2025.11.02
暮らすもし、流氷が減ってしまうこと、私たちの暮らしに関わる影響は大きく分けて2つあります。
流氷の役割は観光として楽しむだけではなく、実はオホーツク海の豊かな海の恵みを支える大切な存在なんです。
氷の底には、「アイスアルジー」と呼ばれる植物プランクトンがくっついていて、流氷と一緒に北海道の沿岸にやってきます。この植物プランクトンは春になると大増殖。魚介類のエサとなり、さらにそれを食べる魚や海鳥へとつながり、食物連鎖の基礎を形作っています。

つまり、温暖化が進み、将来的に流氷が届かなくなると植物プランクトンが減り、ホタテやサケ、カニなど、北海道が誇る海の幸の基盤そのものが揺らいでしまう可能性があるのです。
さらに、流氷がやってこないことで、冬の気候にも影響が出ることが考えられます。
オホーツク海を覆う「氷のフタ」がなくなることで、オホーツク海側を中心に冬の気温の傾向が変化。さらに、雪雲のもとになる水蒸気が増えて、これまで雪があまり降らなかった地域でドカ雪や暴風雪のリスクが高まるかもしれません。
つまり、流氷が消えると「海の幸」だけでなく、「冬の暮らし」までも変わってしまうかもしれないのです。

オホーツク海を覆う流氷はまさに白い大陸。いつまでも残したい風景の一つですね。
2023年に続き、2024年は日本の平均気温は観測史上最高を更新しました。さらに今年の夏は、これまでの記録を大幅に上回る暑さとなり、筆者も天気解説の中で「経験したことのない暑さ」「危険な暑さ」といった強い言葉を使わざるを得ない状況に、強い危機感を覚えています。
温暖化が進めば、流氷が減少してしまうだけでなく、危険な暑さや極端な大雨、一方で、雨がまったく降らない期間の増加など、これまでの常識や経験が通用しない気候が現実になってしまうかもしれません。いや、すでにこうした変化は始まっていると言ってもいいでしょう。

私たちにもできることは確かにあります。物価高の中で、すでに節電や節水など意識している方も多いと思いますが、そうした一つ一つの行動の積み重ねこそが、今の私たちの生活を守るだけでなく、この先の地球温暖化の進行を少しでも遅らせるための大切な一歩となるはずです。
この記事が、地球温暖化について考えるきっかけの一つになると幸いです。
連載「気象予報士コラム・お天気を味方に」
特別企画:地球温暖化と北海道の話~「日本の気候変動2025」を紐解く~

文: HBCウェザーセンター 気象予報士 篠田勇弥
札幌生まれ札幌育ちの気象予報士、防災士、熱中症予防指導員。 気温など気象に関する記録を調べるのが得意。 趣味はドライブ。一日で数百キロ運転することもしばしば。
HBCウェザーセンターのインスタグラムでも、予報士のゆる~い日常も見られますよ。
※掲載の情報は記事執筆時(2025年10月)の情報に基づきます。
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