずっと大門が好きです」と話す坂口友香さん。『moka』名義でシンガーソングライターとして活躍するかたわら、大門で長く働き、いつか自身の店もこの街で開こうと考えていた。

『小料理WAGAYA』は、その夢を実現させた店だ。開店は2020年、夫の重行さんと2人で切り盛りしている。「大門の魅力は、大門で飲み歩きするお客さんを通して教わりました。皆さんあたたかい方ばかりです。ひとりで来て、何軒かはしごして、その場その場にいる人と楽しく飲んで。お客さんや店との距離の取り方もすごく上手くて」。

同時に彼らは、歌手『moka』の応援者でもある。「店は、ずっと見守ってくださる方への恩返しの気持ちもあります。店名も、皆さんが気兼ねなくゆっくり過ごせるように『WAGAYA』と名付けました」

坂口さんに、大門へのマイナスイメージはない。「コロナ禍でもあって街としては暗いのかもしれないですけど、私自身はそう感じていません。皆さん元気だし、『大門』というネームバリューに誇りを持ってここにいます」。

店は、坂口さんが腕をふるうおばんざいと、各種の酒が一通り。「コロナ禍でのオープンでしたが、そのことに妥協せずやっています」。

小料理WAGAYA
・函館市松風町5-12
・0138-86-7008

(後編はこちら:「大門で店を開いた30代の店主たち」 https://sitakke.jp/post/2694/

peeps hakodate

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