2025.12.27
育む
その日私は仕事を終えてまっすぐ帰宅し、こうちゃんの帰りを家で待っていました。
もうそろそろ帰ってくるかな~という時間になってもインターフォンが鳴らない。
遅いなぁ。
もしかして、また転んだりしている?
秋ごろ、学校から帰る途中、転んでひじから血を流して泣きながら玄関に立っていたことがありました。
スニーカーをしっかりはかず、サンダルのようにしてひっかけて歩いていたらつまずいて転んだとのこと。

「痛い思いしないように、靴はしっかり履いてから歩き始めること」
そう約束をしましたが、もしかしてまた転んだ?
一面雪景色になったから、今日は児童館まで迎えに行けばよかった。
そんなことを考えている間にも時間は過ぎていき、けれど一向に帰ってこない。
スマホでGPSの位置情報を確認すると、もう15分以上、同じ場所で止まったままです。
入学してから購入した小型のGPS端末は、こうちゃんのランドセルに毎日入っています。
自分の子ども時代にタイムスリップして「子どものランドセルにGPS端末を入れてるよ!」と言ったら相当驚かれることでしょう。
「さすがに過保護すぎる…」と思う方もたくさんいるでしょう。
でも私はこのGPS端末に今年何度も何度も助けられてきました。
小学校に入学してからこうちゃんは一人歩きにも慣れてきて本当にたくましい。
一方の私は、いつまで経っても「不安」が消えません。
親の手から離れて一人で行動する機会が増えるのは確かな成長を感じるけれど…
「きちんと学校に着いたかな?」
「寄り道せずにたどり着いたのかな?」
「習い事から児童館に戻れたかな?」
心配性の私はこの「お守り」のおかげで安心して今年一年、仕事に集中することができました。
そのお守りが示す場所を頼りに、こうちゃんを探しに家を出て数分。
学校と自宅のちょうど中間くらいで止まったままのGPSの位置情報が、私が家を出てから徐々に家に向かって進みだしました。
私はスマホの画面をにらみながら猛ダッシュ。
ようやく見つけたこうちゃんは、大きな大きな雪のかたまりと格闘していました。

「なにしてるの!!!探したんだよ!!!」
そう言って駆け寄ると…
「お~!ママ~!来たの~!?これ、俺一人で作った~!」
早口でそう言ったあと、しまった!という顔をしました。
そして「ちょっと時間かかっちゃったね…」と弱々しく一言。
ケガをしていなくてよかった、という安堵感とともに、なんとなく『これは怒っちゃいけないな、きちんと話を聞こう』という気持ちになりました。
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