2022.01.12
出かけるインスタグラム 「北海道3大かわいい動物プロジェクト」の管理人で、プロデューサー&カメラマンの @ami_papa です。
「#北海道ひみつの絶景旅」を、これから不定期で連載させていただきたます。とっておきの絶景の行くべき季節や時間帯、みどころ、さらには帰りがけにぜひ食べたいグルメや、おみやげ情報などもご紹介できればと思っています。
さて記念すべき第1回は、お正月にふさわしく鶴、もちろん北海道にしかいない天然記念物のタンチョウに会いに行く旅です。日の出とともに、絶景が目の前に広がり、感動のラストシーンを迎える、寒い冬ならではのとっておきの場所です。
2021年12月27日、この日の日の出は、午前6時53分。釧路のホテルを出たのが5時、めざすのは、車で45分ほどの、鶴居村にある音羽(おとわ)橋です。
到着すると、まず三脚を立て、望遠レンズをつけたカメラを準備しますが、橋から見る川はまだ真っ暗闇の中。それでも川の下流から、時折「クルルルーッ!」という声が響き、これから目にする絶景への期待感が高まります。
ただ、車を降りたときにマイナス16度と表示されていたので、日の出までになお気温は下がるかも知れず、まずは寒さとの闘いです。
到着してから30分ほど経った、6時14分、私の目にはまだほとんど真っ暗にしか見えませんが、高感度カメラが、最初の1枚を映し出しました。
100羽以上のタンチョウが、水の中で仲間と寄りそいながら、まだ眠っています。ここは雪裡(せつり)川という川で、どんなに冷え込んでも凍ることはありません。なので外気温よりはあたたかいのと、外敵から襲われないために、ここを〝ねぐら〟としています。
冷え込んだために、けあらしが立ちこめ、まわりの木に霧氷となって結晶して「ふゆのはな」を咲かせます。
日の出10分前。ようやく肉眼でもその全容を目にする事が出来ました。
タンチョウたちも目を覚ましたのでしょう、川をゆっくりと歩き回っています。
雪裡川から立ちこめる〝けあらし〟は、時折タンチョウたちの姿をも隠してしまうほど、日の出を前に、どんどん気温が下がっていくのがわかります。
ポケットに入れた「マグマ」という超高温使い捨てカイロで手を交互に温めます。
寒さのせいでしょうか、こめかみがどんどん痛くなってきました。
いったい、気温は何度まで下がっているんだ?
ようやく太陽が姿を見せると、あたりはダイヤモンドダストに包まれていました。日の出前からすでに、ダイヤモンドダストは舞っていたのでしょうが、太陽の光がなかったので気づかずにいたのでしょう。
目を川に戻すと、先ほどまで、青い光に包まれていたタンチョウの〝ねぐら〟は、日の出とともに、まぶしいほどの金色に輝いています。
シルエットのタンチョウたちは、川を歩いたり、毛づくろいをしたり、思い思いの朝を迎えています。
時折響く、甲高いタンチョウの声が、神々しい風景にアクセントをそえてくれます。
鶴居村・音羽橋で日の出を迎える旅…、これが今回ご紹介する「#北海道ひみつの絶景旅」です。
しばらくすると、タンチョウたちは、いくつかの群れになって、ねぐらから飛び立って行きます。めざすのは同じ鶴居村にある「鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリ」。その場所は〝ねぐら〟から見て「音羽橋」の方向にあるので、川から飛び立ったタンチョウたちは、私の方へ真っ直ぐ飛んできて、私の頭の上を越えていきます。
群れのリーダーが発する「コーッ!」という鳴き声を、頭の上のわずか5〜6メートルほどに聞くことができます。〝鶴のひと声で…〟などといいますが、ここで聞く〝鶴のひと声〟は、神々しい、慈愛に満ちた、ありがた〜い響きです。まるで自分の寿命が、2〜3年くらいのびちゃうのではないかと思っちゃうくらい、祝福感に満ちた鳴き声。その後には、リーダーに続き、力強く風をかき分けて進むタンチョウたちの、生命力あふれる羽ばたきの音が、いくつも続きます。タンチョウが羽ばたく音が間近に聞こえる橋…、そう、この橋の名前は「音羽橋」なのです。
場所:音羽橋・北海道阿寒郡鶴居村
釧路駅から29キロ、車でおよそ45分
時期:12月下旬から3月上旬まで
時間:日の出時刻の1時間前から、およそ2時間
「音羽橋」で日の出を迎えた後は、「鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリ」で、タンチョウを見るのがオススメです。運が良ければ、オスとメスが愛を確かめ合う〝求愛ダンス〟を見ることができるかも知れません。また、気温が低い日には、オスとメスが鳴き交わす声を出すときに出る息が、白く輝いて見えます。
逆光に照らされた、タンチョウの吐息を、撮影してみました。