2022.02.28

ゆるむ

レッサーパンダの鳴き声は?好きな季節は?生態クイズ5問【円山動物園さんぽ】

札幌市円山動物園は、2021年に70周年を迎えました!これを記念したSitakkeの連載、「円山動物園さんぽ」。

長く愛されてきた背景には、一度だけでは味わい尽くせない、見どころの多さがあります。「さんぽ」するように気軽に通うことで見つけられる、動物たちの深~い魅力をお伝えしていきます。

きょうは、「レッサーパンダ」について!

全国の動物園で安定的な人気を誇る動物ですが、「どんな鳴き声?」「どの季節に活発?」などなど、見た目の可愛らしさから一歩踏み込んだことは、ご存知でしょうか。

レッサーパンダの生態と、その暮らしを快適にしようとする円山動物園の工夫をご紹介します。クイズ形式で5問出題するので、考えながら読んでみてくださいね。

① レッサーパンダが活発になる季節は?

まずは、季節について。レッサーパンダには、活発になる季節と、苦手な季節があります。ヒントになるのは、生息地です。

12月にご紹介したホッキョクグマ は、北極圏で暮らしているため冬に強くなった・・・とお伝えしました。レッサーパンダの生息地は「インド北東部、中国(四川省西部)、ネパール、ブータン、ミャンマー北部」の森林や竹林です。

温暖なイメージのある国々なので、正解は「夏」・・・?と思ってしまいますが、実は、レッサーパンダは暑さにはとても弱く、「冬」に活発になるんです。

それは、標高1500~4000mの山岳地帯で暮らしているから。最高気温25℃以下の、涼しい環境を好みます。

飼育員の大野宏之(おおの・ひろゆき)さんによると、真夏は屋内でじっとしていることが多く、反対に、冬は動き回っているそう。

雪が積もっていたこの日も、木や雪の上で活発に動いていました。初雪の日は特に嬉しかったのか、ずっと走り回っていたそうですよ。

② 冬に強い秘訣は?

12月・1月も、冬に強い動物・ホッキョクグマとユキヒョウをご紹介しましたが、彼らの工夫と共通する点が、レッサーパンダにもありました。

まず、全身を覆うふさふさの毛は、見るからに暖かそうですね。

一部分に注目するとしたら・・・もふもふのしっぽが目立ちます。暖かいだけでなく、バランスを取るのに役立っています。長くて太いしっぽを持つ、ユキヒョウと同じです。

さらに、普段は隠れているところにも、秘密があります。

器用に枝の上を渡る、前足に注目!足の裏を見てみると・・・ここも、毛に覆われています!

雪の積もった木の上でも、すべりにくくするためなんですって。ここは、ホッキョクグマとの共通点です。

急な上り坂もスイスイ!

③ なにを食べるの?

では、レッサーパンダは何を食べているのでしょうか?肉食だと思いますか?草食だと思いますか?

体長60センチほどの小さな体で、足の裏ももふもふとしている見た目からは、草食動物かと思ってしまいますが、「肉食動物」に分類されるんです!
なので、野生では、昆虫や鳥の卵なども食べるそうです。

しかし、実は、レッサーパンダの一番の主食は、名前に「パンダ」とついていることからも想像できる「」です。

はるか昔は、獲物を狩って生活するイタチのような肉食動物が、獲物の少ない厳しい環境に適応し行く中で、「竹」を主食とし、「雑食性」に進化したものがレッサーパンダと考えられているそう。

大野さんによると、竹を食べる動物は珍しく、ほかの動物と競合しないから主食に選んだのではないか、ということです。だから、竹の生えている山岳地帯に住んでいるんですね。

竹は栄養価が低いので、ず〜っと食べているそう。

なので、円山動物園でもレッサーパンダがいつでも食事ができるように、常に竹笹を置いているそう。1日2回、新しいものに入れ替えていて、ほかにもリンゴやサツマイモをあげることもあるそうです。

④ なぜ小屋を?

レッサーパンダの暮らしを快適にする円山動物園のこだわりは、まだまだあります。そのひとつが、こちら。

大野さんがせっせと組み立てているのは、「小屋」です。なぜ小屋を建てているのでしょうか?

円山動物園のレッサーパンダのスペースは、屋内と屋外があります。野生のレッサーパンダは単独で生活するため、屋外のスペースも1頭ずつフェンスで仕切られていて、屋内も2部屋に分かれています。レッサーパンダが自分で行き来することはできません。

フェンス越しに、何の相談中?

でも、いくら冬が得意だからといっても、雪が激しく降っているときや、眠たいときなど、雪風に当たりたくない気分のときもあるかもしれません。反対に、ずっと屋内にいるのではなく、雪で遊びたくなるかもしれない・・・。

だから、レッサーパンダがそのときの気分で、雪をしのぐか、動き回るか選べるように、屋外のスペースに小屋を建てることにしたそうです。

屋外の小屋は、今では4頭分すべて完成し、それぞれに「自分専用の小屋」ができました。

新しい小屋に、興味津々!

屋内の2部屋も、レッサーパンダの動きを見ながら、随時組み換えているそう。お客さん側から見て左が人工的なイメージ、右が野生のイメージで分けています。

野生のレッサーパンダは木の高いところで寝るため、右側の部屋の上のほうには、ハンモックのようなベッドも作ったそう。最初は1頭も寝てくれませんでしたが、ヒモの長さを短くして安定さを増したところ、2頭が寝るようになったそうです。

レッサーパンダだけではなく、大野さんの試行錯誤と優しさが詰まった木組みの変化に注目して通うのも、楽しいかもしれません。

⑤ 鳴き声は?

最後に・・・レッサーパンダの鳴き声って、聞いたことありますか?

大野さんはよく聞くといいますが、一般のお客さんの前では、頻繁には鳴きません。

つかまり立ち

大野さんによると、「キュルルルル・・・」と、甲高い声で鳴くんだそう。2月・3月ごろは繁殖期なので、鳴くことが増えるということなので、耳も澄ませてみてくださいね。

伝えたいのは、かわいさだけじゃない

知名度の高いレッサーパンダですが、知らなかった豆知識は、ありましたか?

大野さんは、「みんな『かわいい』と言うけど、伝えたいのはそこじゃない。全国の多くの動物園にいるけど、野生の生息数は少ないんです」と話します。

レッサーパンダは、絶滅のおそれのある野生生物のリスト・「レッドリスト」に載っていて、野生での生息数は5,000頭以下と推測されています。

その原因は、森林伐採や、焼畑などによる生息地の破壊、毛皮・ペット目的の密猟や狩猟など、人間が由来のもの

レッサーパンダのかわいさに魅了された後は、そのかわいさを守るためにできることも、考えてみてはいかがでしょうか。

「円山動物園さんぽ」、次回は、北海道の象徴のような存在でもありながら、恐れられつつもある動物の、飼育員さんから見た姿をお伝えします。

過去記事一覧: 円山動物園さんぽ
文:Sitakke編集部IKU

Sitakke編集部

Sitakke編集部やパートナークリエイターによる独自記事をお届け。日常生活のお役立ち情報から、ホッと一息つきたいときのコラム記事など、北海道の女性の暮らしにそっと寄り添う情報をお届けできたらと思っています。

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